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【ミリマス】最も狂気で彩られた物語、『ミリオンアドベンチャー』の感想

2017/12/06 23:25 投稿

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 時は2017年12月4日、正午。「キャンペーンページに[COMINGSOON]がまだ存在している。ミリオンライブのことだ。何か仕掛けてくるならこのタイミングに違いない……」と思いたった私は、最後のランキングイベントが終了、回せるのはゲーム内アイテムのみとなった更新の止まったガシャ、何も限定品が並ばないショップ、高額の課金用コインの販売停止、と未来のサービス停止にむけて少しずつ準備を進めている、グリー版ミリオンライブへとログインした。




 Dead or Alive!じゃあないんだよ!ついさっきまでのFinal Partyのしんみりとした雰囲気どこ行ったんだよ!ふざけんなよ!(突如歓喜とともに興奮する患者)

・前触れなく始まるADV
・Final Partyのあとに事務所に戻り、残業中に小籠包を口にし倒れるプロデューサー
・劇場に併設されている脳波を確認できる医療施設
・「生霊になってどこかへ行ったのかも」という麗花に対する「レイじゃないんだから」というジュリアのツッコミ
邪気を放つ小籠包。平然と使われている「呪いの小籠包
突如頭の中に聞こえる謎の声。に対してつも通りに見える星梨花
・謎の声「ミリオンワールドへ行って五つの試練を乗り越えなさい」
可憐「謎の声の主には、私たちの正体……バレてるのかもしれません……」
変身するアイドル一同、直後にミリオンワールドへ飛ばされるご一行
謎の声「五つの小籠包を集めれば、小籠塔への道が開かれるでしょう……」

 …どっからツッコめばいいんだよ!
 アクセル入れすぎだろまだ導入だぞ!!
 OPだけでツッコミどころ多すぎんだよ!!!
 今時二次創作でもここまでキメてる話見ねえよ!!!!
 この頭ミリオンライブ!!!!!

 ……というのが、このイベントを見た私の最初の感想でした。実際に進めていくと、相変わらずやってることがおかしいし規模もおかしいしキーになってるものも小籠包だし、出てくるもの全てがおかしい。突っ込み所しかないこのテキスト郡。だからこそ、今までの記憶と経験の堆積を刺激され、興奮と感動がこみ上げてくる。ミリシタの綺麗な空気、ここ数ヶ月のグリマスの清廉さに慣れすぎていて忘れていたものがそこにはありました。

 ミリオンライブ、ここに極まれり。

 この狂気はぜひ自分から突っ込んで、自分の手で楽しんできてほしいと思っているので、細かいテキストはここには記載しませんが、OP以外にもツッコミ所が満載なので、そちらを記載しておきます。

ショウロンポイントショウロントウという飲み会のノリのダジャレにしか思えない名前を使いたいが為のキーアイテムショウロンポウ
森へ帰る
宇宙
・レストラン(ヴィランズキッチン
虹(空ではない)
・インフレしている累計pt報酬
・一度に30枚手に入るシアターくじ(くじ6回分)
・茜ちゃんきぐるみ(敵)
・雪将軍
・外宇宙の住人
・既存の立ち絵の黒塗りを湯切りしている姿に見立てて遊ぶ
    巨   匠
 虹 と ア オ ノ リ

 …いやぁ、5年分の異常の巣窟、混沌の苗床です。終わるからってやりたい放題過ぎる。

 けれども、このイベント、異常すぎるイベントなのは否定できないし、終わるからこういうことが出来た泡沫の夢だよね、と言われればその通りなんですけれども、それでも是非自分でやっていただきたいんですよね。というのも、

イベ内で手に入るアイテムだけで完走できる
・そもそもイベくじで更なるドリンクを手に入れられる

と初めたばかりのプレイヤー、あるいは資材の全くない既存のプレイヤーでも完走できるように調整がされていますし、

イベントテキスト全回収がラストステージ開放の鍵
・報酬がとにかく豪華。回収勢にも易しい

となっていることから、新規も既存も関係なく、全てのユーザーに、全員のテキストを余すとこなく、自らの手で読んでほしいという製作者の意図が感じられるんですよね。そもそも、そうじゃなかったら、こんな手の込んだことはしないと思いますしね。
 もし良かったら、製作者たちの意図を汲んで、自らプレイしてもらえたらなぁと思います。



