その夜、病室で父とふたりきりで過ごしました。

生と死の境目で懸命に息をしている父は全身ですべてを語っていました。

ベッドサイドで見守ることしかできなかった僕は、必死でその言葉を書き留めました。

父が教えてくれた「生きるということ」のすべてを。

数時間後。

一緒に浴びた朝日が、結果的に父にとって生涯最後の夜明けになりました。

故郷熊本の空ではない、僕らを育てたこの町の朝日が。

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