ブロマガ活用の一環として、音楽理論的な話題を投入。
今回はキーとコードを基にしてスケールを設定する、コード・スケールの話。
使っている用語等については、学問的には誤っている可能性があります。
なお、状況に応じて、ここの文章を加筆・修正することがあり得ます。
(間違いとか直せるところは後でこっそり直す予感)
コード・スケール・1
前回、コードとテンションノートについて軽くまとめてみました。
その中で、コードの構成音やテンションノートについて考える時、
基盤となるスケールを想定し、そのスケール上の音から、
コードやテンションノート、アヴォイドノートを整理しました。
この際に基盤としたスケールのことを、コード・スケールといいます。
コード・スケールは、今触れた通り、各コードの構成音の基盤であり、
またテンションノートやアヴォイドノートなど、
そのコード上での個々の音の役割・機能を考慮する基盤になります。
どのコードにどのスケールがコード・スケールとして設定されるかは、
コード・スケールを検討しようとしているコードとキーとの関連、
言い換えれば、そのコードのその部分における機能によって
決定付けられる要素になります。
あるコードが提示された時、そのコードネームのみでは、
コード・スケールは特定できません。
そのコードがどのような機能を持っているかによって、
そのコードが依拠しているコード・スケールが特定されることになります。
そのため、コード・スケールを考えるにあたっては、
前段階としてコードの役割やキーについて、改めて整理しておくのがよいでしょう。
コード・スケールを把握すると、
コードトーンやテンションノート、アヴォイドノートを
整理することができます。
そうすることで、そのコード上で使える音、使いにくい音を特定でき、
コードアレンジの際にコードやテンションノートを選択したり、
アドリブ演奏時の音の選択に応用する
などの場面での活用が期待できます。
つまり、アドリブを指向する場合や、作曲・アレンジをする場合、
コード・スケールを把握しておくと役立ちます。
コード・スケールの構成音の種類
コード・スケールの構成音は、コードとの関連から
コードトーン、テンションノート、アヴォイドノートに分類されます。
コードトーンは、あるコードを特定した時に
そのコードの基本を構成する3つないし4つの音です。
メジャー・コード | Root M3rd P5th |
マイナー・コード | Root m3rd P5th |
セブンス・コード (ドミナントセブンス・コード) | Root M3rd P5th m7th |
マイナーセブンス・コード | Root m3rd P5th m7th |
メジャーセブンス・コード | Root M3rd P5th M7th |
シックス・コード | Root M3rd P5th M6th |
マイナーセブンス・フラットフィフス・コード | Root m3rd dim5th m7th |
ディミニッシュ・コード | Root m3rd dim5th dim7th(≒M6th) |
上記の表のように、基本的にルート音と長/短3度、完全5度に、
四和音を基本構成とする時に追加される長6度、長/短7度、
またそれらの音が変化した音はコードトーンとして扱われます。
なお、サスペンデッド・コードは3度の音が変化したものとして扱われ、
サスペンデッドフォー・コードのコードトーンは、Root・P4th・P5thになります。
アヴォイドノートは、コードトーンに含まれなかったスケール上の音の内、
コードトーンに対して半音上に位置する音(ドミナントセブンス・コードを除く)、
あるいはそのコードの機能を乱したり、調性を崩す音を指します。
詳しくは前回の記事でも触れているので、ここでは割愛します。
それ以外の音は、テンションノートとして活用され得る音になります。
つまり、コード・スケール上の音から、
コードトーンとアヴォイドノートを除くと
テンションノートが残ります。
テンションノートとなる可能性がある音には、
9th・b9th・#9th・11th・#11th・13th・b13th・M7thの8つがあります。
コード・スケールとして活用されるスケール群
コード・スケールは、コードトーンを元とし、
その隙間を埋めるノンコードトーンを、一定の基準の元に取り入れることで
スケールとして構成されます。
主としては、基準となるスケールから音を取り入れ、コード・スケールを構成しますが、
意識的にそこから外れた音を取り入れてコード・スケールを構成することもあります。
