おはようございます。だんだん朝起きるのが辛い季節になってきたマクガイヤーです。
先週の放送「最近のマクガイヤー 2016年10月号」は如何だったでしょうか?
ゲストにキリグラフことタクジさんも登場してくれて、楽しい放送になったと思います。
マクガイヤーチャンネルの今後の予定は以下のようになっております。
○11月3日(木) 20時~
「『聲の形』は何故素晴らしいのか?(仮)」
9月17日より映画『聲の形』が公開されており、興収約16億円、動員約125万人を突破と大ヒットしています。
本作は漫画『聲の形』を原作としており、原作が本来持っていた障害者の描き方や、京都アニメーションによる原作に忠実な映画化のクオリティも話題です。
そこで、『聲の形』の原作漫画と映画双方について2時間しっかり解説します。
○11月26日(土) 20時~
「最近のマクガイヤー 2016年11月号」
いつも通り、最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。
詳細未定。
○12月3日(土) 20時~
「ニッポン対ワクチン」
子宮頸がん予防(HPV)ワクチンの副反応や、HPVワクチン薬害研究についての疑義、というか捏造報道など、ワクチンに関する報道や話題が盛り上がっています。
そこで、そもそもワクチンとは何か、どのように発明されどのように使われてきたのか、何故大事なのか、なにが現実でなにが虚構なのか……等々について今一度しっかり解説します。
○12月16日(金) 20時~
「最近のマクガイヤー 2016年12月号」
いつも通り、最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。
詳細未定。
○12月30日(金) 20時~
「Dr.マクガイヤーのオタ忘年会2016」
年に一度のお楽しみ!
2016年度のオタクトピックについて独断と偏見で語りまくります。
詳細は未定ですが、『ローグワン / スターウォーズ・ストーリー』について語ることだけは決まっております。
お楽しみに!
番組オリジナルグッズも引き続き販売中です。
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……等々、絶賛発売中!
さて、今回のブロマガですが、今回こそ「科学で映画を楽しむ法」第2回として『コンテイジョン』について書かせて下さい。
●科学的正しさと映画的面白さは対立するか?
科学的正しさは映画的面白さと対立する――そう考えられがちです。
例えば『スター・ウォーズ』では、真空のはずの宇宙空間で、宇宙船の推進音やビームの発射音や爆発音が鳴り響きます。無重力である筈の宇宙空間なのにきっちり上下が決まっていたり、ファルコン号にもX-ウイングにも回転部が無いにも関わらず艦内にはきっちり重力が発生していたりします(スター・ウォーズ世界に「重力井戸」の設定ができたのは旧三部作完結後の1989年です)。
これは、『スター・ウォーズ』が科学的裏づけに支えられたハードなSF映画ではなく、片手に剣、片手に美女でカッチョ良い宇宙船に乗って銀河を又にかけて冒険しまくるというスペースオペラを映画で実現しようという作品だったからです。『スター・ウォーズ』は科学的正しさよりも、『フラッシュ・ゴードン』のようなスペースオペラ的爽快感や格好よさを重視する映画でした。
仮に『スター・ウォーズ』の宇宙シーンを無音にしたら、面白さは半減してしまうでしょう。
例えば『シン・ゴジラ』は、政治的手続きや自衛隊の作戦行動についてはリアリティ溢れる映画です。しかし、作中に出現するゴジラは(他作品のゴジラと同じく)生物学的にありえない存在です。「上陸したら自重で歩けない」どころか骨折してしまうだろうし、エネルギーを得るために共生している細菌は元々どこに棲んでいたのか、そもそも「まるで進化だ!」と呼んでいるあの形態変化は変態なのか「進化」なのか……
