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MMDデータの利用規約と著作権について考えてみる  (2)著作財産権について

2021/01/17 15:47 投稿

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私が公開・配布しているMMDモーションに関して、モーションの利用規約に反した使用をしていた動画に対し著作者人格権に基づく権利侵害として削除申請を先日行いました。
利用規約違反に頭を痛めているクリエイターの方々の参考になればと思い、このことに関するものをブロマガにまとめてみます。
ここでは「著作財産権」について簡単に触れていきます。
なお、私は著作権や法律関係は素人です。私の考えや解釈が正しくない可能性もあるので、その点はご承知おきください。

■「著作財産権」とは

著作者の権利には大きく分けて「著作財産権」と「著作者人格権」の2つがあり、合わせて「著作権」と呼ばれます。
※「著作隣接権」というものもありますが、これは実演家、レコード製作者、放送事業者などに認められた権利であり、MMDデータには直接関わらないと思うので、ここでは触れません。

著作財産権は、財産的な利益を保護するものです。
文化庁のwebサイトには、次のように説明されています。



これらの中で「口述権」は小説などの言語の著作物、「頒布権」は映画の著作物がそれぞれ対象となるので、MMDデータには該当しないと考えられます。
なお、各説明の中の「公」とは「公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として」という意味合いになります。また「公衆」とは「不特定の人」又は「特定多数の人」を意味するので、「誰か(不特定の)1人」でも「会員限定(特定多数)」も含まれます。


■MMDデータの利用規約と著作財産権

著作物を利用する場合に各権利に抵触する可能性があれば、利用者は著作権者に許諾を得る必要があります。それを一つずつ対応するのは著作権者としても大変であり、MMDデータであれば「利用規約」という形で運用しているのが一般的でしょう。
利用規約にも様々な表現や対応があるので一概には言えないところがあるでしょうが、各権利について見てみます。
◆◆
「複製権」は、データそのものを複製するだけでなく、盗用やパクリも「複製」とされています。部分的な複製、つまりモデルのパーツ利用などはある意味パクリになるでしょう。衣装改変も、元のモデルを一部を除いて複製したものです。そのように見れば、モデルでもモーションでも利用規約では定番かもしれません。
◆◆
「上演権・演奏権」と「上映権」は、MMDに関しては区別が少し悩ましいと私は思っています。
「上演権・演奏権」には「コンピュータ制御での演奏、録音・録画物の再生も含まれる」という考え方があるようで、MMDとしてはモデルやモーションの利用形態を考えればこれに当てはまると思います。
一方「上映権」は、上映の定義として「著作物(公衆送信されるものを除く。)を映写幕その他の物に映写することをいい」と書かれており、MMDをスクリーンに映せば上映になる、とも考えられます。
いずれにしても、ネットやテレビで動画を流すことは後述の「公衆送信権等」にあたるもので、「上演権」なり「上映権」は、例えばステージイベントでMMDを投影するような場合が当てはまると思います。このような利用形態を利用規約で触れている方もあるでしょう。
◆◆
「公衆送信権等」は、先ほども書いたようにテレビの放送,CATV等の有線放送,インターネットを通じて送信などを行う権利のことで、著作物をサーバに保存して公衆からのアクセスを可能にする「送信可能化」も含まれます。
MMDはネット投稿が一般的な使い方なので、これ自体を禁止や制限することはあまり無いように思いますが、モデルやモーションをVRチャットなどで使用することを利用規約で禁止・制限しているケースは、これに当てはまるかもしれません。
◆◆
「展示権」は、美術の著作物が対象となるのでモデルが該当する可能性があります。ただ、モデルの画像や写真を展示して直接人に見せるということはあまり想定されていないでしょうし、利用規約に触れているケースは稀でしょう。
◇◇
ここで私はふと気になったことがあります。
公衆送信にしても展示にしても、そこで表現されるのはモデルやモーションを使った画像・動画であり、それらは二次的創作物になります。モデルやモーション自体はデータであり、そのような著作物を「上演」「上映」「公衆送信」「展示」することはあるのだろうか?と。
これは天の邪鬼的な発想かもしれませんけれども。
音楽や振付けもそれ単体で表現されるものではないので、MMDデータもそれらと同じように考えればよいのかもしれませんが。