その結果として構成されたコード・スケールには、
教会旋法など構成音が重なるスケールも数多くあります。
以下、コード・スケールとして活用されるスケールについて、
以前にスケールの音の配置図を列挙した記事を参考に
まずは列挙する形で触れていきます。
なお、ペンタトニック・スケールに関しては、
コード・スケールとしては基本的に活用されません。
(逆に言えば、ペンタトニック・スケールは他のスケールと比べ、
コードとの関連性が薄く、その分コードから受ける制約も少ないため
アドリブを展開する基盤としては使いやすい側面を持ちます)
メジャー・スケール
P1st | m2nd | M2nd | m3rd | M3rd | P4th | aug4th dim5th | P5th | m6th | M6th | m7th | M7th |
メジャー・スケールは、メジャー・キー(長調)の拠り所となるスケールで、
メジャー・コードの基本的なコード・スケールでもあります。
コード・スケールとしてメジャー・スケールを考える時、主に
メジャー・コード、シックス・コード、メジャーセブンス・コード
と関連付けられます。
メジャー・スケール上の音を整理すると
コードトーン(共通): | Root M3rd P5th |
準コードトーン: | M6th / M7th |
アヴォイドノート: | P4th |
テンションノート: | 9th (13th / M7th) |
このようになります。
四和音を構成するとき四番目の音として、
長6度を採用するシックス・コードでは長7度が、
長7度を採用するメジャーセブンス・コードでは長13度が
テンションノートになります。
(なお、歴史的背景を辿ると、
キーとの関連を考慮に入れた上でメジャー・コードを四和音にする時
主として採用されていたのはシックス・コードで、
長7度はテンションノートとして扱われていました。
その後、長7度をコードトーンとするメジャーセブンス・コードも
メジャー・コードの四和音として採用される例が見られるようになり、
その場合には長13度がテンションノートとして扱われます。)
なお、3度を変化させたサスペンデッドフォー・コードでは、
3度の代わりに完全4度がコードトーンとして組み入れられます。
その場合、3度の音はアヴォイドノートに変化します。
マイナー・スケール
マイナー・スケールは、マイナー・キー(短調)の拠り所となるスケールです。
マイナー・スケールには3つの種類があり、
いずれもマイナー・コードの基本的なコード・スケールになります。
3つのスケールについて、先と同じように整理します。
ナチュラルマイナー・スケール(自然的短音階)
P1st | m2nd | M2nd | m3rd | M3rd | P4th | aug4th dim5th | P5th | m6th | M6th | m7th | M7th |
ナチュラルマイナー・スケールは、
マイナー・コード、マイナーセブンス・コードと関連付けられます。
コードトーン(共通): | Root m3rd P5th |
準コードトーン: | m7th |
アヴォイドノート: | m6th |
テンションノート: | 9th 11th |
ハーモニックマイナー・スケール(和声的短音階)
P1st | m2nd | M2nd | m3rd | M3rd | P4th | aug4th dim5th | P5th | m6th | M6th | m7th | M7th |
ハーモニックマイナー・スケールは、マイナー・コードと関連付けられます。
コードトーン: | Root m3rd P5th |
アヴォイドノート: | m6th |
テンションノート: | 9th 11th M7th |
メロディックマイナー・スケール上行(旋律的短音階上行)
P1st | m2nd | M2nd | m3rd | M3rd | P4th | aug4th dim5th | P5th | m6th | M6th | m7th | M7th |
メロディックマイナー・スケールは、
マイナー・コード、マイナーシックス・コードと関連付けられます。
コードトーン(共通): | Root m3rd P5th |
準コードトーン: | M6th |
アヴォイドノート: | なし |
テンションノート: | 9th 11th M7th |
教会旋法
教会旋法(チャーチモード)は、ダイアトニック・スケールについて
その構成音のそれぞれを基準として並べ直した7つのスケール群です。
