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激情コミュニティ「Love wars」

2013/04/24 07:50 投稿

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激情コミュニティ「Love wars」


垣本朋絵主宰のユニット。

 伊藤キムの弟子筋だけあって、ダンスを中心に幅広い演出技法をもっている団体。
 ただ、それらの選択肢を凝縮させることが今回の芝居ではできていなかった。
 本作では、あるオフィスで起こる泥沼の恋愛劇を戦争に擬える趣向で、オフィスで働く人たちとサバゲーサークルの構成員とが物語をパントマイムとダンスを組み合わせた群舞で表現するシーンが見どころ。それらのシーンをストレートプレイで繋いでいくという感じで、いわゆる「演劇」よりも受ける印象はむしろミュージカル(歌抜き)に近い。

 極めて狭い空間ながら、大人数でのダンスシーンはさすがに個々人の身体性も高く見応えがあった。空間構成も悪くない。選曲やスタッフワークの巧みさとあわせて少し「アマヤドリ」や「世田谷シルク」を彷彿とさせるところがある。
 激情コミュニティはそうした劇団よりも群舞の非常が明らかに重い。パントマイムを織り込んだ垣本ならではの演出方針といってもよいだろう。舞台美術もかなりユニークで、幾何学的な模様と手作りの家具の組み合わせもお見事!
 モニターを使って場面転換を示唆するやり方もベタといえばベタながら、前作よりもずっと上手につかえていた。ツイッター風の演出もやや間延びしたところもあったけれど、悪くない。
 ただ、美術の移動に時間をとられて、それらを完全にうまく使いこなしていなかったのが残念。
 それでも、観客からすれば本作はかなり問題含みで「すごく面白い」とか「オススメ」とは言いにくい。

 まず演出意図やストーリーのバックグラウンドが不明確で単純に意味がわからない。
 
 彼ら、彼女たちがオフィスでどんな仕事をしているのかもよくわからないし、なぜサバゲーがオフィス・ラブと関係するのかもよくわからない。ガンアクションを織り込んだダンスシーンもただ撃ったり撃たれたりしてるだけで全然ポカーンである。
 配役の一人一人にも重たい設定が付与されていたのだけれど、台詞もエピソードも単調で、まったく生かされておらず、ぐぐっと心に迫るようなメッセージがなく多様な演出技法だけが打ち上げ花火のように次々突っ込まれて何をしているのかよくわからない動作もおおかった。
 ストーリー上の仕組みがよくわからないため、群舞を織り込んだ演出が完全に死んでいた。個別に見れば見どころも少なくなかったと思うけれど、観客をリードする文脈を作れていない。
 ダンスに関して言えば、象徴的な動作と具体的な進行が見えなかったとか、パントマイムでここは行かなくてもいいんじゃないかとかあるけれど今回は割愛。
 
俳優は、ストレートプレイが少し苦手な人もいたようだけれど、一人一人はとっても魅力的でした。

*****************
 
 観客がストーリーや俳優や演出を通して「見たい」ことと、作り手側が「やりたい」ことは確実に異なるし、作り手に付いて行きたいか行きたくないかは結局作品世界への没入の具合で変わるんだろうけれど、今作に関して(前作でもそうだったと思うけれど)、作り手が「やりたい」ことばっかり突っ込まれていて観ている側は客席に置いていかれてしまった。
 そして、そこにあるのは「伝えたい」ことではなかったのだろうと思う虚しさもあった。メッセージ性がなく、ただ演出と俳優だけがそこにいて踊り狂っている。自分たちがその作品を通じて何を観客に手渡したいのか、それが見えるまでこの観客と作品との齟齬は続くだろう(し、それを直そうという気概も全然感じられない)
 
 もっと冷たく言えば、ここには他者がいない。どうしたら自分たちがやりたいことをわかってもらえるか、何を伝えたくて芝居をするのか、その伝えたいことは伝える価値があることなのか。云々。少しそういう所を突っ込んで考えてほしい。
 
・・・・うーん。こういうとあれだけど、女の子の舞台だなぁと思いました。
 
 今作はそれでもポップ路線の、現代劇らしい明るい感じがあって、前作よりもグッと見やすくなってはいた。でも、個人的には前作のほうが好きだったと思う。なんでか、理由は自分でも明確にはしがたいのだけれど、あんまりポップに流れないほうが、激情コミュニティらしいんじゃないかなと思う。

 やっぱりお客さんがいての芝居ですから、他人に届く作品を作って欲しいとおもいます。
 
 いやほんとセンティバルがんばれ。
 
*ちょこっと追記。
「公演記録」
【日程】
2013年4月20日(土)~22日(月)
20日(土) 14:00 / 19:00
21日(日) 14:00★ / 19:00
22日(月) 14:00★ / 19:00
※受付開始:45分前 開場:30分前

★21日、22日の昼公演終演後に客席参加型の身体即興セッション「インプロジャム」を開催します。

◆会場
シアターブラッツ
〒160-0022
東京都新宿区新宿1-34-16清水ビルB1
※東京メトロ丸ノ内線/新宿御苑前駅 徒歩3分
※都営地下鉄新宿線/新宿三丁目駅 徒歩5分
※JR新宿駅/西武新宿駅 徒歩15分

◆料金

【一般】2500円
【ペア割】2枚で4500円(要予約)
【当日】2800円
※日時指定・全席自由・当日精算
※未就学児入場不可

◆上演予定時間 90分

◆キャスト
原田シェフ(ヲカシマシン)
金子侑加(ブラックエレベータ)
井上千裕
酒井尚志
小野紗知
岩永彩
大益賢佑(創像工房 in front of.)
尾原仁士
ヤマスケ(maimuima)

佐藤至恩
宮城絵美(舞☆夢☆踏)
波田野淳紘(820製作所)
牧野純也
ヤマネ(おんどり遊劇団)
滝山洋輔(舞☆夢☆踏)
岡本一花(舞☆夢☆踏)


垣本朋絵

スタッフ
舞台監督 佐藤 豪
音響 カゲヤマ気象台(sons wo:)
音響操作 森田和人
照明 南 星(Quintet☆MYNYT)
照明操作 安江和希
美術 湯ノ迫 史 北城みどり
演出助手 岡本一花(舞☆夢☆踏)
演出補佐 ヤマスケ(maimuima)
ドラマトュルク 兼桝綾
フライヤー/web 垣本朋絵(激情コミュニティ)
制作 飯塚なな子
制作協力 月出裕司(maimuima)
製作 激情コミュニティ
  


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