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【劇評】不穏当な空気と別れそうな愛のはざまで ナカゴー「ホテル・アムール」

2013/12/08 23:15 投稿

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ナカゴー『ホテル・アムール』@あさくさ劇亭
を見てきた。理由はいろいろあるが、あさくさ劇亭にいってみたいなぁ、というボンヤリした希望と、久しぶりにナカゴーを見にいくのもよいかなというボンヤリした期待による。



ついでに、某人から「ナカゴーすごすぎた。見に行かないともう俺と話し合わないよ」とのメールをもらったということもある。

あさくさ劇亭、楽日は満員である。舞台には小さな円形のムードライトと、ソファ。それから中央にダブルベットというシンプルな作りである。

恋人同士らしい男女のうち、女が「ねえ、浮気してるんでしょ」と問い詰めるところから物語が始まるのだが、そこからはもうほとんど何が起こったか覚えていない。
男女繰り返すまったく咬み合わない罵倒に悲鳴。ヒステリックに叫ぶ女性の姿がどことなく精神的に異常な部分を抱えているようにも思わせる。

そのテンション、男女のケンカを極限まで激化させたような激しくも面白おかしい会話がつづき、お互いの語彙は極めて乏しく、ミニマムな台詞が延々とかみあわないまま続けられる。

さて、一時休戦ののち、ポンポコポンが始まってからが舞台の真髄で、ストーリーは一気にオカルトへ。ポンポコポンのわけがわからず、生霊はでてくるわ、浮気相手の説得はできてないわ。みんな叫びだすはパンツは丸見えだわ、圧倒的な熱量と運動でラブホテルの一室とは思えないほどのパワフルな舞台空間であった。

生霊を呼び出して浮気していないことを証明しようとしたり、処女だった女子高生の純情さをあざ笑う男のクズっぷりがめちゃくちゃに露呈したり、下ネタは炸裂しまくりで罵倒は人外の息へ。「人間って、ここまでクズになれるんだー(棒)」という気分になること間違いなし。

何もかもが不穏当極まりない。この自然にある不穏当さはなんというか演劇独特の空気感がある。

一面では「男女の恋愛劇」の一コマの、別れそうな空気感、別の軸ではホラーでオカルトで霊能力対決というどこの『ムー』だよと思わんばかりの独自のオカルト&リアリズム劇空間が形成されていて、それがほとんど――なのかなぁ――破綻なく組み立ててある。

もう俳優たちは息も絶え絶え。絶叫につぐ絶叫に悲鳴という悲鳴が重なって冗談抜きの地獄絵図が展開されているのだけれど、これを20ステージ以上やったというのがまず単純にすごすぎる。しかもその運動量が空回りせず不足なく客席に伝わってくる劇構造を持たせることに成功していた。

今村、鯨子の主演二人の演技が特に迫真。鬼に迫るという感じで一秒もめがはなせない。。

しかし、一番すごい、と思ったのが、このぐちゃぐちゃドロドロの恋愛劇がハッピーエンドで終わったことである。女が言いくるめられただけという気もするけれど、まぁ、ああいう愛の形もあるんだろう。


以前のナカゴーの作品には多少、「ゴリ押し」というか、隙の多い作品をつくって運動量でごまかすような作劇があったように思う。しかし、本作ではそのゴリ押しが必然性をもって客席に押し寄せてくるので、なんというか、息もつかせぬ速度に火力も加わってきた。ますます楽しみな劇団である。

「『彼岸島』とかのなんでだよ感が好き」な人は演劇とか見たこと無くてもナカゴー見に行ってください。





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