おはようございます。マクガイヤーです。
前回の放送「『ライオン・キング』とどうぶつが喋る映画」は如何だったでしょうか?
放送でお話した通り「超実写版」の『ライオン・キング』はあまり良い映画ではなかったのですが(『ブラックパンサー』の方がよっぽど「現在」のリメイク作品っぽいです)、様々な「動物が喋る映画」を紹介することができ、満足しております。那瀬ひとみさんには、また11月頃に出て頂いて、今度はプロレスについて語っていただくつもりです。
マクガイヤーチャンネルの今後の放送予定は以下のようになっております。
○9月2日(月)19時~「最近のマクガイヤー 2019年9月号」(いつもと曜日が異なりますのでご注意ください)
お題
いつも通り最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。
○9月22日(日)19時~「メガドライブミニ発売記念 おれたちのメガドライブ」
9月19日にメガドライブミニが発売されます。ファミコンミニやプレイステーション クラシックといった先行ミニハードと比べて、多くのメガドライバー達が望んだソフトが収録された、ある意味で理想のミニハードです。
……ですが、現在アラフォー、アラフィフのメガドライバー以外にはあまりピンとこないのかもしれません。
そこで、メガドライブの歴史や有名タイトルについて紹介すると共に、メガドライブミニがどのように凄いかを解説するような放送を行います。
ゲストとして久しぶりにオタク大賞名誉審査員のナオトさん(https://twitter.com/Triumph_march)に出演して頂く予定です。
○藤子不二雄Ⓐ作品評論・解説本の通販しています
当ブロマガの連載をまとめた藤子不二雄Ⓐ作品評論・解説本『本当はFより面白い藤子不二雄Ⓐの話~~童貞と変身と文学青年~~』の通販をしております。
https://macgyer.base.shop/items/19751109
○『やれたかも委員会』に取材協力しました。
『やれたかも委員会』(https://note.mu/yoshidatakashi3/n/na63c34ee5adc)の「童貞からの長い手紙」に取材協力しました。単行本1巻分のエピソードになるそうです。
ちなみに基になったお話はこちら
https://ch.nicovideo.jp/macgyer/blomaga/ar1011063
さて、今回のブロマガですが、ニコ生のまとめも兼ねて改めて「どうぶつが喋る映画」とジョン・ファブローの超実写版『ライオン・キング』……はあんまり面白くなかったので、代わりに『スパイアニマル・Gフォース』について書かせて下さい。
●定義
「どうぶつが喋る映画」などというジャンル名を口にするのは自分くらいだと思うのですが、それなりに映画を観ている人なら意図するものは分かって頂けると思います。
定義としては「人間以外の動物が人間のように喋り、ふるまう映画」であり、「動物にかこつけて人間とその世界物語を動物の視点から描くこと」をテーマに持つ映画のことです。「どうぶつ」と平仮名で書いているのは、物語の中では植物やキノコでも、怪物・怪獣・幻獣・獣人でも、ロボット・アンドロイド・レプリカント・AI等でも同様の役割を果たせるからですが、我々が日常目にする動物が喋る方が効果的であり、作品数も多いので、そう表記してみました。
もっといえば、たとえばスマウグ視点による『ロード・オブ・ザ・リング』があったとしても、スマウグと『猿の惑星: 創世記』のシーザーとでは、どちらも「喋るどうぶつ」にしてもリアリティラインが異なり、人間である我々が受ける印象も異なるわけです。
『クマのプーさん』や『テッド』のように、喋るどうぶつキャラがイマジナリーフレンドである場合は除外します。ただ、難しいのはこの二つのジャンルは混淆する場合があるということです。『クマのプーさん』や『プーと大人になった僕』のプーたちはイマジナリーフレンドですが、プーさんを習近平に見立てるジョークが中国で検閲されている現在、『動物農場』のような作品として『クマのプーさん』をリメイクする可能性だって考えられます。これは立派な「どうぶつが喋る映画」になるでしょう。
アニメ・実写に関わらず「どうぶつが喋る映画」は存在しますが、CGでリップシンクと表情演出を可能にした『ベイブ』以降、実写のそれが増えました。つまり『ベイブ』は「どうぶつが喋る映画」におけるパラダイムシフト的作品なわけです。
で、次のパラダイムシフトは唯一の人間であるモーグリ(とちょっとした小物)以外をCGで描いた――世界そのものをCGで描いた『ジャングル・ブック』と、そのシステムをまるごと引き継いだ故に「超実写版」と呼ばれる『ライオン・キング』になると思います。
●『スパイアニマル・Gフォース』
自分が「どうぶつが喋る映画」を意識して観るようになったのは『スパイアニマル・Gフォース』がきっかけです。
本作は二本足で歩き回る小動物達が組む特殊部隊――Gフォースによるスパイアクションもので、まるで、製作を務めるジェリー・ブラッカイマーの代表作『ザ・ロック』や『コン・エアー』ばりの脱出や爆発アクションを喋るモルモットたちがこなすところに魅力があります。
アクションシーンの出来がいいのは勿論なのですが、「一般市民がいる!」の声でカットを変えたらリスだったり、毛皮のコートだらけのタンスに迷い込んで「ここは死体置き場か?」なんて言わせたりといった、いかにもなアメリカン・ジョークも心地よいです。特にメスのモルモット─フアレスが他の雄メンバーにカマかけたり、Twitterで良い女論を書いたりという、人間での良い女演出をそのまま動物でやるというギャグが爆笑です。しかもこのギャグ、映画の最後の最後までやりきります。フアレスがスローモーションで水を滴らせながら陸に上がるのは『ドクター・ノオ』のウルスラ・アンドレスのオマージュで、武器開発担当のモグラのスペックルズは同じく『007』でいうところのQですね。
更に本作は「動物の視点から人間社会をみる」という視点が徹底されており、「動物が人間のように行動する」ことの真の意味から逃げていません。
人間のように喋り、人間のように行動する動物――果たして、それを動物といえるでしょうか? 映画の中で人間のように喋り、人間のように行動するなら、外見はどうあれ、それは人間です。
にも関わらず、映画内で彼らは「人間以外のもの」とされています。それは何故でしょうか? 人間が人間を語る時、人間以外の視点が必要になるからです。
Gフォース・メンバーであるモルモットたちは、遺伝子操作で知能や体力が強化されたトランスジェニック・モルモットだ……と信じ込まされているのですが、中盤で、実は普通のモルモットであることが判明します。記憶も無いほど幼い頃に、あわや人間に棄てられたり、殺されたりしそうになっていたところを、Gフォースの責任者であるケンドール博士に助けられたのです(何故普通のモルモットが喋れるのかというと、本作は「どうぶつが喋る映画」だからです)。
ケンドール博士はいいます。
「キミ達に、ただエサを食って育つだけのペットになって欲しくなかった……」
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