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最新作でスネークが吸っているものは? 『メタルギア』の喫煙を検証

2015/02/06 23:30 投稿

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最新作でスネークが吸っているものは?


あくまでも仮説です。

『メタルギア』シリーズで、スネークはタバコのようなものを吸っています。ただのタバコだろうと思っていたら、最新作『メタルギアソリッドV ファントムペイン』では「薬草」が入ったモノになっているか。しかも吸うと時間が早く進む......? 一体何を吸ってるんでしょ? もしかして......


【大きな画像や動画はこちら】

以下から、The Game Theoristsによる仮説の動画とその要訳をご覧ください。



1987年の『メタルギア』では、バージョンによってはタバコを吸うと体力が減るようになっています。一方で照準を定めるときや、レーザーアラームを見つけるといった使い道もあるタバコですが、時間の流れを変えることもできるんです。最後の施設が爆発するときにタバコを装備するとタイムリミットが長くなる、つまり時間がゆっくり流れます

では、最新作『メタルギアソリッドV ファントムペイン』ではどうなのでしょうか?

この作品の主人公はソリッド・スネークではなくビッグボス。ビッグボスは『メタルギアソリッド3』で初登場しながらも、実は初代『メタルギア』の最終ボスでもありますが、最新作ではヴェノム・スネークとして活躍します。

そんな『ファントムペイン』に登場する喫煙具は「ファントムシガー」。時間の流れを変える事のできる電子タバコですが、こちらは時間の流れが早く進みます。「薬草」の入った電子タバコで、喫煙者の時間の感覚に影響を与えますが、もし敵に見つかるなどのストレス下に陥ると、効果が失われるようです。

では、「ファントムシガー」のモデルとなっていそうな喫煙具は現実の世界に存在するのでしょうか? 考えていきましょう。


■メタンフェタミン

1981年の実験心理学ジャーナルによれば、時報間の時間経過を正確に当てられれば食べ物が貰えると学んだネズミに対して、少量のメタンフェタミンを与えると、ネズミの体内時計が10%ほど早まったと書かれているそうです。スネークがファントムシガーを吸い続けている間、時間が早く進むのと一致します。

しかし、メタンフェタミンはファントムシガーのような「薬草」ではなく人工物です。日本の薬学者、長井長義がエフェドリンを発見し、そのエフェドリンからメタンフェタミンを作りました。

メタンフェタミンは神経毒のようなものであり、低い分量では高い集中、多幸感、性欲増進などが、高い分量では精神病、脳溢血、骨格筋破壊などが生じます。ゲーム中のスネークは過剰摂取っぽく見えるものの体調は悪くなさそうですから、もしかしたらメタンフェタミンではないのかも......。


■コカイン

コカインは鼻の治療の際などに局所麻酔として使われたり、パーキンソン病の診断のために使われたり、薬としても使われています。それに、元々植物の葉からとられているため、「薬草」というファントムシガーのゲーム内表記にも合っています。コカ・コーラにも元々含まれていたコカインですが、1929年以降は含まれていません。

ファントムシガーのように吸うには、遊離コカイン/クラック・コカインでないといけません。ポップカルチャーでも路上で違法に売られるドラッグとしてお馴染みの「クラック・コカイン」ですが、時間感覚を変えることはできるのでしょうか?

リヴァプール・ジョン・ムーアズ大学のキャシー・モンゴメリー教授によれば「コカインを摂取すると、時間の経過が早くなります。まるでドラッグを摂りはじめたと思ったら急にもう数時間経っていて、もう朝の7時だった、という感じ」だそうです。しかし、クラック・コカインでハイになれるのは5~10分。吸引するとドーパミンが大量に出てハイになるのですが、10分後にはドーパミン量は急激に低下し、もっとコカインを必要とするようになります。

脳がドーパミンを再補充するのには時間がかかり、摂取を続けるとあまりハイになれなくなります。そのため、もしファントムシガーがコカインならば、ゲーム内の効果を得るためには常に吸っていなければならないわけです。そうすると不眠症、偏執症になり、知らぬ間に摂取しすぎてしまうことでしょう。

