鎌倉芸術劇場でバレエを鑑賞させて貰った。娘が通っているバレエスクールの発表会だった。未就学児から大人まで全員でひとつのステージを作り上げていく。そのステージで娘が踊っている。そのこと以上に客席でバレエを観ている自分が不思議でならなかった。

「どうしてぼくたちバレエを観ているんだろう?」

 娘が生まれたときにはまるで想像もしていなかった未来。妻と何度も顔を見合わせて笑い合った。そこは娘が連れて来てくれた世界だった。