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マクガイヤーチャンネル 第98号 2016/12/19
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おはようございます。すっかり今年も終わった気分でいっぱいのマクガイヤーです。

先日の放送「最近のマクガイヤー 2016年12月号」は如何だったでしょうか?

『ローグ・ワン』については世間の絶賛評にイマイチ納得できないのですが、自分が面倒くさいオタクなだけなのかもしれません。



マクガイヤーチャンネルの今後の予定は以下のようになっております。



○12月30日(金) 18時~(普段より放送時間が早くなっています、ご注意下さい)
「Dr.マクガイヤーのオタ忘年会2016」

年に一度のお楽しみ!
2016年度のオタクトピックについて独断と偏見で語りまくります。
詳細は未定ですが、『ローグワン / スターウォーズ・ストーリー』について語ることだけは決まっております。


○1月14日(土) 20時~
「マイナー手塚漫画大バトル」
「国民的漫画家」「漫画の神様」と評される手塚治虫ですが、作品数が膨大なためか、死後27年経ったためなのか、『アトム』『ブラック・ジャック』といった有名作以外はあまり振り返る機会に恵まれません。
そこで新年スペシャル番組として、『Bバージン』『絶望に効くクスリ』『ゼブラーマン』などの著作でお馴染みの山田玲司先生をゲストにお迎えして、知られざる手塚漫画の魅力について2時間たっぷり語り合うことになりました。
それぞれのお薦め手塚漫画をプレゼンし合うという、ビブリオバトル形式でお送りする予定です。


○1月28日(土) 20時~
「最近のマクガイヤー 2017年1月号」
いつも通り、最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。
詳細未定。


○2月前半 20時~
「『沈黙』とマーティン・スコセッシの秘密(仮題)」
1/21より『沈黙 -サイレンス-』が公開されます。
本作は遠藤周作の原作を基にしつつ、これまでキリスト教をテーマの一つとして選ぶことの多かったマーティン・スコセッシ監督の20年越しの企画といわれています。
そこで、マーティン・スコセッシ監督の過去作をふりかえりつつ、映画『沈黙 -サイレンス-』について特集します。


お楽しみに!


番組オリジナルグッズも引き続き販売中です。

マクガイヤーチャンネル物販部 : https://clubt.jp/shop/S0000051529.html

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『ローグ・ワン』公開に合わせて着たい、マクガイヤー・ウォーズ トレーナー

 

……等々、絶賛発売中!




さて、今回のブロマガです。

現在、本ブロマガでは「科学で映画を楽しむ法」と「独断と偏見でお薦めしたい、Amazonプライムで観られるスーパー戦隊傑作回」の2本の連載を不定期で行っております。

ですが、今回はそれらの連載を横において、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』について書かせて下さい。

何故かといいますと、自分はメチャクチャ期待してた『ローグ・ワン』を、あんまり楽しめなかったからですね。

にも関わらず、SNSで検索すると皆絶賛の嵐です。何故だ! おれが知らないだけで、いつのまにか皆、スターウォーズのファンになっていたのか!



『スター・ウォーズ』は世界最大のカルト映画と呼ばれることがあります。

というのは、映画としての完成度から考えると、『帝国の逆襲』を除いて、それほど出来が良いわけではないにも関わらず、世界中で熱烈なファンを獲得しているからです。



『スター・ウォーズ』シリーズの一本として考えた場合、『ローグ・ワン』はまあまあ出来の良い映画です。

でも、一本の映画として考えた場合は、イマ二つくらいの出来だと思うのですよ。


そう考える理由5つについて列挙していきましょう。



ネタバレなので、映画鑑賞後にお楽しみください。




●1、主人公に感情移入できない

『ローグ・ワン』の主人公はフェリシティ・ジョーンズが演じるジン・アーソなる若い女性です。

物語はジンが少女の時代から始まります。

帝国に母親が殺され、父親が拉致され、育ての親も……と帝国との因縁が描かれますが、これが全然感情移入できないのです。

この問題は、スター・ウォーズの他のエピソードと比べると明らかです。

『新たなる希望』では、タトゥーインの砂漠で二重太陽をみつめながら「おれはいつこの田舎から出ていけるんだろう」と悩むルークの姿が描かれました。『フォースの覚醒』では、せっかく集めたジャンクを安い金額で買い叩かれ、不味いパンを食べながら「いったいアタシはいつまでこの暮らしを続けなきゃならないんだろう」と悩むレイの姿が描かれました。評判の悪い新三部作でさえ、エロいパドメに発情してジェダイの禁を犯してしまう『クローンの攻撃』のアナキンには思わず感情移入してしまう筈です。

我々の中で、帝国のような組織に両親や育ての親を殺された経験のある者は少数でしょう。一方で、何かしらやりたいという意思はあるのにチャンスを与えられずまんじりとしたり、すっかりエロく育った幼馴染の魅力に気づいたりすることは誰にでもあるでしょう。

つまり『ローグ・ワン』は、親や育ての親を失った青春のほとばしりを犯罪にぶつけるも、捕まってクサい飯を食わされつつ牢屋の壁を見つめながらまんじりとしたり、すっかり美中年になったフォレスト・ウィテカーもしくはマッツ・ミケルセンにドキドキしたりするシーンが無くてはならなかったのです。



●2、中盤まで、話の組み立て方がおかしい

そもそも、本作はハリウッドエンターテイメント映画として、話の組み立て方がなんだかおかしいのですよ。

映画がアーソ家の農場から始まるのは良いと思うのですよ。惑星ラムーの黒い大地に緑の草というロケーションは、これまで『スター・ウォーズ』に出てきたどの惑星の風景にも似ていませんし、地平線まで見通せる荒野を帝国軍の将校とトルーパーたちが歩き、一家を襲うシーンは、黒沢時代劇のようで、最初のつかみとしてバッチリです。


