おはようございます、マクガイヤーです。
昨年末に買ったレトロフリークをやっと開封したのですが、家にあるゲームをインストールするだけで数日を費やしてしまいました。しかし、これで準備は万端です。さぁ、『ヘラクレスの栄光III』と『邪聖剣ネクロマンサー』のどちらをプレイしようかな……といったところで、PSVRをまだ開封していないことに気づいてしまいました。
マクガイヤーチャンネルの今後の放送予定は以下のようになっております。
○2月3日(土)20時~
「外来生物vsニッポン」
2017年はヒアリ、『池の水ぜんぶ抜く』、『鉄腕DASH』の「グリル厄介」と、外来生物の話題が盛り上がった一年でした。
そこで、様々な外来生物について紹介すると共に、そもそも外来生物とは何なのか? 外来生物が浸入し、定着することの何が問題なのか? 生物多様性とは何なのか? 遺伝子プールとはどんな概念なのか? ……等々について、解説する放送をお送りします。
「人間もまた自然の一部」という名言を念頭において視聴して頂ければ幸いです。
○2月17日(土)20時~
「Road to ぷ女子 in マクガイヤーチャンネル」
これまで、番組でもさまざまな機会でプロレス愛を披露してきた那瀬ひとみさんが産休前にお送りする特別企画。
那瀬さんも登場する漫画『Road to ぷ女子』の著者永野あかね先生もお呼びして、5分でわかるプロレスの歴史からぷ女子講座、ぷ女子からみた新日本とDDTプロレスリングの魅力まで、2時間たっぷりプロレスについて語っていただきます。
果たしてプロレス弱者のマクガイヤーはついていけるのか? 乞うご期待!
○3月10日(土)20時~
「映画界のメフィストフェレス川村元気と映画ドラえもん」
3/3より『映画ドラえもん』第38作である『のび太の宝島』が公開されます。
本作は『君の名は。』や『バケモノの子』などのプロデューサーとして知られると共に、『世界から猫が消えたなら』『四月になれば彼女は』などを書き、小説家としても活躍する川村元気が脚本を執筆した作品になります。
そこで、日本映画界の若き名プロデューサーにしてメフィストフェレスである川村元気と、映画ドラえもんの関係性について迫ってみたいと思います。
○3月24日(土)20時~
「最近のマクガイヤー 2018年3月号」
いつも通り最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。
詳細未定
○2月24日(土)19時~
「山田玲司とDr.マクガイヤーのマイナー生物大バトル:エロい生物編」in阿佐ヶ谷ロフト
一昨年、漫画家の山田玲司先生と行った「マイナー生物大バトル」がイベントになって帰ってきました!
http://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/81516
しかも今回のバトルは「エロい生物」縛り。
形がエロい、手触りがエロい、生殖方法がエロい……その他に、果たしてどんな話が飛び出すのか!?
ちなみに過去に行った「マイナー生物大バトル」の模様は↓
チケットは↓で購入できます!
http://sort.eplus.jp/sys/T1U14P0010163P0108P002249518P0050001P006001P0030001
○Facebookにてグループを作っています。
観覧をご希望の際はこちらに参加をお願いします。
https://www.facebook.com/groups/1719467311709301
(Facebookでの活動履歴が少ない場合は参加を認証しない場合があります)
○コミケで頒布した『大長編ドラえもん』解説本ですが、↓で通販しております。ご利用下さい。
https://yamadareiji.thebase.in/items/9429081
さて、今回のブロマガですが、前回の放送で紹介した『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話』について、更に書かせて下さい。
昨年末に出版された『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話』は、エホバの証人の信者として信仰に入れ込む母との日々を、「二世信者」として育てられた著者いしいさやの視点から描いた漫画なのですが、めちゃめちゃ面白かったわけですよ。
エホバの証人の信者が、宗教的な理由から争いごとや輸血を拒否することは有名な話です。母親に連れられて宗教勧誘に行った家が小学校のクラスの同級生で恥ずかしいとか、応援合戦の練習に参加できないとかいった話は想像の範囲内なのですが、躾として母親に鞭でぶたれるとか、教団に入っていない「世の子」である友達から貰った服を「うわっ きもちわる」「そんなサタンの服、早く脱ぎなさい」と、棄てられてしまうエピソードはショックです(信者間の会話では良いことを「エホバ」悪いことを「サタン」と表現することがあるそうです)。
切ないのは性や恋愛がらみのエピソードです。高校生の頃、毎日図書館に通うのが日課だった主人公は、何故か図書館によくいる感じのいい男子から告白されます。しかし、エホバの証人は自慰や婚前交渉、教団外の人間との恋愛を禁止しているため、主人公も男子に好意を持っていながら、告白を断ってしまうのです。一方で、禁止されている自慰行為にはまってしまったことや、宗教から脱するために好きでもない男性を相手にわざと処女を棄てた経験まで堂々と描いたことには、畏れ入ってしまいました。
●エホバの証人とルポルタージュ
