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"Hooniganゆかりのneed for speed"番外編 "二人の日常"

姉弟

2016/12/31 20:00 投稿

コメント:2

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「…ぐっ!……ふっ…!」

連続するコーナー、フェイントモーションをかけ、車に働く慣性にまかせてスライド状態に持ち込む。素早く切り返し、コーナー群をパス。トラクションを回復し、わずかばかりのストレートで加速する。

「…!」

バックミラーに眩しいヘッドライトの光。かなりのスピードで近づいてくる。

「…なっ!…冗談だろ…。」



ここは狭い峠道、追い越すには少々難がある。にも関わらず、向こうは俺の車とコンクリートの壁の間をスピードを落とすことなくすり抜けて行った…。そのままヘアピンを見事なドリフトで駆け抜けていく…。緑のシルエイティ…。俺がコーナーを抜けた頃には、もう見えなくなっていた…。


峠道を下りきる。そこにその車はいた。点滅するハザードランプ。俺は後ろに車をつけた。

「ズンダアアァァアアクエヨオオォォオオッ!!」



車を降りた瞬間聞こえる叫び声。同時に懐に何者かの影…。ああ、やられた…。自分でもなにを考えているのかと一瞬頭をよぎるが、そう確信した…。

「むぐううぅぅうう!?…ん?…ムグ…ムグ…。」

刹那、口に何かを押し込まれる。甘くてもちもち。ほのかに香る枝豆の香りが、すっきりした味を際立たせる。餅もつきたてのようでかなり伸びるし、口溶けもいい。…美味い。

「ん?あれっ?ひょっとかして…。ゆかりちゃんの弟くん?」

「……ゴクッ…。姉を、知ってるんですか…?」

「ああーっ!!やっぱり~!さすが双子ですね~!そっくりですよ~!」

"俺の姉を知っているらしい口の中にいきなりずんだ餅を突っ込んできた長い緑髪の制服姿の女性"はそう言って俺の手を掴み、ブンブンと握手をした。…双子と言っても、俺達姉弟は当然二卵性双生児なわけで…。双子だからと言って姿の似具合は、別に普通の姉と弟と何ら変わりはないはずなのだが…。

「こう、フラットな所と言うか…、そっくりですね~!」

「…いや、それは…。……何も言うまい…。」

下手に何か言うと、遠く離れた所にいる姉から、直接一撃が飛んで来そうだ…。

「にしても、ゆかりちゃんから話は聞いてましたけど、本当に走り屋やってるんですね~、ゆうりくん。驚きましたよ~!」

「俺も、まさか"ズンダグリーンのシルエイティ"に追われるなんて驚きでした。ずん子先輩。」

「えへへ、何だかその通り名?で呼ばれると照れますね…。そんなに大したものじゃないですよっ?」

"ズンダグリーンのシルエイティ"…。コーナーを豪快に駆け抜ける走行スタイル、恐れを知らぬ攻め方…。そしてそのドライバーは、バトル後相手にずんだ餅を振る舞うという、この辺りの峠では有名な存在であった。何より、うちの学校に猛スピード&ドリフトで乗り入れて登校した様は、校内で伝説となっている。

「所で…ゆかりちゃん、中々凄いことになってますよね~?」

「えっ、姉が向こうで何かしたんですか?」

「えっ?弟くんなのに知らないんですか?ちゃんと連絡取り合ってます?」

「いや…向こうから俺に向けて連絡してくる事もないし、俺から何か言う事もないし…。」

正直言って、俺と姉の仲は良くはない。姉ちゃんは何かと姉面したがって、それに俺がムッとして、ケンカっぽくなる事がよくあった。だから定期的にメールが来ている事は知っていたが、俺は見ない様にしていた。…ただ、そんなに凄いことになっているのに、親父も母さんもメールの内容に驚いたなんてことは無かったから、恐らくメールを見た所で俺も知る由は無かっただろう。

「とりあえず、これ見てください!」

そう言ってずん子先輩は、俺に携帯の画面を見せる。車載動画の様だった。峠道を二台で走ってレースしている。…277…!相手はマグナス・ウォーカーだ!耳をすますと、エンジン音に混じって二人の女性の声が聞こえる。一方は誰か知らない声だったが、もう一人はとてもよく聞き慣れた声だった…

