おなじみDid You Know Gamingが、今回は任天堂のシミュレーションロールプレイングゲームシリーズ『ファイアーエムブレム』についての豆知識を紹介しています。
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シェイクスピア作品からの引用が隠されていたり、欧米版では簡単になっていたり、火星を舞台にした作品も考えられていた事があったり、ゲームを遊ぶだけではわからない、シリーズの裏に隠された豆知識を紐解いてみましょう。
■消えた『ファイアーエムブレム64』
任天堂はニンテンドー64ディスクシステム向けに『ファイアーエムブレム64』を開発しており、宮本茂さんがインタビューで『マリオRPG2』の後、1998年後半に出ると語っていました。
2000年8月、『ファイアーエムブレム64』がキャンセルされる数ヶ月前には、別タイトルの『ファイアーエムブレム 暗黒の巫女』が任天堂スペースワールドイベントのゲームリストに載っていました。(『暗黒の巫女』は後に『封印の剣』となる)『ファイアーエムブレム64』の開発内容は『ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡』に受け継がれたのかもしれません。
■『ファイアーエムブレム64』キャンセルの原因は、開発元であるインテリジェントシステムズと任天堂が加賀昭三さんと揉めたから?
流石にストップがかかりました。
『ファイアーエムブレム トラキア776』の後に、シリーズのクリエイターである加賀昭三さんはインテリジェントシステムズを退社して、自らゲーム会社ティルナノーグを立ちあげます。
ティルナノーグからの最初のゲーム『エムブレムサーガ』はPlayStation向けの『ファイアーエムブレム』の後継作品といった感じでしたが、発売直前にタイトルは『ティアリングサーガ』と変更されます。
『ティアリングサーガ』のゲーム内の紋章アイテムはコード内にはあるものの、使用されることはありませんでした。不正競争防止法違反と著作権侵害の訴訟が任天堂とインテリジェントシステムズによって起こされたためです。時間的には『ファイアーエムブレム64』のキャンセルと近いため、もしかしたら関連があるのかもしれません。
■欧米での『ファイアーエムブレム』シリーズ発売は『スマブラ』と『ファミコンウォーズ』のおかげ
これがきっかけとなって作品を遊んだ人も多いのでは?
『大乱闘スマッシュブラザーズDX』 にマルスが登場したこと、そして『ゲームボーイウォーズアドバンス』が成功を収めたことが、欧米で『ファイアーエムブレム』シリーズがリリースされるきっかけとなったようです。
Edgeマガジンとのインタビューで『ゲームボーイウォーズアドバンス』のディレクター西村建太郎さんはこの作品の成功が「西洋人の好みに関する任天堂の態度を変えた」と語っています。
■欧米版は日本版よりも簡単に
あの緊張感が好きでした。
海外タイトルはシンプルに『Fire Emblem』となったこのゲームボーイアドバンス用の作品。海外版は、ボスのステータスが低く設定されているなど、日本版よりも少し簡単にしてあるそうです。
日本版では『封印の剣』とリンクさせ、リンのストーリーをスキップさせることができるものの、海外版ではそれは不可能となっています。その次の作品『ファイアーエムブレム 聖魔の光石』でも、キャラクターのステータスや成長速度が上がっていたりと日本版よりも簡単になっていました。
『ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡』でも一部ユニットのステータスが上げてあり、どちらの作品でも一番高い難易度「マニアック」は無くなっていました。日本版と同じ難易度で出された『ファイアーエムブレム 暁の女神』では、難易度「マニアック」も「ハード」と名前を変えて登場。しかしこの作品ではアメリカでは難しすぎると批判されました。
■賛否両論クラシックモード
アナタの意見は?
『ファイアーエムブレム 覚醒』では、シリーズの特徴でもある、死亡ユニットがロストされ戻ってこないという仕様を「クラシックモード」として、ユニットがロストされない簡単な「カジュアルモード」が追加されています。
カジュアルモードの追加はファンの間だけでなく開発元でも議論を呼んでいたよう。プロジェクトマネージャーの樋口雅大さんはインタビューで、最後までカジュアルモードの追加には反対だったと語っています。
しかしカジュアルモードが導入されたのは、これより前に出た日本国内版しか出ていない『ファイアーエムブレム 新・紋章の謎 〜光と影の英雄〜』がシリーズ初です。
■『ファイアーエムブレム 覚醒』はシリーズ最後の作品となるはずだった
SF要素もありました。
シリーズの売れ行きが落ちていたことから『ファイアーエムブレム 覚醒』が25万部以上売れない限りはシリーズ最後の作品となるはずでした。それもあって、この作品には結婚、子供、DLC、カジュアルモードなどさまざまな要素が盛り込まれています。
「現代の現実世界」や「火星」(このアイデアはマルス=Marsから来ているかも)を舞台にするというアイデアもあったようですが、これまでのファンを遠ざけてしまうだろうとのことでそうはなりませんでした。現在までに『ファイアーエムブレム 覚醒』は世界で100万部以上売れています。
■古代語は理解できる
よく見れば読み解くことができます。
『ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡』と『ファイアーエムブレム 暁の女神』では、リュシオン、リアーネ、オルグの古代語の表記はローマ字となっています。
メニュー画面の背景の古代語は「星を火であると疑い、太陽を動かないものと疑い、真実を嘘と疑っても、我の愛を疑うな」というシェイクスピアの『ハムレット』でハムレットがオフィーリアに宛てたラブレターの引用となっています。
■『ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡』の隠し要素
隠しコンテンツを見るのは楽しいですよね。
『ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡』にはたくさんカットされたコンテンツや隠しコンテンツが。GBA版からのアイテムアイコンデータが入っていたり。GBAケーブルで『封印の剣』とリンクできるシステムは海外版ではなくなっています。
『封印の剣』からのキャラクターイラストもチートコードなしではアクセス出来ないものの入っています。NPCのステータスもチートコードを入れればその多くが確認できるようになっており、中には『蒼炎の軌跡』には登場せず、『覚醒』でプレイアブルキャラとして登場するヘザーのステータスも確認できます。
■設定は神話から
神話系に影響されています。
シリーズの設定は神話から強く影響を受けており、例えばマルスはローマの戦の神マールスから名前をとられていたり、ユグドラル大陸は北欧神話の世界樹ユグドラシルからとられていたり。北欧神話やケルト神話にもとづいているようです。
■アメリカではゲームより何年も前に先にOVAが出てた
海外の人にはどうみえたのでしょうか。
1996年のOVA『ファイアーエムブレム 紋章の謎』はその翌年1997年、アメリカで『ファイアーエムブレム』のゲーム作品が発売されるよりも6年も前に英語吹き替え版としてリリースされています。主人公マルスの声は『紋章の謎』と『大乱闘スマッシュブラザーズDX』、『大乱闘スマッシュブラザーズX』では共通して緑川光さんが演じています。
いかがでしたでしょうか? 火星を舞台にした『ファイアーエムブレム』もちょっと見てみたかった気もしますね。
[via Kotaku]
(abcxyz)
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