「猿の惑星」を最初に観たのは小学生のときだ。厚木基地の米軍機が昼夜問わず団地の上を爆音で飛んでいた。米ソの冷戦も続いていた。「ノストラダムスの大予言」では世紀末に核戦争が起きて世界は破滅すると書かれていた。そういう時代背景で観た「猿の惑星」は単なるノンフィクションとは思えない衝撃をぼくに与えた。そこに描かれていたのは紛れもなく今と地続きの未来だった。かつて日本人の捕虜となった経験のあるフランス人作家ピエール・ブールの小説に大きなアレンジを加え、人種差別。軍拡競争。そして核兵器を手にした人類―――いや、はっきり言えば核兵器を崇拝するアメリカという国家の愚かさに対する強烈な風刺。それをアメリカの映画界が描いたことにぼくは子供ながら震えていた。
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