「…姉ちゃん…!?」

「そう!ゆかりちゃん!…凄いです!あのマグナスウォーカーさんと走ったんですよ?しかも、このレース勝っちゃうんです!」

「そ、そんな…。」

最初、車の事なんか微塵も興味無かった姉ちゃんが…。俺が車の事を色々教えてた姉ちゃんが…!様々な感情が駆け巡る。

「他にも色々動画を上げててね?RWBの中井さん、諸星一家の諸星さん、そしてドリフトチームのリスキーデビル…。そんな人達と一緒に走ったんですよ!そして今度はケン・ブロックさんと走るんだって!ちょうどゆかりちゃんが行ってる所、ベンチュラベイにその五組が集まったらしくて、ゆかりちゃん、頑張ってるみたいです!」

名だたる名前が次々先輩の口から飛び出す。ケン・ブロック…俺の憧れ…。俺はただただ、先輩の話を聞くことしかできなかった。

「…何だか顔色悪いですよ?大丈夫?」

「…あっ、いや…。大丈夫です…。今日は、ありがとうございました…。ずんだ餅、美味しかったです。」

耐えきれなくなって、俺は帰ろうとする。

「そ~う!ありがとう!喜んで貰えて何よりです!またご馳走しますよ?た~っぷり用意しておきますね!」

「い、いや…それは…。今日はこれで…。」

そう言って俺は車に乗り込んだ。帰りの途中、俺の頭の中はある考えでいっぱいになっていた。



ーーーーー

カリフォルニアへ向かう飛行機の中、俺は携帯で動画を見る。姉とケン・ブロックが一緒に走っている動画…。姉ちゃんにケンさんの事を教えたのは、俺なのに…。そこに居るべきは、俺じゃないのか…?憧れと嫉妬の入り混じった感情に、俺は歯ぎしりする。



心を入れ替えて、携帯のブラウザを開く。ページには"Eddie's Challenge"の文字。今から向かう街、ベンチュラベイで開催される、ストリートレースの祭典…。優勝した者には、エディーの乗るR34GT-Rが与えられる。…が、エディー自身もそのマシンで参戦し、今まで誰にも優勝の座を譲った事はないらしい…。俺はそれに参戦する、そう心に決めていた。賞品も魅力的だが、何より、姉と走る為に…。ただ、その為には名声"REP"が必要だ。ベンチュラベイでレースに勝って、幾分か稼ぐ必要がある。開催までそう時間はない。しかしここは太平洋のど真ん中。俺は急ぐ気持ちを抑えて、シートで横になった。

ーーーーー

「こんにちは。」

「いらっしゃいませ!」

車屋に着くと、気の良さそうなおじさんが出て来た。

「…ん?君は何だか…。」

口元に手を当て、考え込む様な仕草をする。

「どうかしましたか?」

「いや、どことなく知り合いに似ている感じがしてね…」

「…姉ちゃん…結月ゆかり、ですか?」

…ずん子先輩も然り、そんなに似ているだろうか…。

「ええっ!君はゆかりさんの弟君なのかい!?…姉弟がいるなんておくびにも出してなかったのに…。」

へええ~、と驚きながら体を傾けたりして俺を見てくる。

「…フラットな所とか、よく似てるよ~。」

「…。」

本当にもう何も言うまい…。

「…あっ、そうそう。それで、どういったご用件かな?ゆかりさんの弟君って事なら、サービスさせて貰うよ!」

「ええ。速い車が欲しいです。後、ストリートレースに勝てるよう、カスタムもお願いします。」

「なるほどなるほど。カスタムの方はどうしたいのかな?」

「1000馬力近くまでパワーアップ、それに対応した足回りとボディもお願いします。高速道路にも、峠にも対応できるセッテイングにしたいです。…出来ますか?」

実を言うと、この注文はずん子先輩の受け売りだ。アメリカ西海岸には、日本のそれよりは道幅は広いものの、峠道や海岸線のワインディングが多々ある。そして何と言っても、日本にはそうない片側4車線以上の高速道路がざらにあるのだ。高速を出すのに必要なハイパワーエンジン、それに対応できるトランスミッション、ハイウェイにもワインディングにも対応できるボディと足回り、それが絶対必要…とずん子先輩から言われていた。アメリカで姉ちゃんと戦うと伝えると、ずん子先輩は色々とアドバイスをくれた。これはその一つ。

「おお…。ちなみに、向こうではどんな車に乗ってたんだい?」

「スバルBRZですけど…」

「う~ん…。だとすると、いきなり1000馬力近くある車に乗せる訳にはいかないなぁ。まだまだ若いし、経験も多いという訳ではなさそうだしね…。それに、そこまでのパーツを集めるとなると、時間がかかってしまう。」

