140字でまとまらなかったつぶやき

魂の衝突がより強い煌めきをもたらす。『階のスターエレメンツ』感想記事 ※ネタバレ有

2019/05/30 22:30 投稿

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※この記事はネタバレを含みます。

 『階のスターエレメンツ』めちゃくちゃ良かったんですよ。皆さん聞きましたよね?

 ……良かった作品の話、ネタバレとか気にしないで話したいよなぁ!?

 ってことで、ネタバレありで感想/考察を書いていきます。
 もし、まだ聞いていなかった方がいらっしゃるのならば、ぜひとも入手して聞いてみてください。ミリオンライブというコンテンツが好きな方なら、後悔はしないはずです。






(三人の視線が交わらないのすき)



 では、書いていきます。


・天羽光駆について


 彼女は未来が演じている、未来らしさがあるキャラです。
 アイドルに憧れ、そのために活動を起こす。未来との違いは、年齢と、アイドルになるために一つ大きな障害があった、という点でしょうか。
 未来は「なりたい!」と思い立って、すぐ765プロに入ることになります(本当にすぐだったか?)
 対して光駆は「なりたい!」と思ってから、その話をしても「目指すための条件」を提示されます。夢を叶えるために努力し続けた経験は、打ち込めるものを見つけられていなかった未来との違いかなぁと思います。そのため、似ているとしても、作品開始時の経験値の違いから、未来本人のようなムーブはしないんですよね。ここらへん、理解力高くて凄く好き。

 あと、これは非常に妄想力強いこと言うんですけど、光駆は言うほど純粋な子でもないんじゃないかなぁ…と。 純粋であろうとする子、というか。
 作中で「お父さんからメール」「お父さんと相談した」と、お父さんの話題ばかりでお母さんの話題が出てこないのも少し不穏ですし。娘の将来ですよ?なんで両親じゃなくてお父さんとだけなんですか?もしかして、いないんですか?
 ……みたいな。深読みですね?
 それと、受験の話でもう一つ。「第一志望」なんて言ってましたが、アレ、本来のレベルからでは到底合格できないレベルを受験させられたんじゃないでしょうか。元が未来ですし、第一志望がそれなりだったとしても、難しい案件だったんじゃないかな、と。だとしたら彼女にとって、相当な障害だったのではないでしょうか?

 なので、私は光駆のことを「色々あるけれども、それらを隠しながら、理想のアイドルらしくありたいと願う少女」なんじゃないかなと考えています。
 「理想のようにありたい」なんて、生半可な覚悟で願い続けられる夢ではないです。自身の在り方にメスを入れることの難しさなんて、言うまでも無いと思います。
 作中で星蘭から覚悟が足りないと見下されたときに「バカにしないで!」と言っていたのは、この「夢のために苦手なことから逃げなかった」「理想のために自分を変えていった」経験からじゃないかなと思ってます。
 そら何も知らない他人に覚悟が無いなんて言われたらキレるよ。


・草薙星蘭について


 彼女の言う「覚悟」について。彼女に付きまとうのは、家の話ではないでしょうか。
「彼女はクラシックの道に進むのかと……」
 作中で水桜が言っていたセリフです。
 草薙星蘭の生まれは、芸術的に優れた才能を持つ人材を多岐にわたって排出し続ける草薙家。星蘭自身も音楽的な才能を持っているとされています。
 格式高い家であるなら、周囲は大衆音楽の道ではなく、伝統的な音楽の道へ進ませようとしたのではないでしょうか。
 けれども、星蘭が憧れたものは、アイドルだった。
 自身の夢を押し通すために与えられた条件が「アイドルニューウェーブにおいて、グランプリを取ること」
 夢を叶えるために与えられた、唯一の道。その道を歩くために、彼女はどれだけの努力をしたことでしょうか。
「ダンスも凄いなんて……」
 作中世界において、名門草薙の御令嬢である彼女の、音楽的な才能は知られる所だった。けれども、ダンスに関しては、草薙星蘭を最初から目をつけていたであろう審査員も知らなかった。
 本来、彼女にダンスの才能があまりなかったとしたら?事前情報で手に入れられるはずもありませんよね。
 けれども、彼女はダンスでも周囲との違いを見せつけた。そこにあったであろう努力は、いったいどれほどのものだったでしょうか。
 一朝一夕しかアイドルになることを願っていないように思える夢見がちな少女が彼女の逆鱗に触れたのも無理はないと思います。
 とはいえ「辞退しなさい」なんて言うのは些か小物っぽいなと思います。カリカリしすぎでは?胃薬飲む?

