子どもを寝かし付けるとき、一緒に眠くなってしまうのはどうしてなんだろう。まるで子どもの身体から発せられる眠気が睡魔となって襲い掛かって来るような感覚。「絵本読んで」と言われても、手元にあるならともかく、一度ベッドに横たえた身体を起こして本を取りにいく気力すら奪われてしまうことさえある。
「わかった。じゃあ、とっておきのお話を聞かせてあげよう」
「やったー」
好奇心に満ちた娘の目が輝きを増す。興奮で目を覚まさせてしまったことを少しだけ後悔しながら、僕は重たくなった瞼を閉じたまま、ゆっくりと語り始めた。
「とっておきの話」
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