その上、ずっと摂取し続けていると精神病、肺が収縮し酸素や血液が正常に循環できなくなるクラック・ラング(crack lung/クラック肺)、皮膚の下を虫が這いまわっている妄想に取り憑かれ、時にそれを感じたり見えたりしてしまう寄生虫妄想症などにもなってしまいます。ということで、コカインも違うかもしれません。


■アヘン

ファントムシガーはハイになるものではなく、もっと「メロー」なものかもしれません。芥子(けし)の実から作られるアヘンは、モルヒネなどのアヘン様合成麻酔薬類など、医療にも使われています。芥子という植物からとられるものなので「薬草」です。

Te Duc Nguyen著の『Le Livre de l'opium』(アヘンの書)によれば、アヘンを摂取した人は「その人自身の体から抜け出せるだけではなく、その体が存在する物理世界からも自由になる。アヘンはその者の神経をピアノとしてセイレーンの曲を弾き、その曲を聞くとともに時間の経過を忘れ、同じく空腹や渇き、疲れ、眠気をも忘れるのだ」そうです。

時間が早く経過するようにも読めますが、トランス状態に入ったり、感覚が鈍ったり、時には昏睡状態間際のような状況に陥ってしまうそうなので、敵に見つかったらすぐに我を取り戻す事のできるファントムシガーとは違うように感じます。


■大麻

大麻の時間感覚への影響は、使用者によるところが大きいのだとか。キャシー・モンゴメリー教授によれば、「カナビス(大麻)はどうやら吸引された状況によって時間感覚への影響が変わり、一人で摂取すると時間が遅く感じられる」とのこと。他人とともに吸えば時間が早く進むかもしれませんが、ゲーム内のように一人で吸うと、逆に時間が長く感じられるようです。

じゃあ違うのでは? とも感じますが、実はそうとも言い切れません。スネークが大麻のスキルを鍛えている可能性があるからです。

1963年、社会学者のハワード・S・ベッカーはこんな発表をしています。「大麻の効果はドラッグの直接の影響ではなく、学んだものだ」と。つまり大麻を学んでいけば、大麻の効果を自ら操ることができるようです。

1978年のチャールズ・T・タート編の『Altered States of Consciousness』(変性意識状態)では「これらのケースで起きているのは、ほとんどの人の注意は時間処理以外の部分にあるため、時間経過については社会的な意識が戻るまで気づかないということ。よって時間の経過に気づかず、時間が経っていないように感じられるのだ」と書かれています。

つまり、あることに集中していれば時間を経つのを忘れるということ。大麻を摂取するとメローになる他、幻覚作用、向精神薬性もあり、内観、ユーモアや音楽などの刺激への複雑さに対する集中能力の向上などが起こります。周囲の小さなディテールに集中してしまい、クスクス笑う大麻中毒者のイメージもここから来ているわけです。

スネークがファントムシガーを吸うときはどうでしょう? 吸い始めに女性の声が入った音楽、スネークの静穏な表情、時計盤のディテールに集中...一致する部分が多いように見えます。

キャラクター設定の面から考えてみても、スネークは80年代初期の冷戦に深く関わっており、その中で炙られて来ています。ブラックオプス、テロリズム、パラノイア...そう考えると、ただゲームプレイのために登場したアイテムではなく、そんな歴史を生き抜いてきた一人のキャラクターとして、神経を落ち着けるために吸っていると考えれば、なんとなく納得できるのではないでしょうか?


いかがでしたか?

あくまでもこれは仮説です。もしかしたら普通のタバコ/葉巻で、スネークはただボケーッと遠くを見つめているだけかもしれませんしね。

なお、動画製作者も「自分は紹介したドラッグをやったことはないし、ドラッグ使用を薦めているわけでもない」と言っている通り、ドラッグには絶対に手を出してはいけません。だめよだめだめです!


[via Kotaku

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