おはようございます。マクガイヤーです。
ゴールデンウィークもあっという間に過ぎさってしまい、7月まで祝日がないことに憂鬱たる思いですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
マクガイヤーチャンネルの今後の放送予定は以下のようになっております。
〇5月13日(月)19時~「『猿の惑星/キングダム』と猿の惑星シリーズ」
5/10より『猿の惑星』シリーズの新作『猿の惑星/キングダム』が公開されます。
映画版『ゼルダの伝説』にも抜擢されたウェス・ボールが監督を務め、前作『聖戦記』から約300年後の世界を舞台とするそうです。
『猿の惑星』といえば、1968年に制作された『猿の惑星』から始まるオリジナルシリーズは5作、『猿の惑星:創世記』から始まるリブート版は本作含めて4作、ティム・バートンのリ・イマジネーション版を含めれば合計10作という、堂々たるシリーズとなりました。中でも、映画史に残る完成度を誇る第一作を別とすれば、当時の公民権運動を反映した『新 猿の惑星』と10年代のテロと資源争奪を反映したリブート版三作の評価が高いです。
そこで『猿の惑星/キングダム』と猿の惑星シリーズを解説するようなニコ生を行います。
ゲストとして編集者のしまさん(https://twitter.com/shimashima90pun)をお迎えしてお送り致します。
〇5月27日(月)19時~「『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』と浅野いにおのサブカルメンヘラ地獄」(日程が変更になりましたのでご注意下さい)
映画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章』が5/24に公開されます。2014~2022年に連載された同名漫画作品のアニメ化にして、3/22に公開された『前章』の続編です。映画版は『幼年期の終わり』から続く「人類(女子高生)が宇宙人に試される話」でありつつ、ポスト311を含むテン年代の空気感を反映すると共に、「いま」にも通じる普遍性を得た傑作です。まさか浅野いにお作品を原作として、このような普遍性のある映像作品が生まれるとは思いませんでした。童貞が自身の童貞性にナルシスティックにイジイジじ、出てくるヒロインは全員サブカルメンヘラ女子ばかりという、地獄のような世界から、時代精神と世界精神を反映する傑作が生まれたということなのでしょうか。
そこで、浅野いにおの過去作品を振り返りつつ、原作漫画と映画『デデデデ』双方を解説するようなニコ生を行います。
ゲストとして編集者のしまさん(https://twitter.com/shimashima90pun)をお迎えしてお送り致します。
〇6月9日(日)19時~「『マッドマックス:フュリオサ』とジョージ・ミラーのデス・ロード」
5/31より『マッドマックス:フュリオサ』が公開されます。2015年に公開された『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の前日譚であり、フュリオサの若き日を描くスピンオフ映画であるそうです。どう考えても名作です。
そこで、ジョージ・ミラーの過去作を振り返りつつ、『マッドマックス』シリーズ全体を解説するような放送を行います。
ゲストとして編集者のしまさん(https://twitter.com/shimashima90pun)と友人のナオトさん(https://twitter.com/Triumph_march)をお迎えしてお送り致します。
〇6月24日(月)19時~「最近のマクガイヤー 2024年6月号」
お題
・時事ネタ
・『朽ちないサクラ』
・『バッドボーイズ RIDE OR DIE』
・『ザ・ウォッチャーズ』
・『極道恐怖大劇場 牛頭』
・『ULTRAMAN: RISING』
・『蛇の道特捜戦隊デカレンジャー 20th ファイヤーボール・ブースター』
・『チャレンジャーズ』
・『ユニコーン・ウォーズ』
・『告白 コンフェッション』
・『アトラス』
・『関心領域』
・『ミッシング』
・『胸騒ぎ』
・『鬼平犯科帳 血闘』
・『悪は存在しない』
・『無名』
その他、いつも通り最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。
〇藤子不二雄Ⓐ、藤子・F・不二雄の作品評論・解説本の通販をしています
当ブロマガの連載をまとめた藤子不二雄Ⓐ作品評論・解説本『本当はFより面白い藤子不二雄Ⓐの話~~童貞と変身と文学青年~~』の通販をしております。
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また、売り切れになっていた『大長編ドラえもん』解説本『大長編ドラえもん徹底解説〜科学と冒険小説と創世記からよむ藤子・F・不二雄〜』ですが、この度電子書籍としてpdfファイルを販売することになりました。
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合わせてお楽しみ下さい。
さて、本日のブロマガですが、先日のニコ生でもお話して『ゴジラxコング 新たなる帝国』について改めて書かせて下さい。
●『ゴジラxコング』はバカ映画か?
というわけで『ゴジラxコング 新たなる帝国』を観たのですが、いやー、面白かったですね!
