『不思議堂【黒い猫】』店舗通信

【連載物語】『不思議堂【黒い猫】~阿吽~』 第二話第二章「ある人魚の剥製」

2022/02/13 16:35 投稿

  • タグ:
  • 不思議堂【黒い猫】
  • 阿吽
  • 吽野
  • 阿文
  • 古樹佳夜
  • 花篠
  • 浅沼晋太郎
  • 土田玲央

e75c2a29cd7b5e4c8190fbb915e53822e05d51c0


著:古樹佳夜

絵:花篠

■『不思議堂【黒い猫】~阿吽~』 連載詳細について

https://ch.nicovideo.jp/kuroineko/blomaga/ar2060929

-------------------------------------------

-------------------------------------------

レストラン龍宮の扉が

少し軋んだ音を立てながら開いた。


店主「いらっしゃいませ、お待ちしておりました」


思ったよりも低い位置から声がする。

吽野が下を向くと、

車椅子に乗った男の姿があった。

黒の給仕制服を着ている。

そして、膝には紺の膝掛けを乗せている。

 

店主「店主の夕凪(ゆうなぎ)と申します」


店主は両手を丁寧に膝の上で揃えて、恭しく一礼した。

つられて吽野と阿文も礼を返す。

 

店主「さあ、お寒いでしょう。お入りください」


夕凪と名乗った店主は、上品な笑みを浮かべ、

二人を屋内に招き入れた。


吽野「へー。趣のある建物だな」

阿文「綺麗だ」


天井を仰ぎ見、阿文は唸った。そこには、

美しいガラスがいくつも連なった照明があった。

阿文は足を止めて、棒立ちして眺めている。


店主「イギリスから取り寄せたシャンデリアです」


店主は首だけで振り向き、阿文に応じた。


阿文「シャンデリア……」


あんな豪奢なもの、不思議堂ではお目にかかったことがない。


吽野「阿文クン、あれが気に入ったの?」

阿文「いや……蜘蛛の糸に水滴がついているみたいだなと」

吽野「おや、文学的な表現だね」

店主「ふふ……」


吽野と阿文のやりとりに店主は笑った。


店主「さあ、お食事のお部屋は奥でございます」

 

 

ここから先は有料になります

ニコニコポイントで購入する

チャンネルに入会して購読する

  • この記事は過去記事の為、今入会しても読めません。ニコニコポイントでご購入下さい。

コメント

コメントはまだありません
コメントを書き込むにはログインしてください。

いまブロマガで人気の記事

浅沼晋太郎・土田玲央『不思議堂【黒い猫】』

浅沼晋太郎・土田玲央『不思議堂【黒い猫】』

月額
¥550  (税込)
このチャンネルの詳細