◇◇
「譲渡権」や「貸与権」は、公衆に提供(販売など)や貸与(レンタル)する権利なので、データの売買や譲渡を禁止するというように、これも利用規約の定番でしょう。
◆◆
翻訳権・翻案権等」は、一般的には小説の英訳、音楽のアレンジ、漫画のアニメ化や実写化といったものがここに該当します。「二次的著作物創作権」とも呼ばれます。
私にとっては翻案権は複製権と似たようなところがあり、いろいろ資料を見てもわかりにくいところがあります。【はじめての著作権法(著者:池村聡、日経文庫)】では次のような説明がされています。

ある絵画の「盗作」「パクリ」の類も、度を越してよく似た作品で、そこに創作性が何ら加わっていないような場合は、そうした作品を描いたり印刷したりすることは元の作品の「複製」に該当します。
既存の著作物に新たな創作性を加えた別の著作物のことを「二次的著作物」といい、無断で二次的著作物を創作されない権利のことを「二次的著作物創作権」(翻案権)という。
私が理解した範囲では、モデルで例えれば
  • あるモデルに別のモデルから衣装を移植したもの(創作性がない)は「複製」
  • あるモデルを、ぷち化・ちび化したもの(低年齢化という創作性)は「翻案」
かなと解釈しています。
※間違っているかもしれませんし、ものによって判断が変わるかもしれません。
※モデルの年齢変更・性別変更・容姿変更は、モデルを素体とした別キャラクターの生成という見方もでき、先にキャラクターが存在していてモデルは「材料」として使われたとなると、違う議論になるかもしれません。

素人にはなかなか難しい内容ですが、このような「複製」や「翻案」は、モデルでもモーションでも利用規約に盛り込まれていると思います。
※「改変」に関する権利については、次回のブロマガでも触れることになります。
◆◆
二次的著作物の利用に関する権利」は、【はじめての著作権法(著者:池村聡、日経文庫)】の中では「自分が著作権を持つ著作物が元になって創作された二次的著作物について、無断で各種利用をされない権利」と表現されています。
例を考えると「モデルやモーションが使われた動画が、あるテレビドラマの中で使われた」という場合で、ドラマの中で動画を使うことは、動画製作者だけでなくモデルやモーションの著作権者にも許可を得る必要がある、というものになります。
※同じことは、モデルの元となるキャラクター、モーションの元となる振付けなどにも当てはまります。
二次的著作物の使われ方を想定したり、利用規約に触れることは少ないかもしれません。
■著作財産権は譲渡できる

前回と今回で著作権に関することを書いていますが、この中で「著作者」と「著作権者」という2つの言葉が出てきていることにお気づきでしょうか?

まず「著作者」とは「著作物を創作する者をいう」と著作権法の中で定義されています。MMDであれば、モデルやモーションを作った人が著作者です。

一方で「著作権者」は「著作権を持つ者」ということですが、大原則として「実際に著作物を創作した者が権利を取得する」となります。ですから「創作者=著作者=著作権者」ということです。
そして、著作財産権はその一部又は全部を譲渡したり相続したりできます。その場合は、権利を譲り受けたり相続した者が「著作権者」となります。

MMD関連では次のようなケースを考えることができます。
モデラーがある企画や依頼でモデル製作をしたとします。モデルが創作された時点で、モデルが「著作物」、モデラーは「著作者」となり、同時に著作権が発生して「著作権者」となります。
そして、企画者や依頼者から権利譲渡の申し出があって譲り渡せば、企画者や依頼者が「著作権者」となり、権利を管理したり行使することになります。この場合「著作者」はモデラーのままとなります。ここについては、次回にまた触れることになります。