「そこを何とか、お願いします…!」

「むぅ…。実は丁度ね、ここにBRZがあるんだ。まずはこの車に乗ってみてくれないかな。GTマシン並のエアロに見合った中身にもなっているから、1000馬力級のマシンとまではいかないけど、速いはずだよ?中身が違っても、今まで乗ってきた車と一応は同じ車種だから、慣れるまでは早いはずだしね。」



そこにあったのは確かに速そうなBRZだった。まるで俺のBRZをそのままアップグレードしたかの様な車…。一目で気に入った。

「いいですね。これにします…!」

「あ、ああ…。…何か急ぎで車が要るのかい?」

「エディーズチャレンジに出たいんです。…姉を打ち負かす為に…!」

「エディーズチャレンジ…なるほど、名声が要るって事か…。分かった。この車のハイパワーカスタムも引き受けよう。」

「…!」

「でも、もう開催まで時間はない。車ができるか、名声がたまるか…。とりあえず、現状のまま、この車を君に売るよ。パーツが届き次第連絡する。…それまでアメリカに慣れておくのがいいんじゃないかな?車にもカスタムにも、たくさんお金が要るしね。幾分か稼いでおくのをお勧めするよ。」

「はい!ありがとうございます!」

「おおっ!?いきなり元気だねぇ。やっぱり似てるよ。初めて会った頃のゆかりさんとそっくりだ。…じゃあ、色々書類を準備しよう。」

そう言って、車屋のおじさんは事務所の中へ。諸々の書類はすぐに用意され、俺は目を通して書き始める。

「…ゆかりさん、最初うちに来た時、何を買っていったと思う?」

書類を書き始めて少し後、コーヒーを片手に車屋のおじさんが話しかけてくる。

「…うーん。さっぱり。」

「ボロボロの4代目マスタングさ。1000ドルしない車だった…。…はい、コーヒーどうぞ。」

コトン、とテーブルにコーヒーが置かれる。俺はそれを飲みながら、おじさんの話を聞くことにした。

「一応ちゃんとV8エンジンが載ってる奴だったけどね。…ゆかりさんの伝説とも言えるここ数ヶ月の出来事は、その一台から始まったんだ。試乗の時、隣に乗せてもらったけど、まだまだおぼつかないって感じでね。こんな事になるなんて、その時は夢にも思わなかったな。」

少しコーヒーに口をつける。普通のインスタントコーヒーだ。無難な美味しさ。

「それで、次に来た時はGT-Rでうちに来てね、C6コルベットを買っていったのさ。1000ドルしない車を悩みに悩んで買っていった子が、たった数ヶ月後に、7万ドルもする様な車を一括払いで買っていったよ。試乗の時なんか、ドリフトを試したいってんでOKしたら、私はコーナー二つで失神しちゃったみたいでね、はっはっは!…うん、すごかったよ。」

正直に驚いた。そんなに儲けてるのか、姉よ…。

「その後、気になって色々調べてみたんだ。彼女はネットに動画をあげてたから、すぐに色々分かったよ。マスタングの後はBRZ、アメリカでは珍しいR34スカイラインGT-R、そしてR35GT-Rと乗り換えていった様だ。だんだん速い車に乗り換えて、自身のテクニックもだんだん上がっていった、そんな風に感じたよ…。」

その言葉の後、車屋のおじさんは話を止めた。しばしの間が出来る。

「…つまり、何が言いたいんです?」

耐えかねて話しかける。

「うん。つまりは、いきなり速い車に乗ったからって、自分が速く走れる訳じゃないって事。ステップアップは大事って事さ。エディーズチャレンジは、ストリートレース最高峰の祭典。…君の腕がいかほどかはわからないけど、いきなりそんなのに参戦しても勝てないと、私は思うよ。」

「でも、俺は姉より運転歴が…」



「う~ん…。後は仲間、かな?これは短期間では中々手に入らないと思うけど…。まあ、やってみるしか無いね。折角アメリカまで来たんだ、パワー&スピードの世界を堪能してみるといいよ。」

