小出裕章さんとの対談を終えて(2013年5月31日)
5月31日、小沢一郎代表と小出裕章京都大学助教が、大阪にある京都大学原子炉実験所にて対談を行いました。対談後に行われた小沢代表のぶら下がり取材の要旨は以下の通りです。
【ぶら下がり取材要旨】
小出助教との対談について
Q. | 小出裕章助教との対談で印象に残ったこと、参考になったことは何か。 |
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A. | 最大の問題点は、もう(福島原発事故が)収束したと言った政府が(過去に)あったし、現在の安倍内閣も事実上、この問題は収束したと考えているのではないか思う。原子力の全面再開、新たな原子炉の建設、海外輸出もする。そんなことまでも日本の経済発展のために必要だと、おおっぴらにやっている。まさにこの原子力の放射能の問題を全く考えていない。そういう状態に政府はある。大変深刻な恐ろしい現実だと思う。 今日、小出先生からお話を伺ったけれども、どこにあるか分からない溶融して落ちてしまった燃料を探し出すのは、言うべくして難しい。しかし今、現存している、特に4号機の使用済み燃料、これが今にも何かの衝撃で落ちそうな状況にある。これをより安全なところに移すことが、まず大事だと。しかしその移す作業の間にその燃料棒が破損したりするとまた大変なことになる。細心の注意とかなりの費用と年月がかかる。それが完成しないと、あそこ全体を覆う放射能を封じ込めるための石棺作業には取り掛かれないだろうということだった。 このまま放置すればどんどん汚染水は多くなり、メルトスルーした燃料がコンクリートの壁を抜けると地下水に直接つながり、非常に危険な深刻な状態ということを理論的に説明いただいた。大変参考になったというよりも、私どもはあの事故以来、これは大変な危険状態にあると言ってきたが、それが専門の方の説明で、その通りだ、非常に憂うべき深刻な事態であると分かった。野党の立場で今、どうこうできないけれども、あらゆる機会に国民皆さんにお話しして、国民皆さんの力で、まずは放射能を封じ込めると。この作業をいくらお金がかかっても、また10年、20年、何年かかっても、やり遂げなければならないと日本の将来はないと改めて確信した。
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安倍政権が進める原発の再稼働と原発の輸出について
Q. | 安倍政権が進める原発の再稼働と原発の輸出について、国際社会の反応をどう予想するか。 |
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A. | どこの国でも原発に利害を持っている人たちは許容するが、心ある大多数の人は、おかしいという気持ちを持つだろうと私は思う。日本とはどういう国だと。自分のところで原発事故を起こして、その処理も全然できていないのに、他人の国へ輸出するのかと。そういう議論が高まる可能性が非常に強いのではないかと。そのことも国際的な信頼を低下させることであり、心配している。まずは福島原発の放射能の封じ込めを何が何でもやるということを前提にしながら、原発とこの辺で決別しようと国民的な合意に達しないと、「成長戦略なんだ。景気のためには必要なんだ」みたいな当面のちょっとした利益、利害のために百年、千年、万年の大計を誤ってはいけないと思う。
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参院選公約について
Q. | 今回の視察の知見を参院選公約にどう生かし、いつごろ発表するのか。 |
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A. | 担当者が鋭意詰めている。月を越したら、できるだけ早い時期に世に出したいと思う。公約としてのマニフェスト的なものと選挙の時に国民皆さんに分かりやすく説明するものとは少し違う。脱原発、当面の最前提としての放射能の封じ込めと福島原発の事故の処理ということは降ろさずに主張していく。
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脱原発方針の国民への周知について
Q. | 政府が7月、4つの原発を再稼働させようとしている中、党名があまり浸透していない生活の党として脱原発の方針を国民にどう周知していくのか。 |
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A. | 生活の党が国民に浸透していないと心配する人がいる。(2009年の)政権交代の時に「国民の生活が第一」という旗印はほとんどの人が理解している。それが民主党政権の失敗によって、色褪せた感じになり、国民皆さまの失望を買ってしまった。そういうところに若干浸透しにくい面がある。原発の問題は、まさに暮らし、いのち、そのもののことである。これをしっかりと機会あるごとに伝えることによって、国民的な広がり、合意をぜひ形成していきたい。結局は、どうするのも、民主主義ですから国民の意思である。後になって、「こんなはずではなかった」と後悔することがいくつもあるかもしれない。その時々は国民の意思、多数でもって決定していく。先になって、「こんなはずではなかった。あの時こうすれば良かった」といっても放射能の問題は遅い。参議院、次の衆院選に向けて、国民の合意を形成して、新しい政権できちっとした政策をできるようにしたいと思う。
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