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著:古樹佳夜

絵:花篠


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■『不思議堂【黒い猫】~阿吽~』 連載詳細について

https://ch.nicovideo.jp/kuroineko/blomaga/ar2060929

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◆◆◆◆◆レストラン龍宮◆◆◆◆◆


店主が特別に拵えたという珍魚の刺身は、

品の良いガラス皿に乗って運ばれてきた。

ほんの二、三切れではあったが、透き通った白身に

少しの粗塩がまぶされていて、絶品だった。


店主「これで、お料理は全てです」

吽野「ごちそうさまでした!」

阿文「どれも美味しかったです」


二人の満足げな表情を見た店主は、にこりと笑い、一礼した。


店主「ただいま食後のデザートをお持ちします」


店主が廊下に去ったのを見計らい、

吽野は小声で問いかけた。


吽野「阿文クン、どう思う?」

阿文「どう、とは……あの剥製のことか?」


吽野は神妙な面持ちで頷いた。

そして、先程のカーテンの奥にある、戸棚の方に視線を向けた。


吽野「本物の人魚なのかな?」

阿文「……本物なんじゃないか?」

吽野「どうしてそう思うの?」

阿文「あの、人の良さそうな店主が嘘をつくだろうか」


疑いなど微塵もない、という顔で阿文は答える。


吽野「自信たっぷりだね〜。あの人、かなり胡散臭いじゃない?」

阿文「ははは。先生に言われたくはないだろうな」


阿文の辛辣ぶりに、吽野は舌打ちした。


吽野「ともかく、あれが気になるんだ。確かめてみよう」