しかし、映画の面白さという観点でいえば、日本にありえない危機をもたらすための、生物学的にありえないゴジラこそが正しいのです。ゴジラが生物学的に「比較的ありえる」存在だったエメリッヒ版『GODZILLA』がどれだけつまらなかったか。ゴジラが普通のビルより小さく、ミサイルで倒される存在だったら、あれほど面白くはならなかったでしょう。
多くの映画では、映画的面白さを優先するために、科学的正しさを犠牲にします。当然です。現実ではありえないことを描けることこそが、映画の利点なのですから。
●リアリティと映画的面白さは両立する
しかし、これはリアリティを犠牲にするという意味ではありません。
たとえば戦争映画は、武器や兵器や作戦行動や軍隊内での用語や組織描写といった、戦争行動に関わるものをリアルにすればするほど(一般的には)面白くなるというジャンルです。実際に戦争に参加した人や、実際に人を殺した経験のある人が一定数いるアメリカでは(他国も同じですが)、生半可な覚悟で戦争や殺人を描けば非難が集中するでしょう。もっといえば、きちんと人が死なない戦争映画ほど罪深い映画はありません。
同じようなリアリティと面白さの関係は、裁判映画や政治映画にも共通します。これは、裁判や政治が戦争と同じく国民の何割かが経験するであろう身近な題材であるという理由の他に、裁判映画や政治映画が戦争映画の一バリエーションであるからという理由もあります。人間がこの世に生まれて死ぬ存在である以上、「何かと戦って生き延びる」映画は、リアリティに溢れた、真剣なものにならざるを得ないのです。例外として、あえて幻想的だったり象徴的だったりする描写を選ぶ場合もありますが、真剣に作られてないという意味ではありません。
しかも、この「何か」は人間に限りません。人間社会に存在する様々なシステムだったり、自然の驚異だったりということもありえます。
だから『シン・ゴジラ』のような怪獣映画も戦争映画の一バリエーションであり、ゴジラの描写には幻想性や象徴性を込めつつ、政治や自衛隊の描写にはリアリティを重視しているわけです。
この意味において、『コンテイジョン』は人類社会を脅かすウイルスとの闘いをリアリティたっぷりに描いた戦争映画といって良いでしょう。
実際に、細菌やウイルスや寄生虫を原因とする感染症が人類社会を脅かす存在であるということは、今更説明するまでもないでしょう。人類にとっての最大の天敵であり、これまで最も多く人間を殺してきた生物は、蛇や熊やライオンといった猛獣ではなく、感染症の原因となる細菌やウイルスや寄生虫です。抗生物質の開発により、人類は感染症を制圧できると考えられてきましたが、20世紀末にはそれが浅はかな考えであることが分かりました。
開発に伴う新興感染症の出現、地球温暖化に伴う再興感染症と呼ばれるすでに克服されたと思われていた感染症の再流行、そしてグローバル化による伝染の拡大……等々の理由により、21世紀は「感染症の世紀」と呼ばれています。
実際に、2009年に新型インフルエンザの世界的流行(パンデミック)が起こりました。2011年に制作された『コンテイジョン』は、当然のようにこの出来事を踏まえて作られています。
●『コンテイジョン』と類似作の違い
過去、人類と感染症の闘い――そのクライマックスとなるパンデミックを描いた映画は多数作られてきました。『アウトブレイク』『感染列島』『アンドロメダ・ストレイン』『復活の日』といった過去作と『コンテイジョン』はどう違うのでしょうか。
二つあります。取材に支えられた科学的正しさと短い映像に沢山の意味を持たせる映像的センスのよさです。
『コンテイジョン』における科学的描写は、研究室内でウイルスをどう解析するかといったミクロな描写から、人類が感染症に対してどう反応するかといったマクロな描写まで、ほとんどの点において正しいのです。ハリウッド制作の映画で、この正しさは驚くべきことです。『アウトブレイク』や『感染列島』のような大スペクタクル映画とは遠い地点に『コンテイジョン』はいます。科学的描写と映画的面白さが両立する稀有な作品の一つといっていいでしょう。
『コンテイジョン』の監督は、もはや名匠と呼んでも差し支えないスティーブン・ソダーバーグです。
