いつだったか、娘がうれしそうに両手に木の枝を持ってスキップしながら帰ってきた。通学路で拾ったという。
YIの棒だよ」
 確かにそれぞれYIに見えなくもない。何に使うつもりなの、という質問が喉元まで出掛かったがすぐに飲み込んだ。YIの棒は娘にとってYIの棒という存在がすべてなのであって、大人にとって役に立つとか立たないとか意味があるとかないとかでその価値が決められるものではない。