ですが、その後がいけません。

ローグ・ワンの仲間たちを紹介するために様々な惑星が描かれるのですが、そのほとんどにあまり意味がないのです。二度と映画に出てこないのですから。


当初は「銀河全体に帝国の旗がはためいても、旗をみなければいい」なんて言っていたジンですが、育ての親であるソウ・ゲレラや父ゲイレン・アーソが殺され、なんとしてでも帝国を倒そうと決意します……が、これもよく分かりません。父はともかくとして、育ての親とのあれやこれやが映像として描かれないからです。

おそらくソウ・ゲレラは、旧作におけるオビ=ワン・ケノービやクワイ=ガン・ジンのような、主人公にとってのメンターであり、メンターでありながら幼い主人公をほっぽりだしたという複雑な人間関係を持っているはずなのですが……台詞でしか説明されないので、イマイチピンとこないのです。


そして、デス・スターの開発を止めようと、主人公にとっての相棒であるキャシアン・アンドーに、主人公の父ゲイレン・アーソの暗殺指令が下されます、一方で主人公はなんとか父と再会しようとするサスペンスが発生するのですが……これが全く盛り上がりません。

まず、その前のシーンで街一つがデス・スターによって完全に破壊されているのです。エピソードIVでは惑星一つを破壊するまでに威力が高まっていますが、街一つだけでもすごい脅威です。今更ゲイレンを殺して開発をストップさせても、あんまり意味ないんじゃないかと思ってしまうわけです。

そして、狙撃しようとする矢先に、他の科学者がクレニックによって殺されるのも、サスペンスを盛り下げます。もうデス・スターの開発はほとんど終わっているので、用済みになったわけですね。ならば、ゲイレンも帝国にとっては用済みなわけじゃないですか。目の前でそれをみせられて、なぜキャシアンは翻意しないのでしょうか。


ここは脚本を上手く調整すればサスペンスが盛り上がるし、最初はバラバラだったメンバーの心が一つになるという独立愚連隊モノお約束の展開を盛り上げる上で要となるシーンなので、話の組み立てに失敗しているのは痛いところです。



●3、ローグ・ワンのメンバーが全然ワル(ならず者)じゃないし、キャラが被っている奴らさえいる

この話って、『特攻大作戦』『地獄のバスターズ』『スーサイド・スクワッド』のような、帝国という巨悪(イービル)を倒すために、犯罪者やはみ出し者のようなならず者(バッド)が集められるという話じゃないですか。

でも、ローグ・ワンのメンバーは全然ワルじゃないんですよ、というか、ワルな姿が描かれないんですよ。

ジンが犯罪をするシーンはないし、チアルートとベイズは僧兵とその相棒ですし、ボーディーは気弱すぎますし、K-2SOはプログラムを書き換えられただけです。キャシアンがソウ・ゲレラの情報員を射殺するシーンも、もっと残酷であって欲しいです。もっといえば、ボーディーが気弱ながらに帝国の物資を盗むとか、K-2SOがED-209みたいに人間をミンチにするシーンとかあればまた違ったと思うのですが。


そもそも、主要キャラとして描かれる6人のうち、ディエゴ・ルナ演じるキャシアン・アンドーとリズ・アーメッド演じるボーディー・ルックのキャラが被っていませんか?

旧三部作と比較して、アジア系やアフリカ系、ヒスパニックのキャスティングを多めにしたのは21世紀の映画として慧眼だと思うのですよ。でも、片やメキシコ人、片やパキスタン系イギリス人とはいえ、痩せ型黒髪髭面が二人被るのって勿体なくないですかね。

これは、どちらかを着ぐるみかCGによるエイリアンにすべきだったと思うのですよ。というか、本作には勇気に溢れつつ皮肉を言うドロイドはいますが、チューバッカやジャージャービンクスのようなエイリアンの仲間が欠けています。や、ジャージャーで懲りたのかもしれませんが……



●4、ファン向けの接待が(『フォースの覚醒』とは違う意味で)凄い

メカニック、ロケーション、キャラクター……と、本作は旧三部作ばかりか、シリーズ全体にリンクする要素に満ち溢れています。

遺跡のあるヤヴィン4から発着する宇宙船を見送る見張り兵という有名なカットは何回も出てきますし、ターキンもレイアもCGで当時の姿が再現され、ベイダーはCGの力で無双します。

コーネリアス・エヴァサンとポンダ・バーバはジェダシティをうろついてますし、将軍はモン・カラマリですし、ベイル・オーガナが最後のジェダイ騎士について口にしたりします。

ラルフ・マクォーリーの初期デザインを再現したAT-ATならぬAT-ACTばかりか、わざわざ模型っぽく描かれたスター・デストロイヤーや、一隻しかいなかったと思われた病院船が何隻も出てきたりします。


それどころか、重要人物であるソウ・ゲレラは『クローン・ウォーズ』、誰もが拍手を送る活躍をするハンマーヘッド・コルベットは『反乱者たち』と、CGアニメのキャラクターやメカニックの輸入だったりします。えらくカッチョ良いデス・トルーパーは、ブラックホール・トルーパーやシャドウ・トルーパーといったストーム・トルーパーの色替え玩具にオマージュを捧げたものだったりします。

おそらく、「○○と××と△△は絶対いれといてね!」という、プロデューサーなりスタジオなりの指示があったのでしょう。勿論、監督が『スターウォーズ』のファン、というかオタクだからという理由もあるのですが。


問題は、これが嬉しいかどうかということだと思うのですよ。


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