ソダーバーグは26歳で『セックスと嘘とビデオテープ』を監督し、カンヌ映画祭でグランプリを受賞しました。『セックスと嘘とビデオテープ』はセックスに関するドキュメンタリーを制作している――という理屈でハメ撮りをしまくる男の話でしたが、これは監督の実際の生活を反映していたというのは有名です。ソダーバーグは若い頃からドキュメンタリーやドキュメンタリー・タッチの映画を作っていたわけです。
ソダーバーグは2000年に『トラフィック』でアカデミー監督賞を受賞します。『トラフィック』は最も早いメキシコ麻薬戦争映画でしたが、アメリカとメキシコ双方の麻薬捜査官、アメリカの麻薬密売人とその妻、麻薬撲滅担当の大統領補佐官と麻薬に溺れるその娘……といった複数の象徴的な視点をドキュメンタリー・タッチで並列に描き、「麻薬との戦争」全体を描き出すという見事な映画でした。
『コンテイジョン』は、『トラフィック』とほとんど同じ手法でウイルスとの「戦争」を描いた映画といって良いでしょう。有名スターが競演すること、本当の敵は麻薬やウイルスではなく人間社会における格差であること、強さも弱さもある登場人物たちがそれぞれの立場で奮闘し、自分なりの形でそれに一矢報いること……等々も共通しています。
●素晴らしい冒頭シーン
それでは実際に映画を観てみましょう。
『コンテイジョン』は、「伝染」や「感染」を意味する単語を冠する映画にふさわしく、一流スターであるグウィネス・パルトロウが堰こむシーンからはじまります。既に感染しているのです。最初は真っ暗な画面で、堰の音だけ聞こえるというのもセンスたっぷりです。また、直後に電話で会話するのですが、その話の内容が昨夜のセックスというのが、いかにも『セックスと嘘とビデオテープ』でデビューしたソダーバーグらしいです。
その後、不穏な音楽と共に、香港や欧州や日本で堰こみ発熱してる人が変死するモンタージュが続きます。合間に、帰宅するグウィネスのシーンが挟まります。きちんと旦那がいて、子供がいます。つまり、先ほどの電話は浮気相手との会話なのです。旦那を演じるマット・デイモンは一流スターですが、『ボーン』シリーズや前年に公開された『グリーン・ゾーン』と同一人物とは思えないくらい太っています。更に、香港に出張するほどの大会社に勤めるグローバル・エリートである妻とは対照的に、失業中であることが短い会話で示されます。妻の浮気を疑ってもいないイノセンスを演出しているわけですね。
この映画は親切なので、もう一人の主人公であるローレンス・フィッシュバーン演じるアメリカ疾病管理予防センター(CDC)局長と、最大の敵であるブロガーのジュード・ロウも直後に登場します。清掃員ですら気遣うフィッシュバーンと、仕事仲間である女性編集者すら話の成り行きによっては脅迫するジュード・ロウを対比させて、あからさまにどちらが善人でどちらが悪人か示しているのはさすがハリウッドです。編集者ロレインが妊娠しているのも芸コマですね。
そして、グウィネス・パルトロウが死にます。口から泡を吹き、身体を痙攣させ、苦しんで死にます。この映画ではマット・デイモンの次かその次くらいにランクの高い俳優ですが、映画開始8分で死ぬのです。
「残念ですが亡くなりました。お気持ち、お察しします」
と医者に妻の死亡を伝えられたデイモンが
「そう、妻と話せますか?」
と自然に返すシーンが本当に恐ろしいです。
あまりにも突然死んだので、受けいれられないのです(奥さんに精神的に依存していたことも表しています)。
この戸惑いは、観客にとっての戸惑いでもあります。
直後に息子が妻とそっくり同じように死に(ハリウッド映画で子供が無残に死ぬことは珍しいです)、グウィネス・パルトロウが検死で頭蓋骨をこじ開けられます。
「この映画は、いつ誰が急に死んでもおかしくない世界を舞台にしてるんだぞ!」というサスペンスを映画終了まで観客に投げかけることになるのです。