コード・スケールを考える上では、キーとの関連を検討する上で、
教会旋法で示される7つのスケールと構成が重なることから、
本来の旋法とは少し離れた形で流用されています。
イオニアン・スケール
P1st | m2nd | M2nd | m3rd | M3rd | P4th | aug4th dim5th | P5th | m6th | M6th | m7th | M7th |
イオニアン・スケールは、ダイアトニック・スケールの第1音から並べたスケールです。
構成や関連付けられるコードは、メジャー・スケールと一致します。
ドリアン・スケール
P1st | m2nd | M2nd | m3rd | M3rd | P4th | aug4th dim5th | P5th | m6th | M6th | m7th | M7th |
ドリアン・スケールは、ダイアトニック・スケールの第2音から並べたスケールで、
ある種のマイナー・コードの基盤となり得るスケールです。
マイナー・コード、マイナーセブンス・コードと関連付けられます。
コードトーン(共通): | Root m3rd P5th |
準コードトーン: | m7th |
アヴォイドノート: | M6th |
テンションノート: | 9th 11th |
キーとの関連でドリアン・スケールをコード・スケールとして考える場合、
短3度に対してトライトーンを形成する長6度は
ドミナントセブンス・コードとの機能の混乱を避ける意味で
テンションノートとしては扱われず、アヴォイドノートになります。
ただし、例外的なケースとして、
長6度(長13度)を特殊なテンションノートとして採用することもあります。
その場合、長6度の半音上の短7度がアヴォイドノートに変化します。
コード・スケール上では、ドミナントセブンス・コードと関連する場合を除き、
半音差の音の共存を原則的に許容できないためです。
フリジアン・スケール
P1st | m2nd | M2nd | m3rd | M3rd | P4th | aug4th dim5th | P5th | m6th | M6th | m7th | M7th |
フリジアン・スケールは、ダイアトニック・スケールの第3音から並べたスケールで、
ある種のマイナー・コードの基盤となり得るスケールです。
マイナー・コード、マイナーセブンス・コードと関連付けられます。
コードトーン(共通): | Root m3rd P5th |
準コードトーン: | m7th |
アヴォイドノート: | m2nd・m6th |
テンションノート: | 11th |
リディアン・スケール
P1st | m2nd | M2nd | m3rd | M3rd | P4th | aug4th | P5th | m6th | M6th | m7th | M7th |
リディアン・スケールは、ダイアトニック・スケールの第4音から並べたスケールで、
ある種のメジャー・コードの基盤となり得るスケールです。
メジャー・コード、シックス・コード、メジャーセブンス・コード
と関連付けられます。
コードトーン(共通): | Root m3rd P5th |
準コードトーン: | M6th/M7th |
テンションノート: | 9th #11th (13th/M7th) |
リディアン・スケールをコード・スケールとすると、
シックス・コードに適用する場合は長7度が、
メジャーセブンス・コードに適用する場合は長13度が
それぞれテンションノートになります。
また、メジャー・コードと関連付けられ、
増11度をテンションノートとして含み、アヴォイドノートがないことが
リディアン・スケールをコード・スケールとした時の特徴です。
ミクソリディアン・スケール
P1st | m2nd | M2nd | m3rd | M3rd | P4th | aug4th dim5th | P5th | m6th | M6th | m7th | M7th |
ミクソリディアン・スケールは、ダイアトニック・スケールの第5音から並べたスケールで、
主にドミナントセブンス・コードと関連付けられるスケールです。
コードトーン: | Root M3rd P5th m7th |
アヴォイドノート: | P4th |
テンションノート: | 9th 13th |
ミクソリディアン・スケールをドミナントセブンス・コードの、
コード・スケールとして関連付ける場合、
ドミナントセブンス・コード上では、
コードスケールの半音上の音もオルタードテンションとして許容されますが、