自分は1975年生まれで、『ゴジラ(1984)』や『vsビオランテ』は興奮して観たものの、その後どんどん子供向けになっていく平成VSシリーズに落胆していった世代です。その分、「理想の特撮映画」としての平成ガメラシリーズへの思い入れが強く、故に平成ガメラの価値観をそのままハリウッドで体現したような初期レジェンダリーゴジラというかモンスターバース作品には感心してしまいました。特に『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』はハリウッドが創る怪獣映画としてはびっくりするくらい良くできていました。
それだけに前作『ゴジラvsコング』は、「面白いは面白いけど、なんか違うところにきちゃったなあ」という場違い感を抱きました。やっとハリウッドも神や天災としての怪獣を描くことに成功し始めていったと思い込んでいたのですが、どんどん人間化していく怪獣たちに失望したのです。
ところが本作『ゴジラxコング』は、人間どころか不良少年――ヤンキーやチンピラとして怪獣を描いており、かなり開き直ったが故の面白さがありました。
もしかすると『ゴジラxコング』は怪獣映画の新しい扉を開けてしまったのかもしれません。巷でいわれているバカ映画――バカなキャラクターが出てきてバカなことするバカ映画というよりは、観客がバカになって楽しめるよう丁寧に作られた映画という感じです。
●「怪獣の虫歯が痛い!」
本作、まず冒頭でコングの虫歯を架空のVTOL機で抜く、代わりに差し歯を入れる、という描写に目が覚める思いでした。
『ウルトラマンタロウ』に「怪獣の虫歯が痛い!」という回がありました。水中ロケットに噛み付いてしまいロケットが外れなくなってしまったシェルターという怪獣(虫歯怪獣と呼ばれますが、虫歯ではありません)が登場し、主人公はなんとかしようと戦闘機とロケットをロープで結び付けて抜こうと奮闘するのですが(『ゴジラxコング』と同じ絵面です)誤ってロケットではなく普通の歯を抜いてしまい……というドタバタ回でした。『タロウ』はだいたいこんな感じのノリの話ばかりなのですが、『ゴジラxコング』は「怪獣の虫歯を抜く」というシーンを冒頭に入れることで、「これからモンスターバースは『タロウ』になります!」と宣言してるわけですよ! ……いや、アダム・ウィンガードが『タロウ』を観てるかどうかは不明なのですが(デル・トロは観てるはず)、冒頭でこの映画の価値観を宣言してるわけですね。ここまで開き直るのなら、おれはついていくぞと思いましたね。
●台詞が無いのに台詞が聞こえてくる
その後、人間同士のやりとりはそこそこに、怪獣同士のやりとり――「怪獣ドラマ」が続きます。怪獣映画で観たいのは怪獣ドラマであるのに、我々は人間であるが故に怪獣に感情移入しきれない難しさがある――ということを以前書きましたが(https://ch.nicovideo.jp/macgyer/blomaga/ar1768291)、本作はなんと全ての怪獣を「人間のような怪獣」として描くことで怪獣ドラマを成立させています。故に人間ドラマはほとんど置いてけぼりになっているのですが(一方で台詞は過剰でジャンプ漫画の解説役のようです)、SNS等をみるかぎり、ほとんどの観客は不満を感じていないようです。
これは凄いことなのではないでしょうか。
この「凄さ」の一旦は、台詞無しで怪獣ドラマが描かれることにあります。とにかく怪獣たちの演技が秀逸なのです。特に本作初登場の悪役であるスカーキングは、ナイフをペロペロ舐めたり、猿怪獣らしく表情豊かで常に相手を見下すような顔をしたりする、ハリウッド映画で久しぶりにみた悪役らしい悪役です。コングの同族たちを奴隷として扱い、重い石を運ばせたり棒のついた謎の回転機械をぐるぐる回したりしているのですが、なんのためにやらされているのかまったく分からないところが最高です。これが古代ローマやギリシャなら、オリーブを圧搾したり粉を挽いたりするために奴隷に回させているところですが、コング族が農業や植物採集をしてる描写は特にありません。徹底的にイメージとしての「奴隷労働」で、ベタな悪役とベタな支配システムをコングが破壊して「革命」を起こすことに意味があるわけです。このベタさ、人間の役者でやったらみてられませんが、怪獣でやることに意味があります。
特にスカーキングがコングの差し歯を指さし、「みろよ、ダッセェ! コイツ怪獣のくせに人間が作った差し歯なんてつけてるぜェー!」と馬鹿にするシーン……いや、こんな台詞は言っていないのですが、こんな台詞が聞こえてきそうなシーンは秀逸でした。怪獣(劇中ではタイタンと呼ばれます)は人間より上に立つ存在であると自覚していること、スカーキングは信頼ではなく暴力と狡猾さでコング族を支配していること、周囲のコング族は心から笑っているのではなく恐怖から愛想笑いしてること――等々が台詞ではなく映像で伝わってくる名シーンです。
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