デイモンは医者との会話で、妻の死因が確定できないことを告げられます。この時名前が出たウエストナイル脳炎は、西ナイルウイルスによって引き起こされる感染症です。その名の通りアフリカの西ナイル地方で最初に発見されたウイルスですが、蚊を媒介動物としていることもあり、90年代以降、急激に世界中に広まっています。アメリカでも21世紀になってから数千人を越える発症者と数百人の死亡者を出し、話題になりました。
検死官がグウィネスの頭蓋骨を開いて“Oh my god”と言ったのは、あまりにもひどい脳炎だったからです。全てのウイルス感染は、ウイルスが脳に進入し、脳炎を引き起こす可能性があります。ウイルスが脳に進入するメカニズムはまだよく分かっておらず、ウイルスによって脳炎を引き起こしやすいものとそうでもないものがありますが、エボラウイルスや西ナイルウイルスは急性脳炎を引きおこすことで有名です。
●CDCとWHO
いかにも欧州っぽいスイスの電車が登場し、舞台が変わったことを示した後、マリオン・コテイヤール演じる世界保健機関(WHO)の伝染病学者が顔見せ的に登場します。WHO本部はスイスのジュネーブにあるのです。こんな美人学者いるか! とつっこみたくもなりますが、香港のモンコックで新型感染症が発生していることが伝えられます。
ここでCDCとWHOの違いについて解説しておきましょう。
CDCは感染症対策の総合研究所です。CDC(に類する機関)は各国がそれぞれ独自に設置しますが(日本のように設置していないところもあります)、この映画で描かれるアメリカのCDCはあくまでもアメリカ政府の機関であり、アメリカ保健福祉省所管の感染症対策の連邦機関であり、脅威となる疾病には国内外を問わず駆けつけますが、責任を持っているのはアメリカ国内だけです。また、感染症の調査・対策を講じる上で主導的な役割を果たしていますが、アメリカは州の自治権が強いので、このようなパンデミックが起こると州ごとに存在する保険局と合同で対策にあたることになります。本作では、CDCが全面協力しています。
WHOは全世界的な公衆衛生や健康に関する国連の専門機関です。具体的には、感染性の撲滅、保健に関する国際的な条約や協定の提案、医薬品や食品の国際的な基準の作成、研究の促進等を行っています。WHO最大の功績は、天然痘やポリオの撲滅・制圧に貢献したことです。予防接種を推進し、先進国だけでなく開発途上国に専門家や資材を送り込み、患者数を激減させたのです。現在、WHOは活動の一つとして、パンデミックを起こしそうな細菌やウイルスの世界的な監視体制を敷いており、感染拡大時に速やかに対応するためのシステムの構築や、感染症に対する科学的で正しい知識や対策の普及を行っています。
そんなわけで、まずはCDCではなくWHOの職員が香港に調査に行くわけです。
香港では、冒頭のモンタージュで苦しんでいた若者が死に、その奥さんであったジェシー・ホーも死んでしまいます。『ドリーム・ホーム』ではあんなに元気に殺人しまくっていたのに! 結局、ジェシー・ホーは台詞無しでした。
●調査員の派遣
CDCでは、ケイト・ウィンスレット演じる医師が感染症情報担当官(調査員)として召集され、現地ミネソタに派遣されます。こんな美人調査員がいるものか! と二度目のつっこみをしたくもなりますが、
「最も優先すべきことはなにか分かってるかね?」
という問いに
「発症者と感染疑い患者を隔離することです」
と即答する有能ぶりです。
ケイトの返答どおり、一番の感染疑い患者であるデイモンは隔離病棟に入らされます。しかも、娘との会話で、バツイチで、娘は前妻との子供であることが分かるというおまけつきです。十数時間から数十時間という潜伏期間が過ぎても発症しなければ疑いが晴れるというわけです。この隔離は2009年の新型インフルエンザ流行でも「水際対策」として行われました。
ケイトと現地衛生局とのミーティングが行われます。衛生局を統括するアメリカ保健福祉省には衛生警察権があり、発病者を隔離できるのです。しかし衛生局は事態の深刻さを理解しようとしません。「(2009年の)豚インフルエンザの時は騒ぎすぎだったでしょう」と発言する気持ちも、それなりに分かります。
