緊張感は想像以上だった。百何日ぶりかの東京。行く先々で数十メートル置きに消毒液が並んでいた。誰もが手が乾く間もないくらい消毒していた。感染しない、させないことに敏感になっていない人なんて誰ひとりとしていないと思う。なのにどうして感染が拡大し続けてているのだろうという問い掛けとともに東京の街を走る。マスクをした上で窓も閉め切った車移動にもかかわらず、繁華街の人混みを抜けるときに得も言われぬ恐怖を感じた。カーラジオから本日の感染者も百人を越えるという速報が流れてきた。そのニュースの中にさきほどの問いに対する答えがあった。感染防止を徹底したくてもできない人たちがいるからだ。怖くても外に出て働かなければ生きていけない事情を抱えた人たちがいるからだ。
「東京のためにできること」
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