 彼女自身の性格に関しては愛おしいキャラしてんなぁって感じですね。そもそもアイドルになりたいという夢を持ち続けてるところがかわいいし、イラつくことされても言い訳の機会も与えちゃう程度のお人好しだし、歓談している光駆に忠告してくれるし、感情と行動の裏表は少ないし、その感情の動きも分かりやすいし、あのユニットだと残り二人のせいで胃痛役させられそうだし……。
 これからの活躍に期待が高まりますね!あればですけど!


・神崎水桜について


 この物語を最も動かした人物であり、最も謎の満ちた人物である彼女。
 そんな彼女の背景を、考察していきましょう。私がまず着目した情報はこちら。

・「参加したのは2回目」
・「昔の自分を見ているよう」(光駆に対して)
・「綺麗事だけじゃ勝てない」  

 このあたりの情報から、「一年前のアイドルニューウェーブで妨害を受けて敗退し、そのことが原因で、彼女は今のような人間になった」のではないかなと。
 卑怯な手を使う側ではなく使われる側であると予想した理由は、光駆に対して自分のようだった、と言っているあたりですね。光駆はアイドルが綺麗な存在であると信じているので。それに似たというかつての彼女は卑怯な手を使うような存在ではなかったのでしょう。

 では、一年前のアイドルニューウェーブで彼女を陥れた人物とは?

 候補は一人しかいません。

 昨年のグランプリ、ミツルギマヤ

 私が考える、水桜の過去のあらすじ(妄想)は以下の通りです。

 神崎水桜とミツルギマヤは共にアイドルを目指す友人であった。
 アイドルニューウェーブでグランプリを獲得し、トップアイドルになるために。二人は共に高めあった。  そして、二人はアイドルニューウェーブの審査の舞台へ挑んだ。
 けれども。
 共に研鑽を積んだ仲だったからこそ、友人が自身の最大の障害になると悟った彼女は、友人になんらかの妨害工作を仕掛けた。
 その妨害が直接の原因で水桜はオーディションに落ち。対して、卑怯な手を用いたミツルギマヤが栄光を手にした。
 なんらかの事情でマヤが自身に妨害工作を行ったことを知ってしまった水桜は、自身を陥れたマヤを超えるため、再びアイドルニューウェーブの舞台へ挑んだ。
 今度こそ、絶対に負けるわけにはいかない。例え最強の相手がいたとしても。自らの手を悪行に染めたとしても——


 なんて妄想が過ぎますかね?ですが、私は一定の実在性はあると思っています。


 水桜はマヤのことを呼び捨てにしたり、「あんなやつ」扱いしたり、マヤの本性らしきものを知っているらしい、という描写があります。これらは水桜とマヤが旧知の仲であることの示唆ではないでしょうか。
 しかし、同年代の、ともにアイドルを目指した友人であった場合は、水桜の「アイドルを目指す友達っていないから……」という発言と一見矛盾しているかのように思います。これは、水桜が光駆を利用しようという旨の発言なのですが、別の視点で見れば「過去には共にアイドルを目指す友達がいた」とも取れる発言です。何故いなくなったのでしょうか?その友達がアイドルになってしまったから?なにかがあって絶交したから?あるいはその両方?
 また、一番最後に「やっとたどり着いた……あなたを追うことのできるステージに!」という発言もあります。これは、永い間ずっと敵対している相手に向ける言葉ではないように思えます。
 といった感じで考えると、妨害工作を行い神崎水桜を敗退させたのはミツルギマヤ説は一定の根拠がないでししょうか。
 ……拡大解釈が過ぎますかね?

 そんな感じで妨害をしまくったゲスの極み乙女な神崎水桜ちゃん。けれども、ただの妨害マニアじゃない描写も、ステージ以外できちんとあります。

 事情をしらない光駆に助けてもらったとき。友達になろうと誘われたとき。水桜は、このアイドルニューウェーブという一人しか勝者のいない舞台で、なにを甘えたことを言っているんだとも思ったことでしょう。
 けれども、彼女は妨害を行ったのは自分であると自白した後も、光駆のことは「光駆ちゃん」と呼んでいます。マヤは「マヤ」、草薙は「草薙」なのに!(一応最後に星蘭さん呼びしてますけどね。お優しいこと)。たしかに、水桜は光駆を利用しようとした。甘いことを言う彼女の在り方にイラついた。それでも、嫌いになりきれるほど、彼女は非情になれなかったのではないでしょうか。
 自白は、精神を楽にさせる効果があるといいます。もしかしたら、彼女は心のどこかでずっと、アイドルになるためにあくどいことを行うことが引っかかっていて。出来ることなら、すべてを晒して、悪であるかのようにふるまって。全てを終わりにして、許してもらって、あるいは関係を切って、楽になりたかったのではないでしょうか。
 演技の上手な神崎水桜の本心が、この物語のどこにあったのか。それは、彼女さえ知らないかもしれません。
 かつての水桜は、光駆みたいだった。この言葉は、嘘ではないと信じてみたいです。



