「ディズニーランドに行ってみたい」
 五歳の娘がそんなことを口にし始めたのはコロナ禍でのことだった。気軽に遊びに行ける場所ではなくなっていた。言葉通りの「夢の国」である。そんな中で完全予約制のチケットを妻が申し込んだのは感染状況が落ち着いてきた十一月のこと。しかし、運良く取れたのは一ヶ月後のチケット。また感染状況が悪くなっているかもしれない。突発的な仕事で行けなくなるかもしれない。どうせ直前まで言えないのだったら、現地に行くまで内緒にしておくのはどうだろう。僕らはそんな風に考えた。愛する我が子のびっくりして喜ぶ顔が見たいという思いとともに。