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デビッド・リンチ作品に影響を受けたゲーム17選

2015/03/25 21:30 投稿

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デビッド・リンチに影響を受けたゲーム17選


デビッド・リンチ監督の映画は多くの人々に影響を与えてきました。

映画だけでなく、ゲームの世界にもリンチ監督に影響を受けた作品は少なくなく、『アランウェイク』や『レッドシーズプロファイル』など、ファンならニヤリとする作品も多く存在します


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映画『イレイザーヘッド』、『エレファント・マン』、『ブルー・ベルベット』、『マルホランド・ドライブ』、そしてTVシリーズ『ツイン・ピークス』。独特の雰囲気と、時に難解にも感じられるものの、もしかすると何も考えずに作っているのかも......?

と思わせる作風で有名なデビッド・リンチ監督ですが、YouTubeチャンネルstrummerdoodによると、『ゼルダの伝説 夢をみる島』、『サイレントヒル』、『メタルギアソリッド』といったゲームも、実はリンチ監督から影響を受けた作品なんだそうです。

いったいどんな影響を受けているんでしょうか?

※注 以下、『レッドシーズプロファイル』、『アランウェイク』、『killer7』、『Time Fuck』、『The Binding of Isasc』、『ホットライン・マイアミ』、『Braid』、『メタルギアソリッド』、『メタルギアソリッド2』、『マルホランド・ドライブ』のネタバレを含みます。



まずデビッド・リンチ監督作品の特徴として、

世界の二重性:2つの異なる世界があり、登場人物がそこを行き来する。
人物の二重性:登場人物たちに二面性(善と悪の面、多人格)がある、なんらかの過去/事件をきっかけにアイデンティティが崩壊する、人が変わってしまうなど。
:夢の中で、現実世界で起こりえないことが起こるが、夢と現実の区別はつかない。

といった要素が存在します。これを踏まえた上で、各作品のstrummerdoodによる解説を見ていきましょう。




■『ゼルダの伝説 夢をみる島』

ディレクターの手塚卓志氏は、その世界観を制作当時流行っていた『ツイン・ピークス』に影響を受け、本作は「怪しいキャラクターばかりの小さな町」というものに。以降『ゼルダ』シリーズは常にこれをベースにして作られています。

『夢をみる島』では、リンチ監督の物語手法でもお馴染みの「夢」が大きな要素になっています。


■Remedy Entertainmentの作品

アランウェイク』は、『ツイン・ピークス』のような「怪しいキャラばかりの小さな町」が舞台の作品で、『ツイン・ピークス』へのオマージュもたくさん含まれています。

主人公は自らのドッペルゲンガーに遭遇。主人公は自らが書いた話の中をさまよい、アイデンティティの崩壊に陥ります。そして、『ブルー・ベルベット』の「50年台の理想像でできた世界とその裏に存在する残酷な世界」のような「昼間は普通の田舎町、夜は謎の影が徘徊する世界」が存在するのも特徴です。

『マックス・ペイン』、『マックス・ペイン2』でも、『ツイン・ピークス』の「赤い部屋」を彷彿とさせるテレビ番組がゲーム中に登場します。


■『レッドシーズプロファイル』

まるで日本版『ツイン・ピークス』といった雰囲気の作品。こちらも『ツイン・ピークス』へのオマージュがたくさん登場します。

主人公ヨークは登場しないキャラクター「ザック」に語りかけます。これは『ツイン・ピークス』でクーパー捜査官がテープレコーダー先の「ダイアン」に話しかけているところからインスピレーションを得たのでしょう。

主人公は子供の頃のトラウマから解離性同一性障害になったという設定で、これは映画『ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の7日間』へのオマージュかもしれません。


■Suda51こと須田剛一氏の作品

ムーンライトシンドローム』は映画『ロスト・ハイウェイ』に影響を受けたとされています。『killer7』では車椅子に乗った多重人格の暗殺者が登場。リンチ作品風のキャラクターの二重性が色濃く出ています。


■エドモンド・マクミラン氏の作品

The Binding of Isaac』では、純粋な子どもと様々な罪で表現された二重性を持つ主人公が、悪魔へと変化します。これは、すべての人間には闇の側面があり、それが人を人たらしめるという『ツイン・ピークス』や『ブルー・ベルベット』でも描かれている要素です。

Time Fuck』は、デビッド・リンチ監督からの影響をより直接的に受けた作品。二重性を用い、シュールな居心地の悪さを表現しています。主人公は未来から来た自分とともに「箱」に閉じ込められ、未来の自分が自らに語りかけます。

最後のステージでは追い込まれ、諦めて自殺するよう言われます(そうすることもできる)が、パズルを解けば脱出が可能です。この「箱」は私達が自らに課せる限界を表しており、エンディングでは自分を制限するものは自分の頭の中の声だけだと語られます。


■小島秀夫氏の作品

小島秀夫氏は「スティーブン・スピルバーグよりもデビッド・リンチになりたい」と発言したことがあるそうです。

メタルギアソリッド』シリーズには、自分のアイデンティティがはっきりしないというシュールさがあります。他にも、『ツイン・ピークス』のように、切断された腕に取り憑かれるキャラクターが登場。そして、ソリッド・スネークはクローンであると判明します。

