クマムシ博士のむしマガ

むしマガ Vol.67【使用済み靴下フェチの吸血グモ】

2012/09/24 17:11 投稿

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 今号のむしコラムも夜遅くなってしまいました。先週と同様、やはり内容的に食事前にはお届けするのが不適切との判断からです。この調子だと、毎週夜のお届けになってしまうかもしれませんが...。

 例によって変な夢を見ても、当方では一切の責任は負いかねます。

 ということで、どうぞよろしくお願いいたします。

★むしコラム「使用済み靴下フェチの吸血グモ」

 世の中には色んなフェチがいます。靴下匂いフェチもそのひとつ。あの匂いがたまらない、という人はかなりの人数いることが予想されます。

 靴下匂いフェチの人は、朝から晩まで働いた後にビールを一杯...ではなく、汗にまみれた格別の靴下の、その蒸せかえるような匂いを嗅ぐことで一日の疲れを癒し、明日働くための活力を沸き立たせるのです。

 そんな使用済み靴下フェチは人間だけの性癖ではありません。アフリカに棲むある吸血グモも、そんな性癖をもっています。

 そのクモこそ、ケニアに生息する吸血性ハエトリグモの一種、Evarcha culicivoraです。

吸血グモのEvarcha culicivora

 このクモは人の血を吸います。といっても、直接私たちの体から血を吸うのではなく、人の血を吸ったばかりの蚊から間接的に血液を摂取するのです。餌となる蚊はマラリアを媒介するハマダラカなので、人にとっては有益なクモなんですね。ちなみにこのクモにとって人の血は栄養分になるばかりでなく、異性を惹き付けるための媚薬にもなるんだとか。

 このクモは人が集まる建物の周りをよくウロウロしているので、人の匂いを感知しているのではないかと考えられていました。そこで研究者はこのことを検証するために、人が履いた靴下の匂いにクモが惹き付けられるかを実験したのです。

 実験では人が履いたばかりのホヤホヤ靴下を用意しました。ボランティアの男性が12時間ずっと履いていた靴下です。白のコットン100%のやつです。

 クモを小さな部屋に入れ、そこに靴下の匂いを流し込んでいきます。小さな部屋に入れたクモは、その部屋から自由に逃げることができます。比較として、未使用の靴下の匂いを使って同様の実験を行いました。
 

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