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働くお母さんたちのために待機児童の解消を

2013/03/14 14:15 投稿

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青木愛代表室長衆議院本会議代表質問(2013年3月5日)

青木愛代表室長衆議院本会議代表質問

 生活の党の青木愛です。私は、生活の党を代表して、安倍総理の施政方針演説に対する質問を行います。

【内容】

待機児童、子育て支援について

 先月、杉並区や足立区で二歳未満の待機児童を抱えるお母さんたちが、区役所前でもっと保育所を作ってほしいと抗議デモをし、行政不服審査法に基づく異議申し立てをしました。杉並、足立それぞれで千五百人以上のお母さんたちが子どもを4月から保育所に入れられないという区からの通知を受けたからです。働くお母さんたちが待機児童の解消に向けて、ついに立ちあがったのです。

 安倍総理は、施政方針演説で「保育所の受入児童数を拡大する」と言われましたが、肝心の保育所を増やすことには触れられませんでした。認可外でもいいから身近な場所に保育所を増やしてほしいという待機児童を抱えるお母さんたちの切実な声は、安倍総理に届いていますでしょうか。

 私は待機児童の解消への第一歩と考え、2年半前、地元足立区で小さな保育所を開設しました。お母さま方のご協力を頂きながら、何とかやりくりをして地域のお子様をお預かりしています。しかし、区の抱える課題の解決にはやはり政治の力が必要です。

 前政権で子ども手当をやりきれなかったこと、子育てのしやすい社会へのさまざまな改革にこれからというところで、政権を失い、地方分権をはじめとする、より大きなこの国の改革に取り組めなかったことは残念でなりません。改革の歯車をもう一度前に回していきたい思いです。

 政府は3歳から5歳を軸に幼児教育の無償化の実現に向けた協議会を設置する方針と伺っております。幼児教育の無償化を否定するものではありません。ただ課題である待機児童の対象年齢は、0歳から2歳がその8割を超えており、政策優先順位は待機児童問題の解決です。なぜ、働くお母さん方が本当に困っている2歳未満の予算が増えないのでしょう。小規模保育所や保育ママの増設、無認可保育所への支援に加え育児休業制度の大胆な拡充が求められます。

 来年度予算案を見ると国民一人あたりの少子化対策予算は先進国の平均の半分以下です。申し立てをするほどに要望の高い、いま目の前にある問題に予算を付けず、いくら景気対策とはいえ、いずれ人が住まなくなるようなところにまで、なぜまた道路をつくり始めるのでしょうか。総理は子どもに係る予算の優先順位をどうお考えでしょう。

 少子化が今のペースで進めば、50年後には日本の人口は9千万人を切り、100年後には5千万人を下回り、そして千年後に人口はゼロになると、社会保障人口問題研究所が試算しています。高齢化で滅ぶ国はありませんが、少子化を放置すれば、国力が落ちていずれ国は滅びます。仮に今日、出生率が人口維持水準の2・05を回復できたとしても、実際に人口減少が止まるのは50年後と言われます。度々引き合いに出されるフランスでは、手厚いきめ細やかな財政的支援を柱に、同じ所得でも子どもの数が増えるほど所得税の負担が少ない大家族優遇の税制に切り替え、出生率は2を回復しました。予算配分や税制の舵を今、大きく切らなければ国の存亡に関わるという危機意識を、安倍総理は持っておられますか。舵を切る方向性が間違っていませんでしょうか。ご認識をお伺いします。

被災地の復興、地方分権

 被災地の復興は大幅に遅れています。地元関係者からは、地元の要望に沿った事業に予算がつかないとか、復興予算がついても様々な規制や省庁の縦割りの弊害があって、執行が難しいとの不満の声を頂いています。例えば、政府が5省庁40事業という枠を決めたら、それにあてはまる事業しか承認されません。また、土地の移転や造成、住宅の建設のように、いくつもの省庁にまたがっている事業は一向に進みません。これらはほんの一例です。

 先日、本院の予算委員会の質疑で、総理は福島の復興が進まない理由を聞かれ、「予算がついても結局ひも付きになっていて、その執行において、地元の方々の声を十分に吸収しながら縦割りを排してその執行ができていない点もある」と答弁しています。「補助金がひも付きになっていて、縦割りの弊害がある」と総理自身が認識しておられながら、2月に成立した13兆1000億円の補正予算や平成25年度予算案は、中央省庁主導による従来型のひも付き補助金による公共事業で埋められています。