兄弟であるリキッド・スネークが遺伝的により優れており、髪の色はリキッド・スネークがブロンド、ソリッド・スネークはブルネットです。『ツイン・ピークス』のリーランド・パーマーは当初はブルネットですが、途中で急に白髪となり、『メタルギアソリッド2』ではソリッド・スネークの後継者として育成された、ブロンドの雷電が現れるところにも共通性が見られます。

他にも、大佐が「要ハサミだ。61!」などと発言する、現実をぶち壊すシーンは「アンキャニー」(uncanny/異様)という表現手法で、H・P・ラブクラフトの作品や『ダークソウル』などのゴシックホラーでよく使用されています。これもまた、リンチ作品によく見られる表現法です。

P.T.』でも「なにかがおかしい、でも身近な気もする」といったアンキャニーさが感じられます。普通の廊下を歩いている途中、予想できない変化が起きることに恐怖する作品です。さらには、映画『イレイザーヘッド』に登場した「赤ちゃん」のような何かも登場します。


■『サイレントヒル』シリーズ

映画『マルホランド・ドライブ』では、世界を登場人物が持つ「色眼鏡」を通して描くという表現主義的手法が、主人公の楽天的だが不完全な夢という形で強く表現されていますが、『サイレントヒル』シリーズでは登場人物に潜む悪魔が現実のものになります


■『Kentucky Route Zero』

作者のジェイク・エリオット氏自身がリンチ監督に大きくインスパイアされたと語っており、『マルホランド・ドライブ』では日常的と超自然的が混ぜあわされていますが、『Kentucky Route Zero』でも田舎道を旅する中で奇妙な出会いが待っています。リンチ作品風の世界の二重性です。

バーでの歌シーンはジュリエット・クルーズ氏による『ツイン・ピークス』のシーンへのオマージュでしょう。ルーラという名のキャラクターは、リンチ監督のロードムービー『ワイルド・アット・ハート』でローラ・ダーンが演じる同名のキャラクターからとられているのかもしれません。


■『Life is Strange』

リンチ監督からの影響がちょこちょこと散りばめられています。ナンバープレートの「TWNPKS」は『Twin Peaks』(ツイン・ピークス)を示し、小さな町でおこるミステリー、日常と超自然という組み合わせもリンチ的です。

この作品で見られるステレオタイプの破壊は、『マルホランド・ドライブ』での典型的なハリウッドの夢が崩れるさまや、『エレファント・マン』での世間からモンスターとして見られながらも、一人の素晴らしい人間となるジョン・メリック氏の話に繋がります。


■『Gone Home』

90年台を舞台にしたこの作品では『ツイン・ピークス』が作中で言及されます。巨大で不気味な我が家から家族が失踪し、そこに残された日常を探索しながらも、そこに予想を裏切る悪魔崇拝儀礼が暗示されています。

本作デザイナーのスティーブ・ゲイナー氏は『ブルー・ベルベット』が、室内のライティングの描写に影響を与えたと語っているようです。


■『ホットライン・マイアミ』

作者のヨナタン・「カクタス」・ソーダーシュトロム氏は大のデビッド・リンチファンであると語っています。

80年台のアクション映画にオマージュを捧げた作品ながらも、バックトラック法でプレイヤーに嫌悪感を与えるなど、ある意味今回紹介しているゲームのどれよりもリンチっぽい作品です。

ステージ開始前にはマスクが選択でき、別の人格を被ります。それはまるで赤いベルベットのカーテンを通り抜け、別の空間へと入るリンチ作品のキャラクターのようです。


■三上真司氏の作品

バイオハザード』でもバックトラック法が用いられています。なお、三上真司氏がカプコンを去った後に始めた会社は「有限会社Straight Story」、デビッド・リンチ監督作品にも同名(『ストレイト・ストーリー』)の作品があります。

サイコブレイク』での移り変わる夢の中のような物語形式は、リンチ監督の今のところ最後の作品、9年前の『インランド・エンパイア』のようです。『インランド・エンパイア』の何の脈絡もなく差し込まれる夢や悪夢のように、『サイコブレイク』でも現実は確かなものではありません

この作品は三上氏の過去の作品を彷彿とさせるところもあり、これは『インランド・エンパイア』で『マルホランド・ドライブ』などの過去の作品のキャラクターが登場する描写を思わせます。


■『Braid』

作者のジョナサン・ブロウ氏は『マルホランド・ドライブ』に大きな影響を受けた作品だと語っています。




製作者自らがそう言っている場合や誰が見てもわかるようなオマージュは別として、『メタルギアソリッド』の髪の色のくだりなどは、ややこじつけにも感じられますが......。

なにはともあれデビッド・リンチ監督の作品に影響を受けた作品が多く存在するのは事実。PS2のコマーシャルにリンチ監督が起用されたのも納得です。

2016年の新『ツイン・ピークス』もそんな影響力の強い作品となるのでしょうか? 新作が待ち遠しい方は、ひとまずコーヒーとパイを満喫しながら、今回紹介したゲームをプレイしてみてはいかがでしょうか?


[via Kotaku

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