エホバの証人を扱った書籍といえば、真っ先に思い浮かぶのがTVドラマ化もされた『説得-エホバの証人と輸血拒否事件』です。
その名の通り1985年に起こったエホバの証人信者による交通事故に遭った息子への輸血拒否事件――いわゆる「大ちゃん事件」を扱ったルポルタージュなのですが、著者の大泉実成も「二世信者」でした。
どの宗教もそうなのですが、「二世信者」は自分自身でその信仰を選んだわけではありません。表面上は親に従うにしろ、反発するにしろ、大きな葛藤を抱えることとなります。大泉も高校、大学と進学するにつれて「信者」であることを棄てたのですが、大学院生となった大泉が「大ちゃん事件」を取材するためにとった手段が、「大ちゃん」の父親が通っていたエホバの証人の集会所に信者として「潜入」し、父親と接触するというものでした。
ここで重要なのは、大泉は『自動車絶望工場』や『ユニクロ潜入一年』のように、告発を主目的として潜入したというわけではないということです。あくまで対象を深く理解し、取材者・被取材者の関係性からは得られない情報を得るための「潜入」でした。(潜入期間は『自動車絶望工場』や『ユニクロ潜入一年』と同じく一年間。この手法に手ごたえを得た大泉は、その後オウム真理教に潜入し、『麻原彰晃を信じる人びと』を上梓したりしますが、「オタクの研究」のために東海村近くの書籍・ゲーム・グッズのオタク複合ショップに10年間も「潜入」したのは、もうそれは潜入じゃないだろと思ったりもしました)
●カルト宗教漫画としての『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話』
二世信者や信者の実子の目からみた宗教を描いた漫画としては、『カルト村で生まれました。』や『ママの推しは教祖様』などがありました。いずれも面白い作品なのですが、『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話』が他の作品と最も異なるのは、宗教や信者だった親への告発を目的としていないことでしょう。
自らの人生の選択として信者であることを選んだ母親は、この種の漫画によくあるような異形のキャラではなく、(少なくとも絵の表現としては)あくまでも美人で、小学生や中学生だった主人公が愛を感じるキャラクターとして描かれています。
一方で、主人公は自らの意志で信者であることを選んだわけではなく、母親の前で問題を起こさず、親を困らせない「良い子」でいるためになんとなく信者であることを選択しているにすぎません。
だからこそ、母親への愛情と、普通の人が普通の子供時代や学生生活で経験できるであろうことを経験できないことの間で引き裂かれ、葛藤があるわけですが、ここには普遍性もあります。いわゆる「毒親」の話としても読めるのです。
「毒親」の最大の問題は、「毒親」の基で育った子供はその環境を異常と捉えづらいことにあります。また、異常と気づいても、それまで一緒に過ごしていた親子の情があるので、親を否定したり、関係を断ち切ったり、上手く距離をとって暮らしたりすることが難しくなってしまうのです。
本作の最後で主人公が囚われていることに気づく「逃れることができない罪悪感」は、まさしく「毒親問題」のそれですし、ある意味で解放されるために漫画を描いているというか、描かざるをえないのかもしれません。
●『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話』と『NHKにようこそ!』
だからこそ本作は面白いわけですが、↓のインタビューを読んでびっくりしてしまいました。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54012?page=4
毒親についてずばり言及しているのですが、びっくりしたのはそこではありません。
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そもそも、私がエホバの証人との訣別を決めた最大の理由は、「NHKにようこそ!」(滝本竜彦の小説。ひきこもりの青年と、彼を立ち直らせようとする新興宗教の二世信者の少女を中心とした物語)を読んだからです。
実は、その作中にエホバの証人が出てくることは知っていました。この本は読んではいけないことになっていましたから。ただ、たまたま高校の図書館に本が置いてあって、つい読んでしまったんです。
その頃には、自分の環境がおかしいことには気づいていました。でもあらためて「やっぱりおかしかったんだ!」とはっきり分かった。その時はとてもテンションが上っていました。
「もうここにはいたくない!自分の道を歩きたい!」
母に集会に行かないのを咎められた時に、すべてぶちまけました。「本当は全部嫌だった!」って。母からは、「最近変だよ」「昔より頭悪くなったね」「エホバのことがわからないなんて!」など、いろいろ言われましたね。
「NHKにようこそ!」に出会えてよかった。あの本を読んでいなかったら抜け出せなかっただろうし、漫画を描くこともなかっただろうし、一生「奉仕」する人生だったと思います。
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えー!!!!!
確かに、作中では「宗教勧誘する女の子が出てくる小説」を読んで、異常さをはっきりと実感する描写がありましたが、まさか『NHKにようこそ!』だったなんて……
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