しかし、ドミナントセブンス・コード上の完全4度は
ドミナントモーション(※)で結びつく先のコードのルート音にあたり、
進行感が損なわれるため、アヴォイドノートになります。
ドミナントセブンス・コード以外と関連付ける場合は、
コードトーンの半音上の完全4度は、
テンションノートと認められず、こちらもアヴォイドノートになります。
※ ここでいうドミナントモーションは、厳密な意味を指し
ルート音の進行が4度上行・5度下行の強進行になることを前提としています。
また、サスペンデッドフォー・コードのコード・スケールとして
ミクソリディアン・スケールを設定した場合、
完全4度がコードトーンになり、長3度がアヴォイドノートに変化します。
エオリアン・スケール
P1st | m2nd | M2nd | m3rd | M3rd | P4th | aug4th dim5th | P5th | m6th | M6th | m7th | M7th |
エオリアン・スケールは、ダイアトニック・スケールの第6音から並べたスケールで、
ナチュラルマイナー・スケールと構成音が重なり、
マイナー・コードの基盤となり得るスケールです。
マイナー・コード、マイナーセブンス・コードと関連付けられます。
コードトーン(共通): | Root m3rd P5th |
準コードトーン: | m7th |
アヴォイドノート: | m6th |
テンションノート: | 9th 11th |
ロクリアン・スケール
P1st | m2nd | M2nd | m3rd | M3rd | P4th | dim5th | P5th | m6th | M6th | m7th | M7th |
ロクリアン・スケールは、ダイアトニック・スケールの第7音から並べたスケールで、
マイナー・フラットフィフス(b5th)・コードや、
マイナーセブンス・フラットフィフス(b5th)・コードと関連付けられます。
コードトーン(共通): | Root m3rd dim5th |
準コードトーン: | m7th |
アヴォイドノート: | m2nd |
テンションノート: | 11th b13th |
ロクリアン・スケールは減5度を持つことが特徴となるスケールで、
スケール上の音として短2度と短6度を持っています。
他のコードやコード・スケール上では、短6度はコードトーンの半音上にあたり、
通常は短13度のテンションノートとしては扱われませんが、
減5度を持つロクリアン・スケール上ではナチュラルテンションになる特徴があります。
また、短2度はアヴォイドノートになります。
ドミナントセブンス・コードと関連付けられるスケール群
ドミナントセブンス・コードは、コードの機能として
安定したトニック・コードの響きに向かう前の不安定な響きが特徴で、
その不安定な響きの要因として、長3度と短7度のトライトーンの存在が挙げられます。
この短7度を含むことによってトライトーンが構成されることから、
短7度を含む四和音であることが基本となります(準コードトーンが存在しません)。
また、ドミナントセブンス・コード上では響きの安定感を強く乱す
コードトーンに対して半音上にあるノンコードトーンも、
オルタードテンションとして活用され得るという例外があります。
そのオルタードテンションの拠り所となるコード・スケールについて、
続けて列挙していきます。
なお、一連の記事中にあるドミナントセブンス・コードは基本的に、
調性上のドミナントセブンス・コード(V7)に、
セカンダリードミナント・コードを含みます。
ハーモニックマイナー・パーフェクトフィフス(P5th)・ビロウ
P1st | m2nd | M2nd | m3rd | M3rd | P4th | aug4th dim5th | P5th | m6th | M6th | m7th | M7th |
ハーモニックマイナー・パーフェクトフィフス・ビロウは、
ハーモニックマイナー・スケールの第5音から並べ直したスケール、
表現を変えれば、完全5度下(P5th Below)を中心としたハーモニックマイナー・スケールを
基準とする音から並べ直したスケールです。
コードトーン: | Root M3rd P5th m7th |
アヴォイドノート: | P4th |
テンションノート: | b9th b13th |
短2度(短9度)と短6度(短13度)を持つスケールで、
短2度と長3度の間に1音半の間隔を含むことも特徴です。
スパニッシュ8ノート・スケール
