近づいてみると、まるで『耳なし芳一』状態です。
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トップ画像で何かが違うと感じたかと思いますが、今回ご紹介しますのは、ちょっと変わった『スパイダーマン』のスーツ。
パっと見、ごくごく普通の『スパイダーマン』のコスプレに見える赤/青の全身タイツですが...実は全身にビッシリ細かい文字が書き込まれているアート作品となっています。
その文字とは、『スパイダーマン』の中の人であるピーター・パーカーへの感謝の言葉を綴った、いわばラブレター。そう聞いただけでもう、現代アートの臭いがしてきませんか?
さっそく、写真や制作風景を早回しにした動画をチェックしてみましょう。普通の『スパイダーマン』スーツではないことがお分かりいただけます。
スパイディ座り(?)でリラックスした体勢
ここまで寄っても文字が書いてあるとはなかなか気づかないでしょう。
作者は振付師でダンサー、そしてマルチな才能で立体造形も制作するパフォーミング・アーティストのヘテイン・パテルさん。1980年のイギリスはボルトンに生まれ、今はロンドンを拠点としている方です。
そして、彼が作ったこのスーツに書かれている手紙は、『スパイダーマン』がどれほどパテルさんに影響を与えたのか、そして、このスーツを着れば白人でも黒人でも、アジア人でもインド人でも男女関係なく、誰でもがスーパーヒーローになれる素晴らしさを綴ったものであり、その文面の繰り返しが全身を埋め尽くしているのです。その内容がこちら。
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親愛なるピーター・パーカー、貴方に感謝したいことがいくつかあります。最初にして一番大事なことは、貴方が自らの顔を覆い隠すマスクを作ってくれてありがとう。皮膚のすべてを覆い隠すスーツを作ってくれてありがとう。だからこそ、私はアジアの『スパイダーマン』でもなく、インディアン『スパイダーマン』でもない、『スパイダーマン』になれるのですから。
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なるほど、アイデンティティーについて考えさせられるアートになっているようです。同時に、自分に影響を与えてくれたヒーローに対しての感謝にもなっています。
現在このスーツは、パテルさんを型どったガラス繊維製の人体模型に着せて、インドのムンバイに在るアート・ギャラリーのショウケースに保管、展示されているのだそうです。
「Toybox」で紹介されていたこのスパイダーマン・スーツ、YouTubeにアップされた動画では、制作の様子が超早回しで閲覧できます。そしてスーツの説明文には、以下のように書かれています。
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私のこのスーツは正確な再現ではないものの、細かいところは映画版『アメイジング・スパイダーマン』を参考に、自分が読みながら育ったクラシカルな『スパイダーマン』スーツの要素と合わせています。
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制作時間については触れられていないものの、これだけ細かいと相当かかりそうですよね。途中からゲシュタルト崩壊を起こしそうですし、写経のように心を無にすることも出来るかもしれません。修行のようなコスプレ/アートです。
[TED via Comicbook.com via Toybox]
(岡本玄介)
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