お囃子に導かれるように、宵闇の小さな坂道を浜に向かって歩いてゆく。午後8時になろうとしていた。夕暮れとともに呑み始めた白ワインで火照った頬に、秋混じりの夜風が心地良かった。群馬の見城さんからいただいた黄金桃の「桃モッツァレラ」があまりにおいしく、つい飲み過ぎてしまったのだ。そのせいもあって気分はいつになく高揚していた。夜の海に行くというだけで子供のようにはしゃいでしまっている自分がいた。胸の高鳴りに合わせてお囃子が大きくなる。浜に出ると、
「浜辺の盆踊り」
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コメント
コメントを書く(ID:49688878)
読んでてしみじみとしました。「しみじみ」という言葉が先に浮かんできたので、言葉の意味を調べてみました。「心の底から深く感じるさま」だそうです。近所の人々と太鼓を中心に輪になって踊る盆踊りは日本人にとって命の繋がりを感じる景色ですね。
(ID:49659036)
お盆は仏教が起源でなかったとは今まで知りませんでした。ここでいろんなことを学ばせていただいて、ありがとうございます。うちは両方の祖父母の時代からずっと大阪だったので、私にも帰省できるような場所はありませんでした。子供のころから、そういう場所を持っている人がとても羨ましかったのを覚えています。大阪市内でも子どもの頃には近所で盆踊りが毎年あって、喜んで参加していたこともよく覚えています。「炭坑節」はもちろんのこと、「河内音頭」など大阪ならではの曲も多かったです。夏休みの早朝には近所の広場での「ラジオ体操」なんかにもよく行ってましたが、町内で世話をしてくれる人たちや子供たちの数も減ってしまって、いつのまにか盆踊りやラジオ体操はなくなってしまいました。今ではマンションがたくさんある地域の小学校などでは学校のグラウンドで盆踊りをやるところもあるようですが、それもなんか味気ないような気がしてなりません。残念ながら、昔ながらのコミュニティーのような関係性は周りにはもうほとんどありません。
(著者)
>>3
しみじみ、素敵な日本語ですね。ありがとうございます。