 私たちは、地方分権を進める立場から、ひも付き補助金を自由に使える一括交付金に変え、地方自治体が地元の要望に沿った事業を効果的に実施できる仕組み作りに努力してきました。しかし、総理は地方分権化に逆行するかの如く、従来の補助金制度に戻されました。復興の妨げとなっているひも付き補助金制度を一括交付金に、直ちに改めるべきと考えます。なぜ総理は、権限をお持ちになりながら実行に移せないのでしょうか、その理由をお伺いします。

国民の所得増加について

 アベノミクスが成功するかどうかは、それによって国民の所得が増えるかどうかの一点にかかっています。円安のため、すでにガソリンや食料は値上がりしています。インフレ2%が達成されれば、さらに物価が上昇します。年金や医療も保険料は上がります。今や、値上げラッシュで国民負担が増えるのに、それに見合って所得が増えなければ、国民の生活は貧しくなる一方です。多くの国民がそのような状況下にあっても、総理は消費税を増税されるのでしょうか。

 かつてこの本会議場で国民の所得を倍増すると約束して実現した総理もいました。いつまでにどれだけ所得が増えるのか、この場で国民にお約束いただけませんか。

TPP

 日米首脳会談で、安倍総理はTPP、環太平洋戦略的経済連携協定の交渉参加に一歩を踏み出され、近く正式に決断されると聞いております。

 グローバル時代の中で、自由競争の妨げとなる関税や非関税障壁を撤廃し、人、モノ、カネ、サービスを自由に行き来させれば、新しい可能性が切り開かれることは事実です。しかし、それぞれの国は独特の気候や風土の中にあり、また、固有の歴史、文化、習慣を持っています。そのことを十分に考慮しなければなりません。

 先ず、農業問題についてお聞きします。TPP参加により、わが国は食物の自給率が大幅に下がり、農林水産省は13%に低下すると予測しています。異常気象のため農産物輸出国が凶作の事態に見舞われた時、日本は十分な食糧を確保できるでしょうか。不測の事態に備えるため、日本国民の食糧は一定程度、自国でまかなう体制を整備すべきです。自給率向上の方策についてお答えください。

 食の安全の問題もあります。「食のルールを統一する」という名目のもとで、日本の厳しい残留農薬基準が国際基準に合わせて緩められたり、日本で禁止されている収穫後使用農薬の許可を求められたり、遺伝子組み換え食品の輸入が拡大したりすることが懸念されます。これは、消費者にとって極めて懸念する事態です。総理はどのように対処されるつもりか、お答えください。

 医療制度も直撃します。わが国の国民皆保険制度は、全国一律の比較的安い料金のため安心して治療に通うことが出来ます。世界に誇る制度です。現在は、保険診療と保険外診療の併用は制限されていますが、TPPに参加すると、この制限や現行の保険制度は自由診療の妨げだと主張して、制度の撤廃ないしは縮小を強要してくる恐れがあります。

 そうなれば、公的医療保険の適応範囲が縮小され、高額で利益の高い保険外診療が拡大し、その結果、医療費が高騰します。自由診療枠の保険は民間保険会社が対応します。この分野はアメリカが優れており、日本の1千兆円を超える個人資産を目的としていると言われています。総理は、国民皆保険制度の堅持についてどのようにお考えか、お聞かせください。

 交渉に際し、わが国の省庁縦割りの体制で臨んで、果たして国益を守れるでしょうか。米国はUSTRという貿易交渉専門の組織が交渉窓口で、すべての役所の利害を調整したうえで、交渉してきます。もし、交渉参加するというなら、日本版の通商代表部を作って臨むという覚悟がおありかどうか、総理に伺います。

 また、この交渉には参加者に協定締結後4年間を含む守秘義務が課されていますが、国民に交渉経過の情報をどのような方法で随時開示をするおつもりなのか、お聞かせください。

原発

 福島の原発事故についてお伺いします。

 いまなお、不都合な情報が隠されたままです。ようやく東京電力は昨年の9月に、福島第一原発から9月時点でも毎時1000万ベクレル、毎日2億40000万ベクレルの放射性セシウムが大気中に放出されていると発表しました。現在も放出が続いています。

