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ロボットたちの製作・撮影が見られる『インターステラー』の舞台裏

2015/04/04 14:30 投稿

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ロボットたちの製作過程が見られる『インターステラー』の舞台裏


映画『インターステラー』に登場する人工知能ロボットのTARSCASEは、その無機質な外見に関わらず、人間同様もしくはそれ以上に存在感のあるキャラクターでした。今の映画界では何でもかんでもCGで作られるといった印象がありますが、あのTARSとCASEはビル・アーウィンという俳優が演じており、CGのパートは少数のみ。


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今回は、そんな『インターステラー』の人間っぽい箱型人工知能の舞台裏映像をご紹介します。



クリストファー・ノーラン監督は人間の真似事をするようなロボットではなく、知能と個性を持ちつつも外見からはそれを感じさせることのない純粋なマシンを求めていたと語っています。そこで、弟であり脚本家であるジョナサン・ノーランは「宇宙船に同乗する最も人間らしいキャラクターの人間ではないもの」というアイディアを元に、軍が製造したという背景を持つTARSとCASEを作ったそうです。

ノーラン監督は、これらのマシンを電気スタンドやカメラの三脚のような何かしらの形状に変形する、ヒト型ではない最もシンプルな姿をしているものとしてイメージしていたらしく、最終的に小さな箱を寄せ集めた大きな箱のような姿になったのだとか。そこでマグネットを使った叩き台が作られ、デザインがフィックスしたようです。

ノーラン監督と脚本家のジェイソンの当初の考えでは、TARSとCASEはほぼCGになる予定だったそうですが、スペシャルエフェクトチームがセットでどれくらい演じることができるのかを証明して見せたため、最終的には、セットでパペット使いに実際に演じさせることを基本とし、複雑な動作はCGを使って、2つのロボットに命を吹き込んだとのこと。

次に必要となるのが、TARSとCASEを演じる俳優。ノーラン監督は、コメディアン俳優であり道化役者でもあるビル・アーウィンを紹介され、これ以上の配役はないと感じたそうです。アーウィンにとって、この制限された動きの中で個性を出すということは非常に難しい挑戦だったことでしょう。

インタビューの中で、アーウィンがノーラン監督とTARSとCASEについて話した際の面白いエピソードを語っています。それはノーラン監督がロボットという呼び名ではなく、「マシン」という言葉で表現していたというもの。動画の冒頭にもあった通り、ノーラン監督がロボットは人間の真似事をするものであり、TARSはそれにあてはまらない個性のある純粋な機械だと常に意識していたことが伺えます。

アーウィンはプリプロダクションの頃からプロジェクトに参加し、これらのマシンの製作に大きく貢献。彼が初めてスペシャルエフェクトチームのもとを訪れたのは、TARSのプロトタイプが作られていた頃だったそうです。

当時のTARSはケーブルワイヤー付きのアルミニウム製で、操作性も良く軽量でしたが、最終的にステンレスを使うということになり、70ポンド(約30キロ)も増量。結局200ポンド(約90キロ)になってしまったそうです。あまりにも重くなったため、ワイヤーではどうにも動かすことが出来ず、スペシャルエフェクトチームは圧縮空気システムを導入することになったとのこと。

こうしてアーウィンやスタントの意見を細かく取り入れて作られた人工知能ロボットは、前方に倒れてしまわないように胸部に支え棒が、足元に操作用の棒が付けられています。こうすることでバランスをとっているようです。そして、考えうるシチュエーションを想定して使用具合をテストし、アーウィンやスタントマンが扱いやすいようにセット面でも工夫していったのが見えます。

TARSとCASEが変形し、素早い動きをするといった場面があり、スペシャルエフェクトチームも到底パペットでは演じきれないと感じたこともあったようですが、形状を変えたマシンを作るなどを行い、意外にもこなせてしまったのだとか。

例えば、水の惑星での救出シーンは全てCGかと思いきや、実はほとんどがマペットで、救出後に水の中を滑走させた部分だけがCG。水中を極力速く走るために細身のタイヤを装着した乗り物に車輪のような形へ変形させたCASEを付けて走らせ、スタントダブルの女性を抱えて戻ってきたシーンを撮影した後、CASEが自力で水中ダッシュしているようにCG編集しているのです。

アーウィンは灰色のボディスーツに身を包み、常にマシンの裏側でTARSとCASEに命を吹き込んでいました。そして言葉は多く発せずとも、しっかりとした存在感を放っていたのです。俳優のマシュー・マコノヒーは瞬く間にウィットに富み、少々皮肉屋なTARSと物静かなCASEと「繋がり」を感じたのだとか。これはアン・ハサウェイがインタビューでも言っている通り、アーウィンがTARSとCASEというマシンを深く理解していたからでしょう。

胸部と足を固定され、膝を曲げてマシンを動かし続けなくてはならないという過酷な状況においても、現場では常に笑顔だったというビル・アーウィン。彼の活躍と多大なる努力があったからこそ、ノーラン監督の求めた個性のあるマシンが生まれたのです。


[via Sploid

中川真知子

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