P1st | m2nd | M2nd | aug2nd | M3rd | P4th | aug4th dim5th | P5th | m6th | M6th | m7th | M7th |
スパニッシュ8ノート・スケールは、一オクターブ8音で構成される、
スペインの民族音楽で使われているスケールです。
コードトーン: | Root M3rd P5th m7th |
アヴォイドノート: | P4th |
テンションノート: | b9th #9th b13th |
前項のHMP5ビロウ・スケールに、増2度のオルタードテンションを追加したスケールで、
短9度・増9度・短13度の3つのオルタードテンションを持つことが特徴です。
ミクソリディアン・フラットシックス(b6th)・スケール
P1st | m2nd | M2nd | m3rd | M3rd | P4th | aug4th dim5th | P5th | m6th | M6th | m7th | M7th |
ミクソリディアン・スケールの第6音を半音下げたスケールです。
メロディックマイナー・スケールの第5音から並べ直したスケールにあたります。
コードトーン: | Root M3rd P5th m7th |
アヴォイドノート: | P4th |
テンションノート: | 9th b13th |
長9度のナチュラルテンションに加えて、
短13度のオルタードテンションを含むことが特徴となります。
リディアン・フラットセブンス(b7th)・スケール
P1st | m2nd | M2nd | m3rd | M3rd | P4th | aug4th | P5th | m6th | M6th | m7th | M7th |
リディアン・スケールの第7音を半音下げたスケールです。
リディアン・ドミナント・スケールとも呼ばれます。
メロディックマイナー・スケールを第4音から並べ直したスケールにあたります。
コードトーン: | Root M3rd P5th m7th |
テンションノート: | 9th #11th 13th |
長9度・長13度のナチュラルテンションに加えて、
増11度のオルタードテンションを含み、
アヴォイドノートがないことが特徴となります。
リディアンb7th・スケールは、
ドミナントセブンス・コードと共通したトライトーンを持つ
代理コード(トライトーン・サブスティテュート)※において
コード・スケールとして主に関連付けられるスケールになります。
※ ここでは俗に言う裏コードのことを指します。
オルタード・スケール
P1st | m2nd | M2nd | aug2nd | M3rd | P4th | aug4th | P5th | m6th | M6th | m7th | M7th |
ドミナントセブンス・コード上で
オルタードテンションになり得る音をすべて含むスケールです。
オルタード・ドミナント・スケールとも呼ばれます。
このスケール上では、完全5度がないことが特徴的です。
コード・スケールとしては完全5度のコードトーンに欠ける特殊性があります。
コードトーン: | Root M3rd m7th |
テンションノート: | b9th #9th #11th b13th |
オルタード・スケールは、音の配列的にはロクリアン・スケールの4度を半音下げた
ロクリアン・フラットフォース(b4th)・スケールと一致します。
ロクリアンb4th・スケールは
メロディックマイナー・スケールを第7音から並べ直したスケールに相当し、
このスケールの短3度を増2度、減4度を長3度、減5度を増4度として解釈すると、
オルタード・スケールになります。
また、オルタード・スケールにも、アヴォイドノートはありません。
ホールトーン・スケール
P1st | m2nd | M2nd | m3rd | M3rd | P4th | aug4th | P5th | aug5th (m6th) | M6th | m7th | M7th |
ホールトーン・スケールは、ある音を基準に全音間隔で音を並べたスケールです。
音を等間隔に並べている関係上、調性感のない配列が特色といえます。
ホールトーン・スケールは1オクターブ6音で構成されます。
ドミナントセブンス・コードとの関連の他、
増5度を持つコードと関連付けられるスケールでもあります。
コードトーン: | Root M3rd aug5th m7th |
テンションノート: | 9th #11th |
ドミナントセブンス・コードにかかるオーギュメント・コード(V7(+5))と
関連付けられる場合、