そう言って車屋のおじさんはキーを手渡す。

「書類のチェックをしているから、その辺りを走ってきたらどうかな?慣れるなら早い方がいいから…。」

事務所の奥へ消えていくおじさん。半ばモヤモヤした気持ちを抱えながら、俺は事務所を後にした。

「…乗り、づらっ…!」

サイドバーに足をひっかけそうになりながらも車に乗り込む。バケットシートに深く腰かけ、5点式シートベルトを着用した。いつもより低い視点。同じ車のはずなのに、それだけでまるで違う車に乗っているような気がした。イグニッションスイッチに手を伸ばす。地を震わす様な低音に、ジェットエンジンの様な高音が混ざった排気音が轟く。やっぱり、違う。音と振動だけで、ありあまるパワーを感じる。一抹の不安を覚えながらもアクセルを軽く踏み込み、クラッチを繋げて街へ繰り出した。

山道まで走って、また車屋に戻ってきた。運転することは出来た。そして、楽しく刺激的で、速く走ることができる車ということは分かった。ただ、乗りこなすまでには…。ベース車輌と同じ車の様で違う、その僅かな様で大きな差が、自分に不安を与え、アクセルを踏み込ませないでいた。…これから慣れて行くしかない。

「おかえり。どうだった?」

優しく笑みを浮かべながら、車屋のおじさんは尋ねてくる。…認めたくなかったが、この人の言った通りかもしれない。

「エンジン、ステアのレスポンスも驚く程良くて、ワインディングも走りやすい、いい車だと思います。…ただ、やっぱり今まで乗ってきたBRZとは違って…。思いっきり走ることは、出来ませんでした…。」

「ああ、まあそれは、これからレースを重ねて慣れて行くしかないかな。積み重ねが大事だよ。慌てないでじっくり車と向き合う事だ。」

ええ、と小声で返事をする。

「それと~…。支払いはこれで良いのかい?」

「はい、良いですよ。問題ないです。」

「あはは~…。まあ、怒られない事を祈るよ…。」

頭をポリポリ掻きながら、車屋のおじさんは苦笑い。俺の上に立ちたがるあいつなら、喜んで受け入れてくれるはずだ。たんまり稼いでいる様だし、"このくらい"はした金だろう。

「じゃあ、あの車はもう君のものだ。パーツが来たら連絡するよ。ありがとうございます。健闘を祈ってるよ。」

車屋のおじさんと握手を交わし、俺は事務所を後にした。BRZに乗り込み、ドアを閉める。外の世界と隔絶されたかの様に、車内はシーンとする。深く息を吸い込み、吐き出す。

「…よし…!」

まずはREPを貯めなければ…!今夜はレースだ!

ーーーーー




宿泊先のモーテルの部屋で、くつろぎながらボーッとする。夜遅くまで走り込んだせいか、ぼんやりして頭がしっかり働かない。…結局の所、レースに参加して勝つことは出来た。REPも幾分か貯まった様だ。ただ、自分の中では納得出来ていない…。乗りこなせている感じがしない…そう思った。更にこれからパーツを変えて、ハイパワーにする事を思うと、少し不安になる。それ以前に、エディーズチャレンジの始まる日程が決まってしまった事が、より一層思考を停止させている。参加者の所には既に連絡がいっているらしい。つまり、俺は参加権を得られなかったと言う事。車も名声も、そして自分自身も間に合わなかった…。そんな事を考えながら白い天井を見つめる。

「…あっ…。」

ふいに思い出す。モヤモヤしている思考の一端を構成していたもの、それを思い出した。携帯を取り出し、連絡先タブから電話を掛ける。



「…もしもし?」

スピーカーから聞こえて来たのは、選んだ連絡先の人物とは違った声だった。ただ、"動画"で聞き慣れた声ではある。

「もしもし?」

「んー?あなたは?」

「これって姉ちゃんの携帯だよね?姉ちゃんに代わってくれないかな?」

「えっ?姉ちゃん?誰の事?」

…姉よ、せめて相方にぐらい自分の家族の話をしても良いんじゃないか?そんな事忘れるぐらい、相方と楽しんでるのか?

