七月の終わりに葉山御用邸のある海岸で打ち上げ花火を見上げながらビールを飲むのが海辺の町で暮らすようになってからの恒例行事になっていた。妻と二人きりの夏もあったし、妻と二人だけの夏もあった。娘がお腹にいた夏もあったし、生まれたばかりの娘がぼくの胸で眠っていた夏もあった。ここ数年は妻と娘と三人での夏だった。凪の海上で咲き乱れる花火の美しさと儚さを毎年様々な想いで見つめていた。毎年同じに見える花火の写真にはその夏その夏の心境も一緒に映り込んでいる。
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