衆議院本会議討論(2013年11月19日)
衆議院本会議にて、内閣提出の「社会保障プログラム法案」(持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案)について討論が行われ、生活の党を代表して小宮山泰子国会対策委員長が反対の立場から発言しました。
討論全文は以下の通りです。
【反対討論全文】
私は、生活の党を代表いたしまして、ただ今議題となりました「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案」について、反対の立場で討論を行います。
少子高齢化の急速な進展、経済の低成長・低迷、雇用基盤の変化など社会経済状況は大きく変化しています。
このような中で、我が国の社会保障制度の改革を進めるには、国民一人一人の命と暮らしの安心が守られる安定した制度へと再構築することを目指すべきではないでしょうか。
本法案の、ありとあらゆる「改革」と称するものは、国民の命と暮らしを軽視する思考が露わであり、国民の生活を第一とする我党としては到底容認できるものではありません。以下反対の主な理由を申し上げます。
反対する第1の理由は、本法案は、消費税引き上げのための単なる「言い訳法案」に過ぎないことであります。昨年の社会保障と税の一体改革では、社会保障制度改革の議論をきちんと進めるということが消費税引き上げの前提となっていたはずです。
にもかかわらず、安倍内閣は社会保障制度改革の議論に真正面から向き合うことを放棄して、消費税の引き上げにのみひたすら邁進しています。本法案では、少子化対策も、医療も、介護も、年金も、抜本的な改革は打ち出されておりません。
消費税の引き上げに合わせて社会保障も充実するのだという政府の言い訳の為に、現行制度にこだわり、当面の手直しに終始した、中身のない本法案を成立させる意味は全くもってないと考えます。
反対する第2の理由は、こうした当面の手直しにおいても、社会保障の充実より負担増を先行させている点であります。
政府から出てくる話といえば、70歳から74歳の高齢者の医療費の自己負担の2割への引き上げ、介護保険における、要支援者の切り捨てにつながりかねない予防給付の市町村への丸投げや、難病患者の自己負担の引き上げなど給付減や負担増の項目ばかりであります。
国民に生活の安心を与える社会保障制度の充実からは程遠い状況にあります。
そもそも、政治や行政の身を切る努力はどこへ行ってしまったのでしょうか。議員定数の削減議論は遅々として進まず、天下りも未だに禁止できていません。
やるべきことをやらずに、物言えぬ一般市民のように、取りやすいところから取るのでは、順序が全く逆であります。このような負担増ばかりを後押しするような法案には断じて賛成できません。
反対の第3の理由は、社会保障に対する国の責任を大きく後退させようとしている点であります。社会保障は、自助、共助、公助の組み合わせであり、国民が自立した生活を営むことができるよう、家族相互、国民相互の助け合いの仕組みを通じて、これを実現する環境整備は重要であります。
しかしながら、本法案では、あえて自助・自立の為の環境整備に係る規定を設け、ことさらに自助を強調しております。これは、共助、公助の役割を相対的に低下させることになり、とりわけ、公助、すなわち社会保障に対する国の責任を大きく後退させることになりかねません。
高齢化が進み、一人暮らしも増えるなど、自助・自立が難しい時代だからこそ、共助・公助を充実させ、国民の皆様が安心できる制度改革が求められるのです。しかし、安倍内閣の進める社会保障制度改革は、こうした方向性に明らかに逆行しており、到底賛成できません。
最後に、消費税増税に邁進し、社会保障の給付減・負担増ばかり目指そうとする安倍内閣の社会保障制度改革は改悪であり、断固として認められないことを申し上げて、私の反対討論といたします。