衆議院本会議討論(2013年11月26日)
11月26日、与党側の強引な決定により、「特定秘密の保護に関する法律案」および自民党、公明党、日本維新の会、みんなの党提出の「秘密の保護に関する法律案の修正案」が衆議院本会議に緊急上程され、討論が行われました。
生活の党からは玉城デニー幹事長代理が反対の立場から登壇しました。
反対討論全文は下記の通りです。
【反対討論全文】
生活の党の玉城デニーです。
私は、生活の党を代表して政府提出の「特定秘密の保護に関する法律案」および自民党、公明党、日本維新の会、みんなの党提出の「秘密の保護に関する法律案の修正案」に断固反対の立場から討論を行います。
それにしても安倍政権と与党の国会運営には「国民の代表による言論の府」という矜持が欠片もないことがはからずも顕著になりました。
福島県福島市で開かれた地方公聴会はつい昨日のことです。与党も含めた各党から推薦された7名の意見陳述人からは、地方の意見を、被災地の意見を、もっと多くの国民の声を全国の地方公聴会を開催してぜひ拾ってほしい、拙速な結論を急いで出すべきでは全くない、などの強い要望がありました。
このことはこれまでの委員会質疑・理事会発言で野党各党が繰り返し求めてきた、「国民意見を聴取する機会を出来る限り持つべきである」という必要かつ重要な民主的議論のための手続きであります。
にも関わらず、国会日程を優先させるがために、慎重な審議を求める国民の願いを振り払い、地方公聴会翌日にわずか2時間の質疑のみで、討論の機会すら設けずに採決を強行するということは、政府与党のまさに驕り・高ぶり・横暴ぶりが国権の最高機関の権威をも汚すものと糾弾されるべきであります。
尚、陳述人の7名の皆さん全員が本法案に反対の立場だったことも報告しておきます。
そもそも、国が扱う様々な情報は、本来、国民の財産であり、当然、国家の主権者たる国民へ公表・公開されるべきものであることは言うまでもありません。
ところがこの法律案は、行政機関の長が秘密指定できる情報の範囲が広いうえに、恣意的に指定される場合もあり得るという懸念が指摘されており、国が保管する情報にアクセスしようとする一般の国民はもちろん、我々国会議員や報道関係者をも「漏えいを防止する」ことが目的であれば、例えその行為が未遂であろうとも重罰規定によって牽制しようとするもので、「知る権利」を著しく侵害するものであります。
国家にとって漏らしてはならない重要な情報が存在するということは、膨大な情報が溢れている現代社会の中で生活するものであればだれもが理解できることでしょう。
他方で、政府がどのようにして外交・安全保障上重要な情報を決定し、政策として具現化していったかということについては、第三者はもちろんのこと、後世が情報を正しく分析し検証をするという手だてがなければなりません。
誤った情報による外交上の失敗を繰り返さないためには、政府の持っている情報を国民にしっかり知らせて、国の方針が正しいかどうか、国民に判断させることこそが重要なのです。
ところが、沖縄返還時における密約問題を一例に見ても、当事者である県民にその情報が公にされるどころか、密約が存在したことが証明された後も政府はその存在を否定し続け、隠蔽してきたではありませんか。行政による恣意的な秘密保全が、国民の政治参加意識そのものを拒否するものであっては絶対ならないのです。
アメリカ合衆国の秘密保全法制は、議会の特別委員会における審査や国立公文書館・情報保全監察局長による機密解除請求などの多くの秘密指定を適正化するための制度が設けられています。
大統領令によって、機密指定をする際にその指定を解除する日を特定しなければならないとされており、その期日が到来すれば自動的に機密指定が解除される制度となっているのです。
他方、そのアメリカとの安全保障における情報の共有体制に恋々とする安倍政権・与党のこれまでの法案・修正案は、特定秘密の指定時に5年を超えない期間で指定の有効期間を設定する旨の規定はあるものの、修正案では延長期間が最長60年まで先延ばしされ、いったん秘密指定を受けた特定秘密は、廃棄に関する責任の所在規定が置かれていないことなどから、永久に国民の目にさらされることがない可能性も払拭さておりません。
もともと問題だらけであった法律案に、弥縫に弥縫を重ねた、危険と欠陥のツギハギだらけの法案・修正案では、真に国民の側に立った、国民の望む平和的な安全保障政策など実現できるはずはありません。脅威をあおり、対話を閉ざして集団的自衛権行使にひた走る安倍政権の国民に対する愚策暴挙そのものであり、断じて許されることではありません。
以上のことから、この法律案及び修正案について、国民の知る権利や報道・取材活動の制限、プライバシーの侵害などを強めていること、「国民主権」のもとで本来国民が持つべき権利の行使こそ最優先されるべき民主主義の根幹であることを強く指摘するとともに、生活の党として国会法・自衛隊法及び国家公務員法など、現行法規の改正で法案を成立させずとも意義をなしうるという政策理念の観点から法案及び修正案に断固反対し、討論といたします。
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