「ちょっと、おたずねしますが」
 朝餉
の席で娘がぼくに言った。最近気に入っている絵本のフレーズらしい。昨晩からぼくや妻に話し掛けるときは毎回このフレーズを枕詞にしている。
「これね、○○くんがかわいいっていった服なの」
 娘はそう言って立ち上がると着ていた虹色のセーターの裾を翻してうれしそうに笑った。