しくじった。菜園が塩害でやられた。前夜の暴風雨と朝からの初夏の陽射しで収穫間近のスナップエンドウなんかが一部枯れ始めていた。強い陽射しを受ける前に水で洗い流しにこなければいけなかったのに。

 「しくじったぁ」と大きな声で叫んでいた。悔恨の情が誰もいない里山にこだまする。悔しいなぁ。切ないなぁ。
「あ、でも、こっちは元気だよ」
 娘が元気な株を見つけて、小さな手で実ったばかりのスナップエンドウを収穫し始める。

 二人で平日の午前中に里山に来たのは、