 ここから先はネタバレアリの感想です。

 虹から先を自分でプレイしてから読んでください。

  自分で書いといてなんだけど、虹から先ってなんだよ…











 というわけで、ネタバレアリの感想。
 
 ミリオンライブのテキストってすげえなーと改めて感心しました。だって普通が個性なセンター(正体は悪の女王)真面目な委員長(正体は悪の組織の総帥)、どちらもキャラ崩壊もいいとこじゃないですか。でも、全くそう見えない。どころか口調や一人称が変わっていても「らしさ」がにじみ出ているんですよね。
 何かを付け足しても「らしさ」を失わない彼女たちのキャラクターとしての強度の高さ、そこまで強固なキャラに育ててきたライターたちの手腕には本当に舌をまくばかりです。ヴィランズキッチンなんて、まさにこのゲームじゃないと出来ない極悪非道の所業ですよ。腹筋が持ってかれました。


 そしてたどり着いた最後の小籠塔エリア。


 ……いやぁ、ここまで泣かされることになるとは思いませんでした。

 やってること自体はシンプルなんですよ。人間のフリをしていたマトモじゃない連中が、みんなで特殊な力を存分に振って手分けして目標のものを集める。集めた先で、物語の結末で普通の人間として新たな日常に帰るか、あるいは非人間として非凡な世界の中に戻るかの選択を迫られる。セカイ系でなんども見たやつです。
 本当に、本当に手垢のついた物語だけど、それでもぐっときたんです。

 アイドルは引退するときに、つまりアイドルとして終点にたどり着いてしまったとき、「普通の女の子に戻ります」と言うのが、まあ、お約束としてありますが、それがこのイベントだと「普通の女の子になってアイドルを続けるか」それとも「普通じゃない女の子に戻ってアイドルを引退するか」という常識外れの選択肢となるわけです。
 そこで皆がまだアイドルをやりたい、プロデューサーと一緒にいたい、大切な皆と一緒にもっと進みたい、アイドルになる前の自分なんて考えられないと言ってくれるわけです。4年分の思い出ボムってすっげー泣けるんですよ。まあ、私始めてから丸3年くらいなんですけど…
 私の担当の文学少女、実は高貴な吸血鬼だったらしいんですけど、「一番甘美な日々は、あなたのそばでアイドルをしているときだった」なんてストレートな告白を最後の最後にされたら、吸血鬼であるとかそんなことどうでもいいから泣くでしょ。というか泣いたよ。

 セカイ系のコンテキストに乗せて、アイドルの終着点の象徴である「普通の女の子に戻ります」という言葉と、まだこれからも続いていくコンテンツとして「これからもアイドルを続けたい」という宣言の両方を一文に盛り込んだ「普通の女の子に戻って、アイドルを続ける」という常識外の選択肢の創造。
 ポチポチゲーという限られた言葉、限られたイラストだけで表現するしかなく、一度に表現できる量が少ない媒体だったからこそ、一見奇天烈な舞台設定や劇中劇での行動の裏に──例えば、メルヘンアイドル物語という劇中劇が「限られた世界で生きていた少女が知識でしか知らない広い世界を体験する」という主役である星梨花のための物語として描かれているといったように──また例えば、アイドルプリズンでのアイドルが罪だから投獄されましたという設定が「アイドルを奪われた彼女たちはいったいどんな反応を見せるのだろうか」という思考実験の場として顕在しているといったように──言外の意を多く含ませてきたミリオンライブらしいな、と思いますし、また、相反するはずの言葉を同時に使っちゃおう!という強欲さもまたミリオンライブ的だな、とも思います。

 また、相変わらず上手いなぁと感心したのは、「アイドル全員普通の人間じゃなかった」という設定です。
 ミリオンのアイドルたちはよく分かりやすいところにキャッチーさが足りないけど、付き合いが長くなったりあるいは奥のほうまで掘ってみたりすると非凡なところやユニークな部分がたくさん見えてくるようになるよね、みたいなことを言われ、シンデレラガールズのアイドルたちが、例えば属性の擬人化だけれども奥のほうに人間味があるよね、といわれたりするわけじゃないですか。
 しかし最後の最後、グリー版ミリオンの最奥と言い換えられるイベントでそもそも全員まともな存在じゃないよ、なんて大どんでん返しはミリオンアイドルの「奥のほうに個性的な部分が見える」という書き方の極北とも取れません?私は大好きです。


 このミリオンファンタジーという物語は、手作りのぶどーかんに始まり、そして本物の武道館へたどり着いた彼女たちの物語がひとまずエンディングを迎え、エピローグでシアターライブ編をやって、Final Partyというエンドロールが流れた、ミリオンライブというゲームの物語の後に付け足して語られる与太話、あるいはおまけのファンディスクとして、非常に良く出来たお話だったと思います。



