「その歩みに寄り添って」
思えばいつも歩くのが速いと言われてきた。主に、というより、全部女性からだ。女性と連れだって歩くたびに言われた。特に目的地が決まっている時なんかは先に到着して振り返って相手を待つなんてこともしばしばだった。断っておくけれど、女は三歩後からついて来いなんて前時代的な思想を持っていたわけじゃない。ただ歩くのが速かったのだ。そして自分のペースでしか歩こうとしていなかった。原因はたぶん、小中学校時代の集団後進が苦痛だったせいだと思う。
その反動から義務教育以後は割合、自分のペースで歩いて来た。自宅から高校まで歩いて5分しか掛からないのに始業時間に遅刻することも多かった。始業時間ぎりぎりまでのんびり朝ドラを見たりしていたのだから当然だ。義務教育じゃないんだから別にいい、というのが自分の中での屁理屈だった。社会に出てもずっとフリーランスだからますます自分のペースでしか歩かなくなったような気がする。勤
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