・ランナー一二塁からの三者凡退
・タイブレーク負け
・跳満リーチして倍満放銃トビ
・アニメ録画してるけど見る時間がないお(´;ω;`)
・んんwwwラス1ボァイアローに3タテとかありえないwwwwww
どんなゲームでも、ゲームじゃないものでも、積み上げたプラス要素を具体的な利に結び付けることは難しいものです。
将棋とて例外ではありません。
電王戦FINAL第1局、斎藤慎太郎五段 vs Apery はそんな将棋でした。
1図、後手のAperyが△6五銀から戦う姿勢を示した局面です。
筆者もこの△6五銀には違和感を覚えました。
どうにも1図に至るまでの後手の指し手がチグハグなのです。
△6五銀に代えて△7二銀と囲いを完成させる手ならば普通で、それなら一局の将棋だったでしょう。
お互い強気に戦って2図。
ここから▲6一龍△7二角▲4三歩△同金▲6四龍△5七と▲6五龍と進んで3図。
この2図~3図が本局のハイライトです。
この手順の間に、
・6一金を浮き駒にした△8二玉
・ただ取られるだけの駒になった△6五銀
・龍の移動ルートを作った△6四歩
…と、初手~1図における後手の指し手が全て、見事にマイナスに作用しています。
3図になって後手が得た実利は△5七とぐらいですが、▲4三歩△同金の利かしによって飛車先を塞がれていては、その価値も大暴落です。
6一金をボロッと取られた損とは釣り合いません。
3図以下も完璧な指し回しで、先手斎藤五段の完勝となりました。
1図までの後手の指し手を見てみましょう。
・△5二金左 ○囲いつつ▲6八角に備える ×▲2一飛成が6一金に当たる
・△8二玉 ○玉を一路深く囲う ×6一金が浮く
・△6四歩 ○△6五銀の狙い ×▲6一龍~▲6四龍の道ができる
・△4五歩 ○穴熊には角交換 ×振り飛車には角交換
・△6五銀 ○角頭の歩をかすめ取る狙い ×この瞬間は中途半端
どの手にもプラスとマイナスの両面がありますね。
とは言っても△5二金左と△6四歩なんて、ほとんど言いがかりみたいなものですけどね。
しかし現に実戦は3図へと進み、斎藤五段は全ての手を咎めてしまいました。
1図の△6五銀に代えて△7二銀と締まっていれば、これらのマイナス面は一つも顕在化しなかったことでしょう。
△6五銀という悪手は、普通の手だったはずの△5二金左・△6四歩までも巻き込んで、悪手に変えてしまったのです。
△8二玉という手は普通の手ですが、実は△7二銀と合わせて初めて価値のある手となります。
このような手を「二手一組」と言います。
△6五銀は、角頭かつ玉の小ビンを狙う好所の銀ですが、結局何一つ戦果を挙げることなく討ち死にしてしまいました。
これもまた「二手一組」の「2手目を指さなかった」のと同じようなものです。
本局は、数手分の指し手を「流れ」でとらえることができた人間と、できなかったコンピュータの差が現れた将棋だったと言えます。
2図の△6五銀を△7二銀に変えてみました。
これなら△4七歩成でむしろ振り飛車よしだと思います。
Aperyは2図と参考図を「ほとんど同じ局面」だと感じたのでしょうかね?
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