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【第335号】なぜ『シャン・チー』が中国公開されないのか、なぜマーベルはそれでも『シャン・チー』を製作したのか

2021/09/15 07:00 投稿

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  • シャン・チー
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マクガイヤーチャンネル 第335号 2021/9/15
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おはようございます。マクガイヤーです。

『不滅のあなたへ』回の準備の一環で『ヘラクレスの栄光IV』をプレイし直そうと思い、レトロフリークをセッティングしました。改めて感じたのですが、レトロフリークは使い易いですね。未だにAmazon等で高値安定なのがよく分かります。



マクガイヤーチャンネルの今後の放送予定は以下のようになっております。



〇9月20日(月)19時~「『不滅のあなたへ』と天才漫画家 大今良時」

4/12より放送されていたアニメ版『不滅のあなたへ』が最終回を迎えます。原作を丁寧にアニメ化しており、おそらく第二期もありそうな感じです。


原作漫画である『不滅のあなたへ』は2016年から連載が始まり、現在も連載中です。単行本はもうすぐ16巻を数えます。フシと呼ばれる不死身の肉体と物体の性質を写し取る能力を持つ主人公を中心として、様々な時代や舞台を描きつつ、現在は第二部として「現世編」と呼ばれる、我々の現在に近い世界を舞台としています。もしかすると第三部として「未来編」が用意され、『火の鳥』にアンサーを捧げるような壮大な作品になるのかもしれません。

『聲の形』で名を揚げた大今良時が「本当にやりたかったファンタジー作品」が本作なのだとしたら、やはり大今良時は漫画家として天才なのだと思います。

そこで、『不滅のあなたへ』を解説しつつ、漫画家 大今良時の魅力を解説するような放送を行います。


ゲストとして声優の那瀬ひとみさん(https://twitter.com/nase1204)をお迎えしてお送り致します。



〇10月前半(日時未定)「最近のマクガイヤー 2021年10月号」

詳細未定。

いつも通り最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。



〇10月後半(日時未定)「『DUNE/デューン 砂の惑星』と(SF)映画に愛されし男 ドゥニ・ヴィルヌーヴ」

10月15日より『DUNE/デューン 砂の惑星』が公開されます。フランク・ハーバートのSF小説『デューン』二度目の映画化であり、二部作の第一弾として製作されたそうです。

『デューン』は過去に何度も映像化されてきましたが、そのどれもが観客を満足させたことが無い曰くつきの作品です。一方でドゥニ・ヴィルヌーヴは過去にテッド・チャンの短編小説『あなたの人生の物語』『ブレードランナー』の続編と、SF(映画史)に残る映画を監督し、いずれも優れた映画と評価されました。明らかにSF(映画)に愛された男なのですが、果たしてドゥニ・ヴィルヌーヴが愛しているのはSFなのか、映画なのか、それとも他のなにかなのでしょうか?


そんなことを考えつつ、『デューン』とドゥニ・ヴィルヌーヴについて解説するような放送を行います。



〇藤子不二雄Ⓐ、藤子・F・不二雄の作品評論・解説本の通販をしています

当ブロマガの連載をまとめた藤子不二雄Ⓐ作品評論・解説本『本当はFより面白い藤子不二雄Ⓐの話~~童貞と変身と文学青年~~』の通販をしております。

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また、売り切れになっていた『大長編ドラえもん』解説本『大長編ドラえもん徹底解説〜科学と冒険小説と創世記からよむ藤子・F・不二雄〜』ですが、この度電子書籍としてpdfファイルを販売することになりました。

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合わせてお楽しみ下さい。





さて、本日のブロマガですが、好評連載中の『キャプテン・ジャパンの死』は一旦お休みして、『シャン・チー』について書かせて下さい。

ちょっとツイートしたら、自分には珍しく沢山RTされたので、きちんと書いておきたいのです。



●アジア人版『ブラックパンサー』、アメコミヒーロー版『ジェダイの帰還』

「いったい誰が知っているのか」「アメリカでも原作を読んでいる人はおろか、キャラクターを知っている人すら少ないのではないか」とか言っていた『シャン・チー』ですが、面白かったわけですよ。


基本的にはアジア人版『ブラックパンサー』として作られているわけですね。

本作は、まずおおきな中国系アメリカ人コミュニティがあることで有名なサンフランシスコから話が始まり、マカオで大きなアクションがあって、伝説的な部族が守り続ける秘境が出てきて、そこを守るために主人公は立ち上がり、CGで描かれた架空の動物を含む二つの軍勢が現代戦ではなくグリーンバック撮影を駆使した剣や格闘技のそれでぶつかるクライマックスがある……という構成になっています。

これは『ブラックパンサー』の、サンフランシスコのバークレーから話が始まり、韓国の釜山で大きなアクションがあって、伝説的な部族が……という構成そのままです。『アクアマン』にも似てますね。

『ブラックパンサー』が様々な要素を「アフロフューチャリズム」でまとめていたのに対し、本作はジャッキーやドニー・イェンに代表されるカンフー映画、『グリーン・デスティニー』のような武侠映画、『ムーラン』のようなアジアンファンタジー映画といった「アジア映画っぽい感じ」でまとめている感じです。回想シーンで香港ノワール、クライマックスに怪獣映画も入っており、「最後はカメハメ波」のセルフつっこみも入ります。マカオで竹の足場アクションの最新形態をやっているのですが、香港じゃなくてマカオなのは、『スカイフォール』の電光掲示板と組み合わせたかったからなんだろうなあ。


ただ、監督がやりたいのはどうも『スター・ウォーズ』らしく、『ブラックパンサー』におけるカインとアベルのような兄弟の対決が、本作では父殺しの話になっています。当然、『オイディプス王』から遠く離れて現代的で、不死で無敵だった父が母との恋に落ちて「人間」になったり、原作コミックでは指輪だった「テン・リングス」がファンネルみたいな腕輪の武器になり、ライトセーバーのように扱われたりします。クライマックスでのくだりは、誰がどうみても『ジェダイの帰還』で、父殺しの貴種流離譚として始まった話が毒親との和解として決着するそれをエンターテイメントとして描くには、これしか無かったのだろうと得心しました。

特に、クライマックスはほとんど台詞が無く、デスティン監督の演出力が発揮されているのですが(だからブリー・ラーソンも出たのかも)、継承にあたってエモノの色が変わるのは、本当はスター・ウォーズが最初にやるべきでした……


おそらく、最近の、特にフェイズ4以降のMCUは、アクションやCGによる見せ場の作り方についてケヴィン・ファイギ率いるスタジオ側が完全にノウハウを持っていて、監督にはその人しかできないアドリブ含む演技の演出や、映像としての語り口や、パーソナルな物語を普遍的なそれとして語る手腕を求めているのでしょう。


これらを、既視感のあるものとしてみるか、現代のアメコミヒーロー映画としてやるべきことをやっているかとみるかで、評価が分かれるところでしょうが、後述する部分も含めて、自分はちゃんと「いま」のヒーロー映画になっているなと感じました。



●トニー・レオンとメンガー・チャン

まず、『ブラックパンサー』でも『アクアマン』でも『ジェダイの帰還』でもみられなかった要素として、父と妹(きょうだい)の描き方が特徴的だという点があります。

具体的にいえば、トニー・レオン演じるウェンウーの異様なカッチョ良さと、メンガー・チャン演じる妹シャーリンの現代的自立です。

 

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