 さらに深刻なのが汚染水の処理の問題です。汚染水の貯蔵量は現時点で26万トンに達しており、近々、多核種除去装置(ALPS)で放射性物質を除去することになっていると聞いていますが、トリチウムは除去できません。トリチウムを含む汚染水をどのように最終処分するのでしょうか。そのまま海に放出することを総理は容認されますか、お聞かせください。

 加えて問題なのは、1日約400トンの地下水が建屋に流れ込んでいるという事実です。これは、地下水脈と建屋とがつながっているということであり、逆に、建屋内の汚染水が地下水脈に流れ、そのまま海に流れ出ている可能性を否定できません。先月、福島第一原発の港湾内で捕獲したアイナメから、規制値の5100倍ものセシウムが検出されました。汚染水の漏えいが影響しているのではないでしょうか。その辺の実情を調査し、公表することをお約束いただきたいと思いますが、如何でしょうか。

 福島県は、2月13日、事故発生時に18歳以下だった3人が甲状腺がんと診断し、7人に疑いがあると発表しました。チェルノブイリ事故の例を見ますと、発症は5年ごろから目立って増えています。痛ましいことですが、今後、発症事例が増えることが予想されます。政府はどのような対策を講じているのでしょうか、お聞かせください。

 総理は、「世界一安心な国」「世界一安全な国」を掲げておられます。しかし同時に、原発の再稼働を明言されました。原発を再稼働し「世界一安心で安全な国をつくる」と言い切れるその根拠を教えてください。

 あらゆる技術が世界最高水準にあり、事故の経験を持つ日本は、脱原発を即断し、「自然再生エネルギー世界一」を目指すべきだと考えます。再生エネルギーの開発と普及は、地域密着の新たな産業を創出し、そこに住む人々に雇用と安心で美しい故郷を提供します。また、その技術は世界に貢献します。今こそ、「自然再生エネルギー世界一」を掲げ、世界を脱原発へリードすべきだと考えますが、総理のご意見をお聞かせください。

ILC

 1949年、湯川秀樹博士は日本人初のノーベル賞を受賞し、敗戦で自信を失った日本人に誇りと自信を与えました。山中伸弥博士は、ヒトiPS細胞を世界で初めて開発し、昨年、ノーベル生理学・医学賞を受賞されました。これにより画期的な再生医療の道が開かれました。

 従来型の公共事業に多額の公的資金を投資しても、社会や経済への波及効果は昔ほど期待できません。インフラがある程度整備された成熟社会においては、投資の対象を道路や建物ではなく、ヒトに移すべきなのです。その代表的なものは、子育てと教育と福祉、そして研究開発だと考えます。

 総理は、国際リニアコライダーをご存じのことと思います。ヨーロッパと北米とアジアが協力し、地下に40キロメートルにも及ぶ直線型の加速器を構築し、高速に加速した電子と陽電子を互いに衝突させ、ビッグバン直後の状況を再現し、宇宙誕生の瞬間を解明しようという、夢の巨大プロジェクトです。

 ここから生まれる技術は、IT、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、医療、そして環境などのさまざまな先端研究分野に応用が可能であり、成長産業の創出や雇用の拡大が期待されます。4兆円以上の経済効果があると試算されています。

 世界で6か所が候補地に挙がっており、そのうち2か所が日本で、東北の北上山地と九州の脊振(せぶり)山地です。もし日本に誘致されれば、世界中から科学者が集まります。被災地となった東北であれば、夢と誇りの国際研究都市となり、総理が発信された「若者たちが、『希望』に胸を膨らませることができる東北」となるのでしょう。九州であれば、アジアに位置する世界中心都市として浮上するのです。誘致に関して、総理の前向きな答弁を期待します。

締めのことば

 最後に。

 日本全国津々浦々を元気にする秘訣は、国民生活と密着し、地元事情に一番精通している地方自治体に、中央政府が握っている予算と権限を大幅に委譲することです。そうすれば、各地域の創意工夫が生かされ、互いに切磋琢磨し合って特色ある元気な日本が創造されます。そして、希望と誇りに輝く世界一の日本にするためには、ヒトにこそ、光をあてるべきです。子ども達の笑顔があふれる国は栄えます。未来は子ども達の中にあります。

以上、私たち生活の党の基本的な考えを申し述べ、私の質問を終わらせていただきます。

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