・全体について


『階のスターエレメンツ』という話を語る……というよりも、MILLION_THE@TER_GENERATIONというシリーズ、ひいては、ミリオンライブのシナリオ全体のシナリオに関して、私の見解を少し。

 ミリオンライブというコンテンツにおいて物語は、彼女たちの行動と性格を描写するためのもので、しかし、物語の根底は彼女たちに左右されてはならない。あくまで大枠のシナリオがあり、その中で動くキャラクターがいる。けれども、動くキャラクターは、その人であることに意義がある。……何となくですが、伝わってくれるでしょうか。

 アイドルマスターミリオンライブというコンテンツは、キラキラしていて、温かくて、優しいものばかりで構成されている劇場のお話です。それ自体を責めるつもりはありません。そういったものも、私は嫌いではないです。しかし、その柔らかな世界に、わずかながら不満を抱く人もいるのではないでしょうか。

 MILLION_THE@TER_GENERATIONというシリーズは、そんな優しい世界ではないです。
 騙したり、傷つけあったり、いがみ合ったり。優しいシナリオのほうが少ないくらいです。それは、この『階のスターエレメンツ』という物語も、きれいなだけではありません。
 この物語は、ゲームと同様に、少女たちがアイドルを目指す物語。ですが、そこにあったものは本編とは異なり、キラキラしたものだけではなく、彼女たちの暗い感情も、正しくない行為も、ありのまま描いたものでした。
 
 おそらく、ミリオンライブというコンテンツは、このようなお話をゲーム内でやろうとすれば、やれるのだと思います。そういう方針ではないから、やらないというだけで。

 だから、この物語が――
 MILLION_THE@TER_GENERATIONというシリーズが存在すること自体に意味があるのではないではないでしょうか。

 MTGシリーズで描かれたものは、彼女たちの異なる世界でのシミュレーション。薄暗い話も、ドロドロした話も、やろうと思えばやれる。けれども、劇場にいる彼女たちは、そういった諍いを好む人たちではないから、そうはならない。彼女たちの善性が、そういった話を望まないし、許さない。明るいお話が主体の世界で、暗い世界のお話――違うものがあるという事実は、より、明るい世界を顕在化させるもの。

 本来の劇場の世界線で描かれるモノが生ぬるいと感じる人もいるでしょう。見たいものと違うという人もいるでしょう。
 そういった人に向けて、様々なシナリオを用意したものが、MTGシリーズではないでしょうか。

 とはいえ、未だに自分で気に入った物語が無い人も、あるいは自身の考える彼女たちの姿と違うものしかないと嘆く人もいるでしょう。
 ならば。描けばいい。作ればいい。

 彼女たちが存在している世界は、何も劇場だけじゃない。
 彼女たちの描ける物語は、優しいだけではない。
 異なる過去を与えてもいい。種族から違っていてもいい。
 それでも、彼女たちが彼女たちであるのならば。


 彼女たちの定義は、曖昧です。観測する私たちの記述によって、その性質は変わります。

 粗削りな彼女たちは、だからこそ、想像を――物語をまとえる

 観測者にしか過ぎない私たちができることは、そんな彼女たちを伝えることだけです。

 MTGというシリーズで描かれた物語の最後に用意された『ギブミーメタファー』という曲は、そんな彼女たちの在り方を――「すべて晒すから、私を見てほしい」とさらけだすという、アイドルや創作を貫く建前さえも晒した歌でした。
 MTGシリーズで描きたかったものに対する解説であり、私たちへの回答なのだと、私は思っています。


・終わりに


 この記事を最後まで読んで、まだ買っていないMTGシリーズがあるのならば。ぜひ、CDを入手して、ドラマも楽曲も、両方をお楽しみください。

 ミリオンライブというコンテンツが好きな方なら、後悔はしないはずです。




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