イラストレーターの五島夕夏さんに『つきのぼうや』というロシアの絵本を紹介して貰った。海に映った月をもうひとりの自分とは気づかぬまま「友達になりたい」という願いを抱いた、孤独なお月様の話だった。そういえば子供の頃に読んだ『かがみのなかのぼうや』というイギリスの児童書も鏡に映ったもうひとりの自分とは気づかぬまま話をしている男の子の物語だった。僕らはいつ鏡の中の人間が自分自身であると認識したのだろう。そもそも「鏡」というものが前に立った者の姿を映し出すものだという真実をいつどのように知るのだろう。
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