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陽気な新人サラリーマンの公開手記辞典 #001

2016/06/01 16:31 投稿

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~まえがき~
社会人・陽気な恋人(佐々木)が、新しい職場で覚えた様々な常識を
多種多様なフィールドで共に戦う社会人の皆様と、これから社会人になる皆様と
少しでも共有し、また何かのお役に立てればと思い、手記を辞典風に公開していきます。

名前:陽気な恋人(佐々木)
年齢:28 性別:男
職務経歴:
パソコン教室インストラクター(8年)
 → 某専門学校 総務部 広報課 兼 経理課(今ココ)
資格:
パソコン関係の資格を10個程。



社会の荒波に揉みしだかれて10年弱。
そろそろ常識的な事は網羅したつもりでいた。

とある事情で長年勤めてきたパソコン教室を離れ、
コレクターなのかと思える程手にしたパソコン資格を携え
どこか他の現場でも生かせないかと思い立つ。

様々な企業に応募し、様々な企業から暖かい返事を頂いた。

そんな中でも一番暖かく迎えてくれた、とある専門学校に就職を決意。
学校職員という未知の世界に足を踏み入れる事にした。



そんな学校勤務初日の事。



挨拶早々に部長が切り出す。

部長「じゃあ佐々木くん、トウホン取ってきて。」

僕「トウホン?」



とうほん
謄本
原本の内容を全部書き写した(または複写した)文書。
個人情報や不動産情報が載っている。



部長「トウキボトウホンね。」

僕「トウK...ト...ホン...トンボ...トンボの?」

部長「トウキボ、トウホンね。」



とうきぼとうほん
【登記簿謄本】
不動産の登記情報が載った紙の事。
建物や土地についての権利内容が記されていて、お金を払えば誰でも手に入れる事ができる。




とんぼ
【蜻蛉】
細長い体に薄っぺらい羽を着けたおもちゃみたいな昆虫。
小学生の標的。




パソコンを使う仕事がメインである為、聞かれて分からない事はまず無いだろうと
高を括っていたが、出鼻を挫かれてしまう。

部長も「みなさんご存知」という様な言い回しだったので、僕も「ああ、あのアレね?」
という様な顔面だけ構築してみたが、嫌な汗をかいていた。



たかをくくる
【高を括る】
「残高」や「生産高」などの数量や金額の見積もりを適当な所で括り(区切り)、
「ざっとコレぐらいかな?」と予測を立てる事。元より悪い意味では無い。



でばなをくじく
【出鼻を挫く】
出たばかりの所や、始めたばかりの所を邪魔されること。
部長は別に邪魔した訳じゃない。



渡された交付請求書(登記簿謄本を貰う為の紙)を持って、
隣のデスクに座る先輩Kの下へ。

僕「部長がトンボ持って来いって。」

先輩K「え!?部長が!?今!?なんで!?」

僕「これ渡されました。」

渡された交付請求書に見せる

先輩K「あ!登記簿謄本か!それなら法務局に行ってくれば良いよ!
    あと収入印紙も必要になるからお金は金庫から持っていってね!」



ほうむきょく
【法務局】
不動産である土地と建物や会社の登記を扱う役所。
法務省管轄の役所で、日本全国に約500箇所しか無いレアな建物。
法務局の周辺には税理士共がこぞって事務所を構えている。まるで野営地。



しゅうにゅういんし
【収入印紙】
お国が租税や手数料を取る時に使われる切手のような物。
受付に「600円になりまーす」と言われて600円渡しても「あ?」という顔をされる。
そういう時は空気を読んで隣の窓口で「600円分の収入印紙下さい。」と言って購入し、
紙に貼って渡せばニッコリしてくれる。



そぜい
【租税】
国や県や市町村などが、強制的に徴収するお金。
所得税や住民税もこの類。ちなみに罰金などは「公課」と呼ばれ、似て非なるもの。
強制的に支払わざるを得ないお金を一括りにして「租税公課」と呼ぶ。




