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【第301号】おすすめ人物ドキュメンタリー その1

2020/12/09 07:00 投稿

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マクガイヤーチャンネル 第301号 2020/12/9
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おはようございます。マクガイヤーです。

師走のせいもあり、忙しい毎日を送っています。特に今月は正月になるまで祝日が無いのが辛いです。早く正月にならないかなあ……



マクガイヤーチャンネルの今後の放送予定は以下のようになっております。



〇12月20日(日)19時~「理想のウルトラマンと『ウルトラマンZ』」

6月より放送開始された『ウルトラマンZ』、いわゆるニュージェネレーションシリーズの最新作ですが、過去のシリーズでは『X』『オーブ』でメイン監督を務めてきた田口清隆が本作ではシリーズ構成を務め、映像面でも文芸面でも見どころの多い話題作です。来年夏に庵野秀明企画・脚本、樋口真嗣監督による『シン・ウルトラマン』が公開されますが、10年・20年後にテレビ番組としての「ウルトラマン」を本当に変えたと評価されるのは本作かもしれません。

そこで、映像作品としての「ウルトラマン」を振り返りつつ、『ウルトラマンZ』について解説する番組を行います。

ゲストとしてお友達のナオト(https://twitter.com/Triumph_march)さんをお迎えしてお送り致します。



〇12月28日(月)19時~「Dr.マクガイヤーのオタ忘年会スターウォーズ2020」

例年お楽しみ頂いている「オタ忘年会」。

2020年に語り残したオタク的トピックスやアイテムについて独断と偏見で語りまくる予定ですが、今年もほとんどの時間を割いて『スター・ウォーズ』……というか、『クローン・ウォーズ』『マンダロリアン』について語ることになると思います。

ゲストとして編集者のしまさん(https://twitter.com/shimashima90pun)をお迎えしてお送り致します。



ちなみに過去の忘年会動画はこちらになります。

2019年

2018年

2017年

2016年

2015年

2014年

2013年




〇藤子不二雄Ⓐ、藤子・F・不二雄の作品評論・解説本の通販をしています

当ブロマガの連載をまとめた藤子不二雄Ⓐ作品評論・解説本『本当はFより面白い藤子不二雄Ⓐの話~~童貞と変身と文学青年~~』の通販をしております。

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また、売り切れになっていた『大長編ドラえもん』解説本『大長編ドラえもん徹底解説〜科学と冒険小説と創世記からよむ藤子・F・不二雄〜』ですが、この度電子書籍としてpdfファイルを販売することになりました。

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合わせてお楽しみ下さい。




さて、今回のブロマガですが、前回の放送「ドキュメンタリーは嘘をつく――推しドキュメンタリー特集――」で紹介できなかった作品について書かせて下さい。


●人物ドキュメンタリー

番組で紹介した通り、極地に住むイヌイットの生活から、埋め立て地に埋められたゲームソフトを掘り出す話まで、ドキュメンタリーのテーマは様々なのですが、自分がどうしても目が離せなくなってしまうのは、とある一人の人物に長期間密着しつつ、様々な資料や周辺人物へのインタビューも同時に行い、その人物を様々な面から浮かび上がらせる、「人物ドキュメンタリー」です。

劇映画を小説、ニュースを新聞記事に喩えると、ドキュメンタリーはルポルタージュのようなものだと番組で説明しましたが、この喩えに則れば、人物ドキュメンタリーは評伝のようなものかもしれません。

一方で、他のドキュメンタリーと同じく、人物ドキュメンタリーにも映像作品ならではの魅力があります。取材やインタビューを繰り返すうちに、本人が隠そうとしても隠しきれなかったり、自覚していない面が不意に露わになったり、取材者との関係性が変化して思いがけない映像が撮れたりするのです。

大の大人が狼狽して汗を流したり、反社会的な話題について朗々と語ったり、これらのふるまいに作り手が影響されたりします。更にそれらは、作り手が一つのテーマの下に作品としてまとめた後でも、独立した意味やニュアンスを持っていたりします。映像であるが故に取材対象のみならず作り手の思惑からもはみ出る部分があるのです。

これらは文章だと伝わりづらい魅力だったりします。また、細かいニュアンスがよく分からない英語圏作品ではなく(ネイティブは別ですが)、日本のドキュメンタリーの方がより楽しめます。



『ゆきゆきて、神軍』『神様の愛い奴』

日本における人物ドキュメンタリーの代表作といえば『ゆきゆきて、神軍』でしょう。今回のニコ生にあたり見直したのですが、やっぱり面白かったです。

第二次大戦中に激戦地ニューギニア(水木しげるが左腕を失ったのもニューギニアです)へ派遣されていた元日本兵にしてアナーキスト、奥崎謙三を追ったドキュメンタリーなのですが、撮影前の時点で昭和天皇に向かってパチンコ玉を発射した人物として有名でした。正月や天皇誕生日に皇居で一般人が参加可能な「参賀」が行われますが、防弾ガラスが設置されるようになったのはこの事件がきっかけだというのは有名な話です。

つまり、奥崎謙三はある種のヒーローだったわけです。奥崎が昭和天皇の戦争責任を追及する言葉をびっしり書いた自宅に住み、街宣車で活動する姿は、何も知らない者からみれば右翼そっくりですが、イデオロギーは正反対であり、なによりも一人きりで活動し続けていることが違います。

そんな奥崎が元隊員の死の真相を探ろうと元隊員たちを訪ねて真相を追い求めるさまは『軍旗はためく下に』を地で行っているわけですが、丹波哲郎とは全然ちがうわけです。しらをきろうとする元上官の家におしかけ、議論をしかけ、話にならないと暴力を奮う姿には、爽快感さえあります。奥崎はパチンコ事件前に不動産トラブルで業者を刺殺、戦時中も上官に暴行を働いていたりしたので、本物の凄みがそこかしこにあります。

一方で、奥崎には火の無いところに煙を立ててやろうという狂気も感じるのです。元隊員が罪を認めても、天皇が戦争責任を認めたとしても、奥崎は何も変わらないかもしれません。そんな懸念が、11年後に公開された『神様の愛い奴』で現実化するのでした。『ゆきゆきて、神軍』で赤線について話していたことが伏線のようにも思えます。合わせて楽しみたい作品です。

 

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