「…先に聞きたいんだけど、君の名前は?」

「私?私はマキ!」

マキ。姉の隣に座る相方。動画の中でエンジン音に混ざって聞こえる、快活で明るい声の正体。姉は彼女とおしゃべりをしながらレースをしているようだ。よりどんな人物か知りたいという探究心を抑えて、俺は話を続ける。

「マキさん、俺は結月ゆうりって言います。ゆかりの弟です。姉ちゃん、ゆかりに用事があって連絡しました。代わってもらえますか?」

「…ああ、ゆかちゃんの事ね!わかった、じゃあ代わるね!」

スピーカーから何事か、遠くからマキさんの声が聞こえる。姉を呼んでいる様だ。携帯を自分で取らず何かしているとは、全く呆れた姉だ…。

「もしもしゆうり!!」

姉の慌てた様子の喋りが聞こえる。何だか懐かしい気持ちになった。

「よう、久しぶり。姉ちゃん!話したい事があるから来て欲しい。後でマップに座標を送るから!それじゃ!」

「ゆうり!こっちに…!」

電話を切る。ふう、と一息。気恥ずかしさが襲って来て、一方的に言いたい事だけを言って切ってしまった。あのまま通話を続けていたら、何だかボロが出そうな気がして…。メールアプリを開き、ヨットハーバーを待ち合わせ場所に指定し、待ち合わせの時間を添えて姉にメールを送る。宿泊先を知られたくなかったから、待ち合わせは少し離れた場所にした。あの姉の事だから、俺の居場所が分かったら押しかけて来るだろう。そして、色んな事を問い詰めて、まくし立てて、お世話()をして…、なんだかんだでケンカになる。そうに違いない。そんな事を思いながらベットに倒れこみ、また白い天井を見つめる。何故かふふっと笑みがこぼれる。ぶんぶんと首を横に振り、待ち合わせの時間が近づくまで眠る事にした。


ーーーーー


………ゆうり、久しぶり…!………


………ああ、久しぶり。姉ちゃん。………


………こんばんは、マキだよー!………

………よろしく…。………


………ゆうり、どうしてここに?………

………ケンブロックとのタンデムラン。動画で見たよ、凄かった…。………

………ありがとう…。ゆうり…。お姉ちゃん、頑張ったんだから!………


………それが言いたかった事の一つ目。二つ目は…、………

………"エディーズチャレンジ"…。………


………はっ!ほああぁぁああっっっ!!………

………姉ちゃん…。………


………俺も参加しようとこっちに来た…。だけど、来るのが遅すぎたみたいだ…。………

………えっ…。………

………エディーのGT-R、手に入れたかったが…。………

………姉ちゃん、走ってくれ…!………

………わかった!お姉ちゃん、頑張るね!絶っっ対に優勝してみせるから!………


………見届けさせてもらうよ…!………

………うん…!またね、ゆうり!………

ーーーーー

姉には呆れるばかりだ…。話しているうちに薄々そんな気はしたが、まさかすっかり忘れていたとは…。怒りを通り越して、呆れしか無い…。何かに熱中すると、別の何かをすっかり忘れる…昔から姉はそうだった。おそらく今は、"車"と"マキさん"に熱中していて"家族を紹介する事"と"エディーズチャレンジ"を忘れてしまったのだろう。困ったものだ…。…こちらに来た理由を半分ぐらい誤魔化した意味がない…。それより、マキさんだ。動画で薄々は気がついてはいたが、友人と言うには親密過ぎる気がする。顔を赤くして紹介するとは…。俺には大して関係ないし、姉ちゃんがそれで良いならそれで良いけど…。モヤモヤを収める為に、レースをしよう。宿に戻ったら、日程のチェックだ。

ーーーーー




海岸線にあるパーキングエリア、そこで待っている。優勝を決める最終戦、そのゴールが近いこの場所で、誰がこの戦いを制すのか見届ける。レースがスタートしてから数分、遠くからエンジンの音が聞こえてきた。すぐにそのエンジン音は近づいてきて、その正体を表す。



…姉ちゃんのGT-R…!マットブラックにピンクのステッカー、轟音と共にその鮮烈な姿をさらし、ドリフトしながらコーナーを駆け抜けていく。来た時と同様、あっという間に離れていった。しばらく後、エディーのGT-R、さらに後、何台か目の前を駆け抜けていった。大差をつけての大勝利。しばらくその場に立ち尽くしていた。…ふと我に帰り、車に乗り込む。誰にも見られないように小さくガッツポーズした。…さて、帰りの準備をしよう。こいつを持ち帰る手配もしないとな。その前に、性能を試してみよう。新しいパーツで武装した、モンスターマシン。今のレースと同じコースを走って…!そう考えながらイグニッションに手を伸ばそうとした時、俺の携帯が震えた。

