先日開催されたサンディエゴのコミック・コンで、ドラマ『バフィー ~恋する十字架~』、『ファイヤーフライ』、そして映画『キャビン』や『アベンジャーズ』シリーズの監督・脚本で知られるジョス・ウェドンが「人生の意味」を語りました。
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コミコンで行われたジョス・ウェドンのワンマンショーで投げかけられた質問は、「人生の意味」と「現実の本質」、そして「この世で幸せに、そして正気でいるためには?」というもの。
この意外な質問に、ウェドン監督は次のような回答をしたそうです。
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この質問に自分は答えないと思っている人が多いと思うので、予想を裏切って答えてみましょう。
この世は行き当たりばったりで意味のない、恐ろしい場所です。ネタバレになりますが、誰もが死という結末を迎えます。そして、ほとんどの生き物はそれに気づかないようにデザインされています。
しかし人間である私たちはユニークなことに、永遠に存在し続ける醜いソレを超越するように、そして理解するようにデザインされているのです。
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さらに、「人間の脳の主な機能、本能的な部分はストーリーテリングだ」とも話しています。
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記憶とは「ストーリーテリング」です。もし私たちが全てを記憶していたら、『レインマン』になってしまうでしょう。そして、社会的に活発ではいられません。そこで、私たちは忘れて曲解することを学び、同時に自分自身に関する物語を語ることも学ぶのです。
私は自分の物語のヒーローになりたいと願い続けていますが、実際は人をイラつかせる脇役です。『ターザン』だと、ロージー・オドネル(ターク役)ですね。
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大ヒットメーカーのジョス・ウェドン監督が、自身を性別不明のゴリラだと考えているとは予想外ではないでしょうか? 彼こそヒーローにふさわしいと思うのですが......。
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私は、私たちが耳にしたり見たり内面化したり、一人何役も演じたり表現したりする物語とは、ストーリーテリングするため、体験を共有するためにのみ存在すると考えています。
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また、ストーリーテリングで共有される経験は、私たちに強さと平和をもたらしてくれるとウェドン監督は続けたとのこと。
そして、「自分の物語を理解し、人の物語も理解する。その物語は『自分たちでコントロール』できます。だって、私と違い、皆さんは全員、自分の物語のヒーローなのですから。」という言葉で締めくくっています。
この綺麗な終わり方はさすが脚本家! それにしても「自分が自分の人生のヒーロー」というのは決して目新しい考えではありませんが、ジョス・ウェドン監督ほどの人物でもヒーローになりたくて努力していると聞くと、私たちも今より意識を高く持って、「死」というエンディングに向かわなくてはいけない気になります。
[via io9]
(中川真知子)
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