長9度とオルタードテンションの増11度を含むスケールになります。
また、増5度を異名同音の短6度とみなすこともあります。
ドミナントセブンス・コードにコード・スケールとして関連付けられた場合、
オルタード・スケールと同様に完全5度がなく、
ナチュラルテンションの長9度と、オルタードテンションの増11度・短13度を含む音構成が
特徴になります。
コードトーン: | Root M3rd m7th |
テンションノート: | 9th #11th b13th |
コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール
P1st | m2nd | M2nd | aug2nd | M3rd | P4th | dim5th (#11th) | P5th | m6th | dim7th (M6th) | m7th | M7th |
コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケールは、
よくコンディミと略されて呼ばれるスケールで、
あるディミニッシュ・コードに対し、長2度下のディミニッシュ・コードを組み合わせ
1オクターブ8音で構成されたスケールです。
コードトーン: | Root M3rd P5th m7th |
テンションノート: | b9th #9th #11th 13th |
ドミナントセブンス・コードのコード・スケールとして考える場合、
基準となるディミニッシュ・コードの構成音の多くはオルタードテンション、
加えられる長2度下のディミニッシュ・コードの構成音の多くはコードトーンを
それぞれ構成する形になります。
ディミニッシュ・コードのコード・スケール
ディミニッシュ・コードについてコード・スケールを考える場合は、
基準となるディミニッシュ・コードの構成音に、
長2度上のディミニッシュ・コードの構成音を加えた、
1オクターブ8音からなるディミニッシュ・スケールが関連付けられます。
ディミニッシュ・スケール
P1st | m2nd | M2nd | m3rd | M3rd | P4th | dim5th | P5th | m6th | dim7th (M6th) | m7th | M7th |
ディミニッシュ・スケールは、
コードトーンを構成するディミニッシュ・コードの構成音に
各音の長2度上の音を、テンションノートに相当する音として
組み合わせた
1オクターブ8音で構成されるスケールになります。
コードトーン: | Root m3rd dim5th dim7th |
テンションノート: | 9th 11th b13th M7th |
なお、ディミニッシュ・コードはすべて等間隔で音が並んでおり、
すべての音がルートとなり得る音構成になっているという特徴があります。
そのため、基準となるルート音の位置が曖昧になり、
それに伴ってテンションノートとして取り入れられる音の位置も
表現が流動的になる部分があります。
また、ディミニッシュ・コードのコード・スケールを考慮する場合、
基本としてはこのディミニッシュ・スケールを想定するのが無難ですが、
キーとの関連を考慮に入れて実際にコード・スケールを構成すると、
このディミニッシュ・スケールとは一致しないスケールが
構成されることもよくあります。
コード・スケールは、コードの構成音に加えて、
キーのスケールなど一定の基準に応じたノンコードトーンを取り入れて
構成されるものであることを再確認しておくと良いでしょう。
ひとまず、コード・スケールとして活用されるスケールについて、
軽く触れてみました。
今回は、コード・スケールとして関連付けられるスケールの列挙になりましたが、
参考になれば幸いです。
以下、蛇足というか補足というか。
サスペンデッドフォー(sus4)・コード
サスペンデッドフォー(sus4)・コードは、3度の音が完全4度に変化したコードです。
サスペンデッド・コードは掛留め音を含むコードで、
掛留め音は連続するコードの中で、あるコードの構成音が
後続のコードの中に保持されている状態を指し、
完全4度が掛留め音として取り入れられたコードがsus4コードになります。
sus4コードは浮揚感のある響きが特徴的で、多くの場合、
Isus4→I、V7sus4→V7のように完全4度が長3度に下行して解決し
通常のメジャー・コードあるいはドミナントセブンス・コードにつながります。
完全4度から長3度への移行は、形式的にはテンションリゾルブに類する動きですが
テンションリゾルブとしては扱われません。