こんばんは。だいぶ間が空いてしまいました。月末に向けて出すべきメルマガを耳をそろえてお送りいたします。
・クマムシ研究クラウドファンディング終了
3月から行ってきたクマムシ研究クラウドファンディングが無事に終了しました。最終結果として、317人の支援者から総額3,555,840円の支援をいただきました。
最強生物クマムシの耐性の謎をゲノム編集で解明する!: academist
むしマガの読者の方からも多くのご支援をいただきまして、この場にて厚く御礼申し上げます。
開始当初は200万円という大きすぎる目標を掲げたおかげで不安も大きく、だいぶ胃が痛くなる思いをしたのですが、終わってみれば目標額を大きく上回る350万円以上のサポートをいただくことができました。
この結果だけを見ると大成功で、まあ実際に大成功なのですが、終了した今から振り返ってみると反省点や「もっとこうすべきだった」と思う点も多いものです。
そこで今号と次号では、クマムシ博士が初めて挑戦したクラウドファンディングの報告と総括を兼ねて、クラウドファンディングの実情や効果的な取り組み方について書いていきます。
クラウドファンディング挑戦に興味のある研究者やその他すべての人に役立つよう心がけた内容になりますが、そうでない人にとってもインターネットでの個人のエンパワーメントの最前線を知れる内容なので、読んでもらえれば幸いです。
★むしコラム「クマムシ研究クラウドファンディングの実践とその解析(前編)」
アカデミアの研究に必要な資金をまかなうためには、政府や財団の研究費を獲得するのが通例だ。そんな中で、クラウドファンディングで研究費を募る研究者も徐々に出始めている。
日本では研究特化型クラウドファンディングサイト「academist」が2014年に始動した。また、近畿大学、徳島大学、筑波大学も、独自に、あるいは民間との共同でクラウドファンディングサイトを運営しており、アカデミアにおける研究費獲得の選択肢は広がりつつある。
年々、クラウドファンディングに挑戦する研究者は増えている。だが、それでもクラウドファンディングに挑戦した経験のあるアカデミア研究者の割合は、全研究者のうち0.1パーセントにも満たないのではないだろうか。今回は、そんなマイノリティーである経験者側から見たクラウドファンディングの実情について考察していく。
・クラウドファンディングを必要とするのはどんな研究か
クラウドファンディングを必要とする研究や研究者はどのようなタイプのものだろうか。「研究資金がもらえるなら皆やったらよいのでは」と思われるかもしれないが、必ずしもそうではない。
現在、クラウドファンディングで集められる研究費の範囲は概ね数十万円から500万円ほどであり、100万円を集められれば上出来とされる。しかも、ここからクラウドファンディング運営会社への手数料、リターンの制作費や配送費、そして所得税などが引かれるため、実際に使用できる研究費は、集まった総額の60パーセントほどになる。研究費としては、決して大きな額ではない。
このレベルの研究費をクラウドファンディングで集めるために、研究者は研究計画を書いたり、リターンを用意したり、SNSで情報をこまめに発信したりと、それなりの労力をかける。それに比べて、科研費など既存の研究費であれば、やはり手間はかかるものの、当たれば数百万円から一千万円以上と、割と大きな額をもらえる。
つまり、既存の研究費を獲得できるだけの研究テーマや、安定して予算を獲得できるような業績をもつ研究者であれば、手間をかけて少額のクラウドファンディングに挑戦するメリットは、あまりない。逆にいえば、研究テーマが挑戦的だったり、まだ十分な業績のない研究者などは、クラウドファンディングを活用するだけのメリットは十分にあると言える。
研究分野による有利不利もある。天文学や昆虫学など、そもそも一般人にファンが多い研究分野はクラウドファンディングと相性が良い。これらの分野の研究者はクラウドファンディングを考えても良いだろう。
クラウドファンディングのメリットのひとつとしては、目標金額を達成しやすいことが挙げられる。科研費などは採択率が20パーセントほどだったりするが、academistでは挑戦したプロジェクトの80パーセントほどが目標支援額の獲得を達成している。一生懸命に研究計画書を書いても1円ももらえない可能性の高い科研費に比べれば、クラウドファンディングは確実性の高い選択肢というわけだ。
ただし、気をつけなければいけないのは、
・クマムシ研究クラウドファンディング終了
3月から行ってきたクマムシ研究クラウドファンディングが無事に終了しました。最終結果として、317人の支援者から総額3,555,840円の支援をいただきました。