当初、「すべての人類の脅威」とまで宣言された新型インフルエンザは、他の季節性インフルエンザと大差ない弱毒性のインフルエンザで、被害もそれほど大きなものではありませんでした。これを重く見た欧州議会は、パンデミック宣言に至った経緯の調査を行い、WHOの意思決定に製薬会社の意向が大きく影響した可能性が高いと発表しています。新型インフルエンザの発見当初、WHOは広く科学者に意見を求めましたが、製薬会社は公共機関で働く医師や科学者に対してそれなりの影響力を持っており、彼らを通じてWHOの意思決定に影響を与えたというのです。風が吹けば桶屋が儲かる的論理にも聞こえますが、感染症対策に携る医師や研究者の心中には、危機や脅威を大きめに見積もり、大きいだけの対策をとることでバッファをとり、安心する論理があります。実際に脅威が大きくても、大きいだけの対策をとっているので対応できる、見積もったより小さな脅威でも、犠牲者が少ないので結果オーライじゃないか――という考え方です。後にフィッシュバーンも会見で「対応不足で人名が失われるよりは過剰反応と言われた方が良い」と発言します。これは真実ですが、一方で医療コストを無視しており、組織の維持や権益拡大に使われる言い訳でもあります。
●R0
保険局に対し、ケイトはあくまでも「R0(劇中ではR-0と書いています)」が重要であり、早急に調査すべきと主張します。
「R0(基本再生産数)」とは、疫学において感染症が伝染する強さを表すために使われる数字です。ある一人の感染者から、平均で何人の二次感染者が出るかを表します。
R0が1より小さな場合、感染症の流行は起こりえません。段々感染者が減っていくからです。
R0がちょうど1のとき、患者数は拡大も消滅もしません。同じ患者数を維持します。
R0が1より大きいとき、流行は拡大し、パンデミックが起こりえます。
さて、様々な面で科学的に正しい本作ですが、ここで小さな間違いがあります。実は、季節性インフルエンザのR0は1ではなく2~3です。天然痘のR0は3ではなく5~7と言われています。
ただR0の算出には、細菌やウイルスの感染力だけでなく、公衆衛生――回復率や隔離率も加味されます。インフルエンザ流行期にマスクを着用するとか、エイズ患者に抗ウイルス薬を投与するとか、はしか流行期に学級閉鎖を実施するとかいった対策後、疫学的な統計をとると再生産数(R)は低下します。最初の基本再生産数をR0、変化した後の再生産数をRと表記するわけです。
もっといえば、R0はワクチン接種の目標となる集団免疫率(ある集団の中でその感染症に免疫を持っている人の割合)を決定するためにも重要です。
たとえばR0が4の感染症が発生したとします。この感染症の流行を防ぐために必要な集団免疫率はいくつでしょうか?
流行を防ぐためには、R0を1以下にする必要があります。
つまり
R = R0 × (1-P) < 1
R0が4なので、
4 × (1-P) < 1
これを計算すると
P > 0.75
となります。つまり、75%を越える集団免疫率を達成すれば良いのです。
ちなみに、この数値はR0が2の時は0.5、R0が5の時は0.8になります。R0が高いほど、高い集団免疫率が必要になります。
●加速する映像
さて、ここまででたったの20分です。
20分であるにも関わらず、圧倒的な情報量と専門用語の多さです。ソダーバーグ以外の監督だったら、ここまでの情報量を詰め込むのに1時間はかかるでしょう。もしくは、主役を一人に絞り、要素をごっそりそぎ落とすでしょう(『アフトブレイク』と比較すると分かり易いです)。
凄いのは、専門的な情報を理解できなくても、映画の中の人間が苦しみ、切迫しているということが強烈に伝わってくることです。有名スターや子役が無残な死を遂げる理由がここにあります。
この傾向は、映画が進めば進むほど加速していきます。
(次回に続く)
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平野建太
発 行:株式会社タチワニ
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