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マクガイヤーチャンネル 第317号 2021/3/31
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おはようございます。マクガイヤーです。

緊急事態宣言は終わりましたが、レイトショーが復活しないので、映画を観るのに難儀しています。普通に働いていたら、18時上映とかギリギリ無理やん!



マクガイヤーチャンネルの今後の放送予定は以下のようになっております。



〇4月4日(日)19時~「最近のマクガイヤー 2021年4月号」

・時事ネタ

『プロフェッショナル 仕事の流儀』

『JUNK HEAD』

『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』

『あの頃』

『ラーヤと龍の王国』

『野球少女』

『サン・ラーのスペース・イズ・ザ・プレイス』

『フィールズ・グッド・マン』

『アウトポスト』

『ミナリ』

『モンスターハンター』

『ノマドランド』

『ゼロワン Others 仮面ライダー滅亡迅雷』

その他、いつも通り最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。



〇4月19日(月)18時~「テン年代の『進撃の巨人』(仮)」

『進撃の巨人』最終回が4月9日発売の別冊少年マガジンに掲載されるそうです。

2009年に連載が始まった『進撃の巨人』、当初は絵が下手すぎるという声もありましたが、衝撃的な展開や考え抜かれた世界観で人気作となり、今や完全に2010年代を代表する漫画となりました。戦争はもとより、民族紛争やテロリズム、果ては震災をも象徴するような「巨人」が登場する本作が、約10年を経て完結することに感慨を禁じえません。

そこで、『進撃の巨人』を解説するニコ生を行います。


ゲストとして声優の那瀬ひとみさん(https://twitter.com/nase1204)をお迎えしてお送り致します。



〇藤子不二雄Ⓐ、藤子・F・不二雄の作品評論・解説本の通販をしています

当ブロマガの連載をまとめた藤子不二雄Ⓐ作品評論・解説本『本当はFより面白い藤子不二雄Ⓐの話~~童貞と変身と文学青年~~』の通販をしております。

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また、売り切れになっていた『大長編ドラえもん』解説本『大長編ドラえもん徹底解説〜科学と冒険小説と創世記からよむ藤子・F・不二雄〜』ですが、この度電子書籍としてpdfファイルを販売することになりました。

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合わせてお楽しみ下さい。




さて、今回のブロマガですが、ニコ生に引き続き『シン・エヴァンゲリオン』について書かせて下さい。


●「他者」としてのマリ

『シン・エヴァンゲリオン』に多くの人が「納得」したり「成仏」した理由は、『エヴァ』は庵野秀明のプライベートフィルムであり、私小説である――ということを多くの人が理解しており、エヴァというよりも庵野秀明というコンテンツを楽しんでいるからでしょう。自分も常にパンツを脱ぐ庵野秀明が大好きです。


よって、『エヴァ』の登場人物は、ほとんどが庵野秀明の分身という見立てが可能なのですが、新劇場版では例外があります。

最も分かり易いのは真希波マリです。

新劇場版の『破』で「空から降ってくる美少女」というアニメ界のテンプレートで登場し、他のエヴァパイロットが悩み苦しむ中、古めの昭和歌謡や独特の口調を交えつつエヴァでの戦闘を楽しむかのように行動するマリは、物語の要所要所で主人公であるシンジを新しい状況に送り届ける決定的な役割を果たします。これは『Q』や『シン』でも同様で、最後にはシンジにとっての新しいパートナーになります。

総監督である庵野のオーダーにより、監督の一人である鶴巻和哉が演出を行い、庵野が関与しない体制がわざととられています。庵野にとっての「他者」が強調されているのです。

つまり、マリはTV版や旧劇場版の時は存在せず、現在はシンジ≒庵野秀明にとってのミューズである安野モヨコである――という見立てを多くの人がすることになったわけです。

おそらく、この見立ては正しいのですが、それだけに、離婚した時が心配です。なにしろ、今連載中の『後ハッピーマニア』は離婚がテーマの一つなのですから。



●「他者」としての(嫌)飲尿ピンク

新劇場版にはマリ以外にも、何人か「他者」が存在します。その一人が「飲尿ピンク」こと北上ミドリです。

なぜ「飲尿ピンク」と呼ばれているかは、『シン・エヴァ』を観た人にとっては説明するまでもないでしょうが、一応書いておくと、資源に乏しいので再生水を飲んでいるシーンで「誰のおしっこか分からないのに……」と愚痴るシーンが印象的な、ピンクの髪の女性キャラクターだからです。劇中セカイでは、再生水は誰でも飲んでいるだろうし、飲むのを嫌がっているので本当は嫌飲尿ピンクなのですが、「飲尿ピンク」が定着してしまいました。

飲尿ピンクは『Q』で初登場したキャラクターですが、とにかく目の前の状況に対して不平不満を口にしまくり、不信や軽薄な態度を隠そうともしません。物語においては、貴重なツッコミ役を担います。

庵野監督の演出意図は明らかで、飲尿ピンクは(鈴原サクラと同じく)、いつの間にかアニメ業界や自分の下にやってきた「新世代」や「若者たち」を象徴しているのでしょう。


つまり、『逆襲のシャア』でのギュネイ・ガスやクェス・パラヤのような役回りです。富野監督は彼らを「理解できない若者たち」の象徴として描きましたが、同時に、物語を動かす存在として重宝しています。飲尿ピンクは、ギュネイやクェスと同様の存在感を『シン・エヴァ』では発揮しています。