 ……と、ここまで絶賛してきましたが、このイベント、このオチにして対して世論は賛否両論あります。当然です。

 劇場のぶっ飛んだ進化の歴史を「この世界は貴方達の想いの結実したもので、シアターそのもの」「貴方達こそ世界の中心」っていうセカイ系によくある設定で理屈付けしたのなんて凄く綺麗にまとめたなと感心しますし、ネジの外れたイベントも普通のアイドルじゃないから出来た、というのもいわれると納得できてしまう。
 だからこそ、これまたゼロ年代によく使われた、ちゃぶ台をひっくり返すタイプの設定を公開して終わるってなに考えてんの?という意見も分かります。私もそう思います。

 ただ、私個人の意見としては、今までいろんなトンチキをやってきた、といってもそのトンチキ代表格のプリズンだったり、あるいはいろんなガシャだったり、そのほとんどが劇中劇や撮影であることがエピソード内で明言されている(それでも幽霊に憑かれたりマグロ漁船に乗ったりというマトモじゃなことが史実として明言されていたりしていますが……)し、まあ今回も劇中劇、というか夢であって作中世界の現実でないと考えています。
 作中世界のプロデューサーはFinal Partyを終えて気が抜け、疲れからか劇場で寝てしまった。このライブで一つ心に区切りのついたプロデューサーは、けれども今まで歩いてきた道は良かったのだろうかと不安がなかったわけではない彼は、奇妙な夢を見てしまった。その夢で担当アイドルたちは彼を助けるために奮闘し、また、共に歩いてきた道が楽しかったと言ってくれた。その言葉にプロデューサーは救われたのだった。──捏造ですけど、美しいしこれでよくないです?

 あと、最後の未来の「私、アイドルを選んで良かったです」というセリフこそ、ミリオンファンタジーが夢オチじゃない証拠、彼女たちがミリオンワールドでアイドルとして生きる道を選んだ証と取れますが、そもそも未来が「色々やりたいことがあったけれども、それらを辞めてアイドルという道を選んだ」アイドルでありまして、とすれば全部夢だったとしても「アイドルを選んだ」というワードチョイスはおかしくないと思います。まあ、やっぱり解釈の分かれるところでしょう。

 Final Partyというライブイベントでは、アイドルである彼女たちからプロデューサーへの感謝や想いを伝えられる舞台を、作中でもメタ的にも用意できない。最後にキャンペーンページで用意してもいいけど、それだと味気ない。だから全員分のテキストを見られるチョコイベ形式(今回のメインは小籠包だけど)を利用して、笑って終われる、遊び心たっぷりの場所を用意したかったんだと思っています(あと、他の物語の結末として使いまわせない汎用性の無いテキスト群が欲しかったのかなぁ、などと)。
 だからといって、コレが生まれたのは狂気としかいえないですし、普通の女の子に戻るという祝詞とまだアイドルを続けるという宣言の両立のためとはいえ、ちゃぶ台返す設定用意した理由も分からないんですけど……まあ、今回のイベントが夢なのか夢じゃないのか、これで良かったのかそうでないのかは個々人で決めていただくしかありません。


 だって試験じゃねーんだから、創作物に一つだけの答えなんて求める必要ないし?

 いろんな可能性あるほうが面白いじゃん?

 それでよくない?つうかこんな頭ミリオンライブなイベント投げられてもどうしろってんだよ…
 「彼女たちが彼女たちであってそれ以外の何者でもないし、彼女たちの可能性は無限大なんだ」とちゃぶ台を返すことで、ことあるごとに荒れてるミリ界隈に伝えたかったんだと私は解釈しました。つうかこんな頭ミリオンライブなイベント投げられてもどうしろってんだよ!(半ギレ)


 さて。

 物語は終わりを迎えてこそ、というのが私の創作観の一つです。
 武道館に到り、Thank you!の歌詞になぞらえた物語に終わりを告げたミリオンライブ、次はどんな物語を描くのだろうと思った矢先にグリー版の終了の告知。ここで一度物語が終わる、悪くはないな、と思いましたが、やっぱり一ユーザーとして悲しかったですし、もっと遊びたかった、というのが本音です。

 けれども、これが最果てであったのなら、ミリオンライブという、いわゆるポチポチゲー全盛期と多様なスマホアプリゲームの台等という時代の過渡期にポチポチゲーとして生を受けたゲームの、イラストとテキストで構成されるポチポチゲーだからこそ使える武器である柔軟性を最大限に生かし、多くのユーザーを楽しまさせてくれたゲームの行きつく先、というのなら。

 笑って見送ることが、私たちの役割なんだと思います。


 

 最後に。


 グリー版アイドルマスターミリオンライブの製作に携わったみなさま。最高のゲーム──コンテンツを、ありがとうございました。ミリオンライブに出会ってからの日々は、本当に楽しいものでした。


 5年間、お疲れ様でした。
 ミリシタ、精いっぱい楽しみたいと思います。

 ところでミリシタのメインコミュのペースもう少し早くなったりしません?



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