娘と一緒に自家菜園に行った。海沿いの自宅から五分。大きなトンネルを二つ抜けたところにある里山の麓だ。鳥の囀りだけがやけに大きく響き渡っていた。何枚かの畑に黙々と汗を流す人の姿が見えた。赤いバケツを手にした娘は黄色い長靴でスキップしていた。ぼくらの畑ではたわわに実ったスナップエンドウの房たちが収穫されるのを待っていた。誰もがマスクをしている以外はいつもと変わらない里山の風景だ。夜には緊急事態宣言が発令されると言われていた朝のことだ。
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