大きな意味で楽しい何か

陽気な新人サラリーマンの公開手記辞典 #009

2016/08/19 14:23 投稿

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初めての学校経理 #002 ⇒ ar1043562
初めての仕訳 #003 ⇒ ar1048597
初めての出張 #004 ⇒ ar1055210
初めてのUDS #005 ⇒ ar1059032
初めての配達証明 #006 ⇒ ar1080495
初めての残暑見舞い #007 ⇒ ar1082174
初めてのレクリエーション #008 ⇒ ar1087610



・あらすじ

君が慌ただしく隣の席でお茶を溢した時、
僕の頭の中には、慰めの言葉が浮かんだ。

けれども、その慰めながらも、溢れたお茶を拭くに従って、
すうと自分が適当に置いてしまったお茶が消えてしまった事を思い出す。

それ僕が間違って置いてしまったお茶だ。











「だからさ。衣食に不自由のない人が、云わば、物数奇にやる働らきでなくっちゃ、
 真面目な仕事は出来るものじゃないんだよ」夏目漱石 それからより









部長「物事を合理的に考えれば良い。」

僕「合理的ですか。」



ごうりてき
【合理的】
道理や論理にかなっているさま。






久しぶりに部長と二人きりで仕事の話をする機会があった。

仕事は人で選ぶなと良く言われるが、
今の職場を選んだ理由はただ一つ、部長だ。

今回いくつかの学校に応募して、
嬉しい事に数多くの学校から良い返事を頂けた。

広報という仕事も学校職員という職種も未経験だった為、
どの職場にしろ自分に条件が良ければ、それに越した事はない。

しかしそれでも、
部長の存在がどれだけの物かを分かり易く言うと、
・自宅から徒歩5分の女子大
・給料が40万の名門大学
これらを断ってでも部長の下に就きたいと思える程、
部長の存在は大きかった。

女子大を蹴るなんて正気の沙汰ではない。






レクリエーションの帰り道。



僕「新人がこれだけ入るって事は、それだけ人が辞めてるんですかね。」

部長「うーん、それもあるでしょうね。」

僕「大丈夫なんでしょうか、うちの学校は。」

部長「持論だけど、どんな優秀な人間が辞めても会社は潰れない。
   ただ、お金が回らなくなったら簡単に会社は潰れる。」

僕「例えば、うちの話じゃないですけど、
  営業の人が数百万の案件を持って他の会社に移っても
  潰れる事はないって事ですか?」

部長「数百万で回らなくなる会社であれば潰れる可能性もある。
   でも会社の商品を扱っているのだから、
   人が変わった所で会社が建て直せなくなるなんて事はまずないよ。」

僕「なるほど。」

部長「営業の人ほど『俺らが会社を支えてる』『社長に飯を食わせてる』
   なんていう思い込みをし易いんだ。」

僕「よく見ますね、そういう人。笑

  でもそういえば、僕が学生時代の話だったか
  ベンチャースピリットなんて言葉を教え込まれて、
  社員一人一人が自分を経営者に置き換えて仕事をしなさい!
  って言われて来ました。

  それを思えば『俺が会社を..』って人の方が正しいとも
  思えるんですが。」



べんちゃーすぴりっと
【ベンチャースピリット】
元々は「投機的精神」という意味で、
簡単に言ってしまえば「豆腐が人気だ豆腐を売れ!」という
チャンスに投資して利益を稼ごうという精神論だったが、
現在では「チャンスを見出して企業にしてしまえ!」という
前向きな意味で使われている。

新たな流行を作るベンチャー精神を忘れるな!という教え。



部長「うーん、住んでる世界がまた色々だと思うからね。
   一概に何が正しいとは言えないけど、それらはあくまで
   精神論だからさ、本当に自分を社長だと思っちゃダメって事よ。
   どんな仕事でも天狗になったり、傲慢になってはいけない。」

僕「その通りですね。」






部長「スーパーで鮮魚や惣菜のコーナーをチームとして
   対抗させて利益を競わせるのは面白いと思う。
   パートさんも社員の様に責任を持って取り組むだろうし、
   それが直接的な賞与に繋がるのなら尚更理に適ってる。

