ランドセルを背負った娘と一緒に家を出る。海辺の町を吹き抜けていく風もだいぶ冷たくなって来たものの例年ほどの寒さは感じられない。富士の高嶺に降り積もった雪だけが今年ももう終わりなんだなと感じさせてくれる。海沿いの国道を娘と手を繋いで歩く。「今日は絶対将棋だからね」と念押しされる。算数ドリルで桂馬の動きを憶えた娘が興味を抱いていたので先日の休みに将棋を教え始めたのだ。新しいことは何でも吸収したい年頃なのかもしれない。
「父ちゃん、ごめん」
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