私が公開・配布しているMMDモーションに関して、モーションの利用規約に反した利用をしていた動画に対し、著作者人格権に基づく権利侵害として削除申請を先日行いました。
利用規約違反に頭を痛めているクリエイターの方々の参考になればと思い、このことに関するものをブロマガにまとめてみます。
権利侵害の申し立てのことだけを書いてもいいのですが、単に手法を真似ただけでは権利侵害を認めてもらえなかったり、場合によっては自身に問題が生じる可能性もあるので、著作権に関することから書いていきます。
まず、著作権の前提となる「著作物」について簡単に触れていきます。
なお、私は著作権や法律関係は素人です。私の考えや解釈が正しくない可能性もあるので、その点はご承知おきください。
ただしモデルやモーションが二次創作物であれば、元となるキャラクターや振付けにも著作権があります。モデルやモーションについては「データ」という部分で著作物として考えていきます。
「思想や感情」「創作的」といったところは事例によって判断が分かれることが多く、文章やイラストでも裁判の判例で「著作物ではない」と判断されるものも数多くあるようです。ですので、MMDデータでも「著作物ではない」と見なされるものもあり得ます。
例えば、単なる球形のモデルを「著作物」とするためには、その球形に思想や感情が含まれ、創作的に作られているか、などということが認められなければなりません。それができないものは著作物ではなくなりますので、著作権を主張することもできません。
二次創作物のモデルやモーションの場合は、「創作的に」の解釈がポイントになってくるかもしれません。
MMDに関しては「モデルやモーションのような”データ”が著作物になるのか?」というところが気になるところなのですが、こちらにデジタル化された著作物についてのわかりやすい説明があったので引用します。

この分類からすると、モデルは「美術」に、モーションは「舞踏」に該当すると判断できそうです。
ちなみに、著作権や著作物の議論の中で最近話題になっているもので「AIなど人間以外のものが作り出したものは著作物なのか?」というものがあるそうです。自動化によって生み出された音楽や絵画に「思想や感情」が含まれるのか?などといった議論だそうです。
これをMMDで考えてみると、3Dスキャナーで取り込まれたモデルや、モーションキャプチャーで作られたモーションは、実世界のものをツールを用いてデータとして取り込んだ(複製した)ものであり、その制作過程で「(人間の)思想や感情が含まれるのか」「創作的であるか」という観点から「著作物ではない」と見なされる可能性があるかもしれません。
それなりの分量の文章になったかと思いますが、かなり端折った説明のつもりです。細かいことまで書き始めると深みにはまってしまって私自身が抜け出せなくなるので(たぶん今後も)、著作物についてはこの程度にしておきます。
次回は、著作財産権について触れていく予定です。
利用規約違反に頭を痛めているクリエイターの方々の参考になればと思い、このことに関するものをブロマガにまとめてみます。
権利侵害の申し立てのことだけを書いてもいいのですが、単に手法を真似ただけでは権利侵害を認めてもらえなかったり、場合によっては自身に問題が生じる可能性もあるので、著作権に関することから書いていきます。
まず、著作権の前提となる「著作物」について簡単に触れていきます。
なお、私は著作権や法律関係は素人です。私の考えや解釈が正しくない可能性もあるので、その点はご承知おきください。
■「著作物」とは
権利侵害で申し立てをするためには、「著作権」を主張できなければいけません。
私が参考に読んでいた【はじめての著作権法(著者:池村聡、日経文庫)】では、著作権を次のように説明しています。
「著作権者」が他人に「著作物」を無断で「利用」されない権利
「著作権者」は文字どおり「著作権を持っている者」のことです。そして、
著作権という権利は、「著作物」に関してだけ主張できるのであって、「著作物」でないものに関しては主張できない
と説明されています。
そうすると、まず権利を主張する対象が「著作物」であるかどうかがポイントとなります。
著作権法第2条1項には「著作物」について次のように書かれています。
思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。文化庁のwebサイトでは、次のような説明もされています。
著作権法で保護の対象となる著作物であるためには,以下の事項をすべて満たすものである必要があります。これを、文章を例に考えてみると、
(1)「思想又は感情」を表現したものであること
→ 単なるデータが除かれます。
(2)思想又は感情を「表現したもの」であること
→ アイデア等が除かれます。
(3)思想又は感情を「創作的」に表現したものであること
→ 他人の作品の単なる模倣が除かれます。
(4)「文芸,学術,美術又は音楽の範囲」に属するものであること
→ 工業製品等が除かれます。
- 単なる事実を述べたものには思想や感情は含まれないので、著作物ではない。
- 頭の中のアイデアなどは表現されたものではないので、著作権ではない。
- 誰でも思いつくようなありふれた表現やコピー・パクリは「創作的」ではなく、著作物ではない。
■MMDデータは「著作物」なのか?
モデルやモーションなどのMMDデータについて考えると、
- 思想や感情(造形や動作としてこうやってかわいく見せたい、etc.)が含まれ
- 創作的に作られ
- 形として表現された
- 文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するもの
ただしモデルやモーションが二次創作物であれば、元となるキャラクターや振付けにも著作権があります。モデルやモーションについては「データ」という部分で著作物として考えていきます。
「思想や感情」「創作的」といったところは事例によって判断が分かれることが多く、文章やイラストでも裁判の判例で「著作物ではない」と判断されるものも数多くあるようです。ですので、MMDデータでも「著作物ではない」と見なされるものもあり得ます。
例えば、単なる球形のモデルを「著作物」とするためには、その球形に思想や感情が含まれ、創作的に作られているか、などということが認められなければなりません。それができないものは著作物ではなくなりますので、著作権を主張することもできません。
二次創作物のモデルやモーションの場合は、「創作的に」の解釈がポイントになってくるかもしれません。
MMDに関しては「モデルやモーションのような”データ”が著作物になるのか?」というところが気になるところなのですが、こちらにデジタル化された著作物についてのわかりやすい説明があったので引用します。

この分類からすると、モデルは「美術」に、モーションは「舞踏」に該当すると判断できそうです。
ちなみに、著作権や著作物の議論の中で最近話題になっているもので「AIなど人間以外のものが作り出したものは著作物なのか?」というものがあるそうです。自動化によって生み出された音楽や絵画に「思想や感情」が含まれるのか?などといった議論だそうです。
これをMMDで考えてみると、3Dスキャナーで取り込まれたモデルや、モーションキャプチャーで作られたモーションは、実世界のものをツールを用いてデータとして取り込んだ(複製した)ものであり、その制作過程で「(人間の)思想や感情が含まれるのか」「創作的であるか」という観点から「著作物ではない」と見なされる可能性があるかもしれません。
それなりの分量の文章になったかと思いますが、かなり端折った説明のつもりです。細かいことまで書き始めると深みにはまってしまって私自身が抜け出せなくなるので(たぶん今後も)、著作物についてはこの程度にしておきます。
次回は、著作財産権について触れていく予定です。