   ただ、どうだろうなー。
   佐々木くんどう思う。」

僕「うーん、僕はそうですねー。」



僕「嫌ですね。笑」



部長「そう思う人は多いと思うよ。笑」

僕「よっぽど一致団結した職場で
  全員が熱意を持ってないと中々厳しいと思いますし、
  僕がパートならもう少し気楽に働きたいと思っちゃいます。笑」

部長「私もそうだったろうね。
   中々簡単な話じゃない。
   最近は『どうしてもここで働きたい!』って言って
   仕事を選ぶ人だって少ないんだから。」

僕「それはそうですね。
  僕も最初に就職した会社は『どうしても!』という訳じゃなくて、
  業種で選びました。」

部長「それはそうだろうね。」

僕「業種で探して何社か応募して、一番条件が良い所を選んで..」

部長「今じゃネットで調べると簡単に会社の概要も出てきちゃうから。
   知識なんて持ってなくても、興味だけで応募できちゃう。

   悪い事だけじゃ無いと思うんだけど、
   比例して『実際に働いてみると違った』
   なんていう声を良く聞くようになった気がする。」

僕「なるほど、不思議だ。笑
  簡単に調べられる分、軽率になっちゃったんですかね。」

部長「分からないね、何とも言えない。
   ただ、結論として『どうしてもここで働きたい!』と思って
   会社の為に働ける人は少なくなったって事かな。」

僕「難しい所です。」






僕「どうしたもんですかね。
  会社に対して傲慢になってしまう人や仕事に熱意がない人は。
  どう考えて仕事に取り組むべきですか。」

部長「取り組み方を変えるってのは難しいけどね、
   物事を合理的に考えれたら良いと思う。」

僕「合理的ですか。」

部長「そう、例えば傲慢になってしまう人は、
   自分が置かれた立場をもっと省みるべきだね。

   自分が会社を立ち上げるとしたらどれだけの手間隙と資本金が必要なのか
   まあそんな基本的な事だけじゃなく、看板を借りるっていうのが
   どれだけ幸せで楽な事なのかを考えれないとダメだね。」

僕「仕事があるという事はどれだけ楽な事なのか考えるという事ですね。」

部長「そうだね、言ってしまえばサラリーマンというのは
   給料と仕事を貰ってる立場な訳で、
   仕事を一から探して商品を作ってってなったら
   やる事が多すぎて休みなんて取ってられないだろうからね。

   当然といえば当然の事なんだけど、
   ある瞬間、急にそういう事を忘れちゃうんだ。

   その先で昇給だったり昇進だったり
   金銭面や時間面でも楽になっていくのに。」

僕「すぐ辞めてしまう若者はどう考えるべきですかね。」

部長「うーん、何もかも自分の思い通りに仕事をしたいなら、
   どうしたって下積み期間は必要でしょうね。

   自分を何者でもないという考えを忘れないで欲しいかな。」

僕「初心を忘れずという事でしょうか。」

部長「うん、若い人は若い分仕事を覚えるスピードも早いんだ。
   人間の性能的に若さというのは大きな長所なんだ。」

僕「そうなんですかね。」

部長「2、3ヶ月もすれば与えられた仕事なんてアッという間に覚えちゃうでしょ。
   その仕事を何年も続けてる人より正確だったり、
   要領が良かったり、時には上司を疎く感じる時もある。」

僕「そんな事思ったことがありませんよ!」

部長「良いんだよ気を使わなくて。笑
   パソコンに関しては部署で一番佐々木くんが詳しいのは間違いない。
   だから私らは困ったらあちこちで佐々木くーんて呼ぶでしょう。」