■著作物を自由に使える場合がある

著作財産権によって、他人に著作物を無断で利用されないようになっていますが、著作物を自由に使える場合がいくつかあります。
身近な例としては「私的使用のための複製」があります。テレビ番組の録画や音楽CDの取り込みなど「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とするとき」には、著作物を自由に複製することができます。
これらは権利制限規定と呼ばれるもので、とても数が多いのでここでは割愛します。参考に、公益社団法人著作権情報センターのwebサイトをリンクしておきます。

その中で個人的に気になるものがあったので書いておきます。

著作権法第38条に「営利を目的としない上演等」というものがあります。上記の著作権情報センターに書かれているものでは

営利を目的とせず、観客から料金をとらない場合は、著作物の上演・演奏・上映・口述(朗読)などができる。ただし、出演者などは無報酬である必要がある。

と要約されているものです。

これをMMD関連で考えると、ポリッドスクリーンなどにMMDを投影して行われるファンメイドライブがこれに該当するように思います。
先に書いたように、MMDをスクリーンに投影するのは「上演」なのか「上映」なのかは私は判断に迷うところですが、どちらかが該当しますし、どちらであっても第38条に含まれるものです。

ファンメイドライブについては、以前にモーション制作者と主催者との間に問題が生じたことがあり、利用規約にその項目を設けている人もあるかと思います。私もその一人です。
この第38条があると、法律的には「営利を目的としない利用であれば、自由に使うことができる」となるので、今回いろいろ調べてみて私自身は自分の利用規約を見直す必要があると思っています。

ただし、利用する側は「よし!自由に使えるんだ!」と考えるのは早計です。

文化庁のwebサイトには次のような記載があります。

営利を目的としない上演等
 著作権の制限規定の一つです(第38条)。複製以外の方法により著作物を利用する場合において、著作権者の了解が必要ないときの要件を定めています。著作物の利用方法に応じ次のような要件が満たされた場合は、著作権者の了解は必要ありません。
1 学校の学芸会,市民グループの発表会,公民館・図書館等での上映会など(第38条第1項)
【条件】
ア 「上演」「演奏」「口述」「上映」のいずれかであること
  (「コピー・譲渡」や「公衆送信」は含まれない)
イ 既に公表されている著作物であること
ウ 営利を目的としていないこと
エ 聴衆・観衆から料金等を受けないこと
オ 出演者等に報酬が支払われないこと
カ 慣行があるときは「出所の明示」が必要(第48条)

著作権者の了解を必要とせずに利用するためには、「ア~カ」の条件を満たしているかどうかが重要となります。特に「ウ~オ」の金銭的な条件はかなり厳密なようです。例えば

  • 上映会自体は無料であるが、会場に入るための入場料が必要である
  • 無料・無報酬であるが、宣伝や営業を目的とした上映である(間接的に営利目的)

といったものは条件を満たしておらず、了解なしに利用することはできません。
「ア」の条件も注意が必要です。「複製」「譲渡」「公衆送信」は認められていないので、録音、録画やネット配信は無断ではできず、許諾が必要となります。
これらはwebでいろいろな解説を見つけることができます。
著作権なるほど質問箱東京都行政書士会中央支部 著作権実務研究会著作権のネタ帳
また「カ」の条件は、MMDを上映するイベントで出所(どんなモデルやモーションを使ったか、誰が作ったものか)を明示するという慣行があるかどうかという点はありますが、明示した方がトラブルは少ないでしょうし、「ウ~オ」の条件に問題がないとしても事前に著作権者に声をかけておく方がよいと思います。



私自身、ここまで調べてみてもよくわからないこともあります。著作権は難しいものですが、きちんと理解していないといろいろな問題が起こり得ます。
それを防ぐためにMMDデータを公開する側は利用規約を設けているわけですが、全ての権利や利用形態を網羅することも難しいでしょう。
少なくとも利用者には、利用規約で「OK」「NG」としているものはそれを守っていただきたいですし、書いていないものやどちらとも触れていないものについては勝手に判断せず、著作権者に確認を取っていただきたいです。

次回のブロマガでは、もう一つの権利である「著作者人格権」について書いていく予定です。


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