最強生物クマムシの耐性の謎をゲノム編集で解明する!: academist
むしマガの読者の方からも多くのご支援をいただきまして、この場にて厚く御礼申し上げます。
開始当初は200万円という大きすぎる目標を掲げたおかげで不安も大きく、だいぶ胃が痛くなる思いをしたのですが、終わってみれば目標額を大きく上回る350万円以上のサポートをいただくことができました。
この結果だけを見ると大成功で、まあ実際に大成功なのですが、終了した今から振り返ってみると反省点や「もっとこうすべきだった」と思う点も多いものです。
そこで今号と次号では、クマムシ博士が初めて挑戦したクラウドファンディングの報告と総括を兼ねて、クラウドファンディングの実情や効果的な取り組み方について書いていきます。
クラウドファンディング挑戦に興味のある研究者やその他すべての人に役立つよう心がけた内容になりますが、そうでない人にとってもインターネットでの個人のエンパワーメントの最前線を知れる内容なので、読んでもらえれば幸いです。
★むしコラム「クマムシ研究クラウドファンディングの実践とその解析(前編)」
アカデミアの研究に必要な資金をまかなうためには、政府や財団の研究費を獲得するのが通例だ。そんな中で、クラウドファンディングで研究費を募る研究者も徐々に出始めている。
日本では研究特化型クラウドファンディングサイト「academist」が2014年に始動した。また、近畿大学、徳島大学、筑波大学も、独自に、あるいは民間との共同でクラウドファンディングサイトを運営しており、アカデミアにおける研究費獲得の選択肢は広がりつつある。
年々、クラウドファンディングに挑戦する研究者は増えている。だが、それでもクラウドファンディングに挑戦した経験のあるアカデミア研究者の割合は、全研究者のうち0.1パーセントにも満たないのではないだろうか。今回は、そんなマイノリティーである経験者側から見たクラウドファンディングの実情について考察していく。
・クラウドファンディングを必要とするのはどんな研究か
クラウドファンディングを必要とする研究や研究者はどのようなタイプのものだろうか。「研究資金がもらえるなら皆やったらよいのでは」と思われるかもしれないが、必ずしもそうではない。
現在、クラウドファンディングで集められる研究費の範囲は概ね数十万円から500万円ほどであり、100万円を集められれば上出来とされる。しかも、ここからクラウドファンディング運営会社への手数料、リターンの制作費や配送費、そして所得税などが引かれるため、実際に使用できる研究費は、集まった総額の60パーセントほどになる。研究費としては、決して大きな額ではない。
このレベルの研究費をクラウドファンディングで集めるために、研究者は研究計画を書いたり、リターンを用意したり、SNSで情報をこまめに発信したりと、それなりの労力をかける。それに比べて、科研費など既存の研究費であれば、やはり手間はかかるものの、当たれば数百万円から一千万円以上と、割と大きな額をもらえる。
つまり、既存の研究費を獲得できるだけの研究テーマや、安定して予算を獲得できるような業績をもつ研究者であれば、手間をかけて少額のクラウドファンディングに挑戦するメリットは、あまりない。逆にいえば、研究テーマが挑戦的だったり、まだ十分な業績のない研究者などは、クラウドファンディングを活用するだけのメリットは十分にあると言える。
研究分野による有利不利もある。天文学や昆虫学など、そもそも一般人にファンが多い研究分野はクラウドファンディングと相性が良い。これらの分野の研究者はクラウドファンディングを考えても良いだろう。
クラウドファンディングのメリットのひとつとしては、目標金額を達成しやすいことが挙げられる。科研費などは採択率が20パーセントほどだったりするが、academistでは挑戦したプロジェクトの80パーセントほどが目標支援額の獲得を達成している。一生懸命に研究計画書を書いても1円ももらえない可能性の高い科研費に比べれば、クラウドファンディングは確実性の高い選択肢というわけだ。
ただし、気をつけなければいけないのは、
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むしマガ Vol.383号 2017/4/30【「光る植物プロジェクト」の終焉と、DIYバイオの存在意義】
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むしマガ Vol.385号 2017/5/28【クマムシ研究クラウドファンディングの実践とその解析(後編)】
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