「もしもし?ゆうりくん?お姉ちゃんからプレゼントだよ~!」

ーーーーー

………うわっ、マジかよっ!………

………もうゆうりのものですよー!………

………よかったねー!!ゆうりくん!………


………10万ドルぐらいならポンッと出せますよ?なんてったって、私は姉ですから!………

………さっきから言わせておけば…!………

………うわあああああ!!………


………ありがと、姉ちゃん…!………

………うん!ゆうり…!………


………ああ、そうだ。マキさん。………

………えっ?私?………

………姉を、よろしくお願いします。………

………もちろん!まっかせなさい!………

………ちょっとゆうり、どういう意味です?それ?………

ーーーーー

帰りの船の中、二つのコンテナをぼんやり見つめる。一週間近い旅になるが、ワクワクで退屈はしなさそうだ。結局、姉と対決する事は出来なかったが、姉の記録に挑めただけ満足としよう。土産も沢山ある事だし…!
姉との別れ際に、色々余計な事をしてしまったような気がするが、まあ良いだろう。大胆な様で臆病な姉の事だ、これぐらいした方が自分と向き合える筈だ。せいぜい悶々として苦しむがいい。

「…頑張れよ…。」



水平線の彼方に消えていった大陸を望む。やっぱり姉ちゃんは姉ちゃんで…。姉ちゃんなりに楽しく、幸せに過ごしていく事を弟ながら切に願い、そう呟く。




































「……ああーっ!もう!!あんの弟め!!」

「ゆかちゃ~ん、どうしたのっ?ぷんすこぷんすこして…。なになに?この紙は…。」

「車屋さんからの領収書ですっ!弟の車の!額はいくらだと思います?20万ドルですよ!20万ドル!!」

「うへぇ~!大金だね~!!」

「ここぞとばかりに最高級パーツまでたっぷり組み込んで…!私にぜーんぶ押し付けて、自分は車を持ち帰って行きあがりましたよ!全く…エディーズチャレンジで稼いだ分がこれでパーですよ…。」

「10万ドルじゃ済まなかったねぇ~。…でも、こころなしかゆかちゃんの顔がニヤついてるのは、気のせいかなぁ~?」

「なっ!…そ、そんな訳ないでしょう…。」

「えへへ~、お姉ちゃん!弟君にお小遣いあげるの偉いね~!」

「むぅ…。し、仕方がないですから、全額PONっと払ってあげますよ!お世話になってる車屋さんですし、かわいいかわいい本当はちっとも可愛げないけど弟ですからね!何たって私は姉ですから!アハハハハハ!」

「うんうん!弟君が大好きなお姉ちゃん、大好きだよ~!ぎゅ~ってしちゃう!」

「わあっ!マ、マキちゃん!…ゆうりの事なんて、好きじゃないですから…。」

「えへへ~、私は知ってるんだから~!すりすり!」

「///…。もう、そういう事でいいですよ…。」




「弟君に公認して貰えたしね~!えへへ~。」

「何をです?」

「何でもないよ~?もふもふ!」



使用させて頂いたもの
くま式ゆかり改変 結月ゆかりの双子の弟モデル
くま式結月ゆかりver.2.2 くま様
弦巻マキ もものは様
東北ずん子制服モデル 東北ずん子公式サイトより
琴葉茜 もものは様
琴葉葵 もものは様
有理式改変レーシングゆかり 野良牛様/有理様
旅客機内部モデル 天日干しP様
MMD用ステージデータ:UTAU事務所-UK支部-  Ver 2.00 シロ様
MikuMikuDance用ステージ「寝室」かめ様 
モブコンテナ船 下校様
スカイドーム 輝く青空FF2 怪獣対若大将P様
ずんだ餅 ぐ?様
micPhone6 ログ太様


あとがき
 二月近く間隔が空いてしまい申し訳ない!エ、MMD静画作りにうつつを抜かしていたとか、そんなんじゃないんだからね!結構難産だったのです…。
 今回は原案を須張=フリード(@Fleed3917)さんから頂き作成しました!弟君のBRZもフリードさんに協力して頂き、撮影しました!ありがとうございます!

 次回はそんなにかからないとは思います…。



コメント

モカロン
No.1 (2017/01/12 20:32)
リクエストに応えていただきありがとうございます!とてもコメント遅れました!
今日遂に念願のPS4を購入いたしまして、これでNFSが出来る!と思ったら何と、NFSを買う予算まで組むと生活に負担がかかるという由々しき事態に…
そういえば、kuさんは現実でもR35がお好きなんですか?
ku (著者)
No.2 (2017/01/13 14:25)
>>1
私もps4とまとめてNFSも買ったので、財布がすっからかんになりましたね〜w

もちろん、R35は一番好きな車ですよー!
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