久し振りに湿気のない朝だった。乾いた潮風がいつか旅したハワイ島を思い起こさせる。
「ホットケーキ食べようか?」
 ベランダ柵の隙間から覗き込むように海を見ていた娘に言った。
「たびるー」
 娘が元気に笑う。土曜日だというのに、というより休みほど早く起きる彼女のおかげで、まだ午前6時前だった。