娘が、また新たな世界の入り口に立ったようだ。保育園のみんなと海へ散歩に行ったときの話だ。昨日までは先生が決めたペアと手を繋いで歩いていたという。だが、その日は違った。
「今日は好きな子と手を繋いでいいですよ」
 彼女にとって悲劇だったのは、休みの日も家を行き来して遊んでいる友達が休みだったことだ。かといってみんな好きだし、どうやって誰かひとりを選べばいいのだろう。生まれて初めてのことに戸惑っているうちに目の前でどんどんペアができてしまったという。