僕「パソコンに詳しくて良かったです。
  ただ、経理や広報に関してそれ以上に教わってます。」

部長「それはそうでしょうね、KさんもCさんも、
   君が勤めるよりも前からその仕事をしていた人たちなんだから。

   でも本当にその通りで、その気持ちが大切なのよ。」

僕「教わっているという気持ちですか。」

部長「パソコンに詳しいという点で自分の方が優れているんだと感じた時、
   佐々木くんは相手を見下したりするかい?」

僕「いやいや。
  よっぽど捻くれてますよそんな奴。笑」

部長「まーそうだろうね。笑」

僕「パソコン教室の先生だったというのも大きいかも知れません。
  確かに上司の悪口を言う人や同僚を蔑む人は思い当たります。

  僕は母親の教えもそうですが、最初の職場で
  できない人を責めたり哀れんだり蔑んだりしてはいけないという
  強い教えや共通認識がありましたから。」

部長「それはお客さんだけじゃなくて?」

僕「そうですね、僕は一番下っ端だったというのもあって
  何か同僚に教える事があるだけで嬉しかったです。
  今もそうですね。

  少しでも必要とされることがモチベーションになります。

  なので、仕事に関しては人を見下すという事が無かったです。
  ただ、先輩でも上司でも違うと思ったらガシガシ噛み付いてました。笑」

部長「ウチに来て初っ端、Sさんともぶつかってたもんね。笑
   皆思っても言わなかった事をズバズバ言うから凄いなって関心したよ。笑」

僕「あれはちょっとやりすぎました。笑」

部長「まあ話は戻るけど、
   えーっと、

   なんだっけ?笑」

僕「自分は何者でもないという話ですよね?笑」

部長「そうそう、それ。笑

   与えられた仕事をこなして貰う為に会社は給料を支払っていて
   そこにプラスアルファを見込んで人を雇っているんだ。」

僕「そうですね。」

部長「だけどその途中で上司よりこれができるあれができるからって
   すぐに相手を自分より下に見てしまうと成長が止まっちゃう。

   次にステップアップして貰いたくても、
   言うことを聞いてくれなくなっちゃう。
   そうやって徐々に歪が生まれて不信感になって辞めちゃうのかな。」

僕「本当に若い子で多いですね。
  大した事ない事でブラックだなんだって騒ぎ立てる子も居るし、
  ちょっと後輩ができただけで勘違いしちゃう子も多いですね。」

部長「『自分の仕事』を勘違いしちゃう人も多い。
   それは私の仕事じゃないのでーって平気で言っちゃう人は、
   若さとは関係なく結構居るよね。

   本当に新人の頃だったら与えられた仕事は何でもやるでしょ?
   いつの間にか自分を特別視しちゃってるんだ。

   だから本当は新人の研修時に後輩の育て方や
   仕事が慣れてからの動き方みたいなのも教えるべきだと思う。」

僕「本当にその通りですね!
  Sさんの話ですよね?笑」

部長「こらこら。笑
   勝手に梯子をかけない。笑」

僕「与えられた仕事はステップアップの途中であって
  ゴールじゃないという事ですね。」

部長「そういう考え方でも良いし、
   とにかく与えられる全ての仕事が自分の仕事だと思って欲しいね。

   別に誰かや何かを目標にしてステップアップするだけが
   仕事だとは思わないから。

   ただ、結局ここに至るんだけど

   与えられた仕事をこなすのは当然で、
   嫌いな上司も苦手な先輩も皆そうやって給料を貰って
   社会人としてやってきてるんだっていう
   初歩的な発想を大切にして欲しいね。」

僕「...そうですね、何だか身が引き締まる思いです。」

部長「社会というのは実に合理的にできているんだよ。
   その道理や論理から逸脱している先輩や上司が居たら、
   そうならない様に気を付ければ良いんだ。

   例え別々の道から来た人でも、
   今同じ道を歩いているなら、
   仲良くやった方がその先得でしょ?」

僕「その通りだと思います!」

部長「仲良くやれよ。笑」

僕「仲良くやってますよ!笑」

部長「あ、そう。笑」






自分を社会の歯車だと思うと、
自分がとても小さく弱い存在に思えるかも知れない。

でも歯車を作る仕事をしている人にとっては歯車は主役であり、
歯車を使った機械を作る人たちにとっては精巧であって重要な存在。

合理的な考え方と多角的に捉える順応性。
この2つがあれば、人生も仕事も楽しくする事ができるんだと、
部長は教えてくれた。






受け継げる物は全て受け継ぎたいと
心から想う佐々木であった。






陽気な恋人(佐々木)

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