手取り足取り教えて貰い(地図まで作って貰い)法務局へ向かう。
「こんなにも世の中にはまだ知らない事があるのか」と少し落ち込んでいたが、
16歩目ぐらいで「あんぱん食べたい」という思考に至り事なきを得る。



あんぱん
【あんぱん】
餡子を包んだパン。
または、シンナー及びシンナーを吸う行為の事。



法務局に着き、迷うことなく受付のお姉さんに話しかける。

僕「あn...登記簿謄本を下さい。これで。」

ジッと書類を見つめる受付のお姉さん。
平静を装うが実際はかなり怖い。

受付「はい、ではこの番号札でお呼びしますのでお待ちください。」

渡した紙よりデカイ、設計ミスの様な番号札を受け取りソファーに腰掛ける。
平静を装っては居たが、実際は緊張で漏らしそうだった。

受付「番号札○○番の方ー。」

最近は謄本がパソコンですぐに取れるので、待ち時間は異様に短い。

僕「収入印紙はいくらですかね?」

受付「えーっと、こちらとこちらがゴウヒツの為、ヘイサになってますが、いかがしますか?」

完全に漏らした。

僕「ちょおtyとtっちょっとおまっtt待って下さいね、っきkkい聞いてみます。」

光の速さでその場から離れ、部長に電話を入れる。

僕「っぶbbぶyt部長、ヘイサnになってrるらしsいですどうぞ。」

部長「え?ああ、余計なのはいらないって言ってくれたら良いよ。」

こんなにありがたい助言はない。
何言ってるか分からない相手に対して「余計なのはいらない」の一言で
全てが丸く収まるというのだから。

電話を切り、気持ちを落ち着かせ、平静を装い受付へ。

僕「余計なのはいらないです。」

受付「は?(笑顔)」

完全に漏らした。

僕「そっsnその、gゴウhヒツと、ヘイsサの意味を教えて頂けませんか?」

お姉さんは笑顔のままだが目力が強くなるのを感じる。

受付「この○○番地と□□番地が別の△△番地とゴウヒツしてるんです。」

僕「ふぇえぇえ、そそsうですかぁあ。」

受付「なのでこの○○番地と□□番地はヘイサしてます。」

僕「ふぇええぇえ、そぉいつはすげぇやあぁ。」

何となく意味は分かった気がしたがだからどうしたという状態。
結局のところ部長の言う「余計なの」がそのヘイサを指しているのか、
もう一体ここがどこなのか訳が分からない。

しかし手元に目をやると、金庫から渡された金額と謄本の件数が一致している。
最終的にはヘイサでもゴウヒツでも全部出して貰えば良いのだ。

そして最後の手段、
早朝に登記簿謄本を頼まれた所から先ほどの電話まで一連の流れを説明してみる。
時間が許すなら生い立ちから全て話したい所だった。

もしこれでも伝わらない場合は、目の前で腹を切りながら「お前がいけないんだ」
と言い残して死んでやろうと思う。

しかし、どうやら僕の必死な説明と潤んだ瞳が功を奏したのか、
全てを理解してくれた様子。



無事登記簿謄本を獲得する事ができた。



こうして初めてのおつかいは幕を閉じた。

どこの世界にも言える事だが、現場の数だけ常識がある。
また一つ賢くなり、少しずつ社会人として成長していくのだ。





ごうひつ
【合筆】
主に隣接する土地が合体して一筆になること。
不動産が土地を数える時の単位が「筆(ひつ)」。
Aの土地とBの土地を合筆してAとする。みたいな。



へいさとうきぼ
【閉鎖登記簿】
受付のばばあが連呼していたヘイサとは閉鎖登記簿の事。
土地が合筆したり建物が取り壊されてしまい、記録上には残っているが
実在していない状態の事を指す。
最初からそう言えばばあ。
長生きしろよ。



つづく

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